ひと~マイライフ-障害は心の壁を取り除くことから

「新ノーマライゼーション」2020年7月号

福村泰子(ふくむらやすこ)

1984(S59)年生まれ。20歳の時に初めて一時的ストーマ造設。その後、日本オストミー協会に入会し、現在は若いオストメイトの交流会の活動に関わる。また、フライングディスクを始め、全国障害者スポーツ大会に茨城県代表として出場。

私は、高校生の頃に指定難病の「潰瘍性大腸炎」と診断され、20歳の時に初めて一時的ストーマを造設しました。その後も入退院とストーマ造設と閉鎖の手術を繰り返し、30歳頃永久ストーマにする決断をし、その後症状が落ち着きました。

オストメイトってなに?

『オストメイト』とは、病気などで通常の排泄ができなくなったため、『ストーマ』という人工肛門や人工膀胱を手術によってお腹に造り、排便や排尿の方法を変更した人のことです。ストーマは、お腹に1つだけでなく、複数保有の方もいます。

厄介なところは、通常の排泄では、意識して我慢することができますが、ストーマではそれができないため、排泄は、お腹の装具にします。ストーマの装具は、大きく2つの役割を持ちます。1つ目が、お腹に直接貼る面板の部分(お腹に張り付き装具が落ちないようにすることと皮膚保護剤が入ってるため肌荒れ防止の役割があります)。2つ目が、排泄を受ける袋の部分です。装具自体は、一体型のワンピースと面板と袋が別々のツーピースタイプがあり、面板や袋は、本人のストーマの大きさや皮膚の状況、生活様式等によって各種メーカーから選びます。

こうした意味でも生活必需品の装具ですが、生活環境や食事の内容、排泄物の形状等によって交換頻度が異なり、私の場合は、週に2~3回程度の交換を要します。

悩んでいるなら検索!

平成18年バリアフリー法の施行によって、多機能トイレにオストメイト対応トイレの設置が増え、平成24年「ヘルプマーク」の配布が始まり、理解や社会の変化も少しずつ進みました。

しかし、オストメイトは外見でわからないので、多機能トイレの使用時や公共交通機関の優先席で嫌な顔をされたり、温浴施設やスポーツジムでの理解不足から入浴拒否など未だに理解されない場面が存在しています。

そんな「オストメイトあるある」を分かち合うことができるのが、公益社団法人日本オストミー協会の交流会です。私は、20代の頃、東京都で開催される若いオストメイトの交流会を知り、ドキドキしながら初めて参加しました。それから地元の支部に入会し、現在に至ります。

そんな私も、3年ほど前から、会員のうち、20代~50代までの現役世代の交流を目的とした20/40FocusGroupという若いオストメイトの交流会に携わっています。全国的な活動は、会報やブログ、ホームページで情報発信をしています。現在は、新型コロナウイルスの影響により交流会を一部中止していますが、オストメイトの公的な支援や各地域での各種交流会の案内、震災時の備えなど随時掲載しています。ぜひ、興味がある方は検索してみてください。

社会生活での配慮と合意形成

私は、体調が悪い時機嫌が悪く、思いどおりにならないイライラや行き場のない焦燥感を八つ当たりや暴言で表していました。特に、そんな私を支えてくれた夫や家族や友人に今、本当に感謝しています。

今の目標は、障害により、疲れやすさ、重い物を持てない、脱水になりやすいなどの私の特性を周囲に伝え、理解してもらうことです。周囲に伝え、理解を得るのはすごく労力のいることです。「配慮」を必要とすることと「合意形成」の間で揺れる気持ちはありますが、外見でわからない障害について少しずつ理解者を増やし、お互いにできることやできないことを話し合うことで、障害があってもなくても生活しやすい環境が作れるのではないかと考えています。そのためには、まず理解者を増やし、「感謝」の思いを大切にしつつ、これからの活動に生かしていきたいと思います。


若いオストメイトの交流会
20/40FocusGroupのホームページ
http://2040focus.jp/

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