[ニュージーランド]家族介護者に政府が賃金を支払う制度に裁判所が改善勧告

リハ協ブログ2018年4月14日より転載

2018年2月8日付ラジオ・ニュージーランド(Radio New Zealand)によれば、控訴裁判所は、有償家族介護制度(Funded Family Care)について、保健省に対して改善を求めたとのことです。

ニュージーランドには、有償家族介護(Funded Family Care)という、自宅で成人障害者を介護する家族介護者に対して政府が賃金を支払う制度がありますが、その運用について、控訴裁判所に訴えること増えています。

今回の判決は、チャンバーレインさんという重度の知的障害者と彼を自宅で介護する母親のムーディさんが保健省(Ministry of Health)が決めた17時間相当の賃金は少なすぎで、週40時間分支払うべきであるという訴えに対して、2018年2月7日、控訴裁判所は、その訴えを認めたのですが、その判決文において、保健省に対して制度の改善を求めたとのことです。

この制度は、2013年ニュージーランド公衆衛生及び障害改正法(the New Zealand Public Health and Disability Amendment Act 2013)に基く制度で、2013年に導入されました。重度障害者を介護する家族に対して、週最大40時間、最低賃金法に基づく最低賃金を支払うというものです。

しかし、重度障害者のニーズ評価手続きが複雑である、介護時間の評価が厳しいために40時間の満額の賃金が支払われない、障害児の介護は対象にならないなどの問題があり、家族が訴えることが続いていたことに、裁判所も業を煮やしているようです。(寺島)

ラジオ・ニュージーランドの記事は、下のサイトで見られます。

http://www.radionz.co.nz/news/national/349903/mother-wins-battle-with-health-ministry-over-carer-pay

また、公衆衛生及び障害改正法は、次のサイトで読むことができます。http://www.legislation.govt.nz/act/public/2013/0022/latest/whole.html#DLM5205111

判決文は下のサイトにあります。http://www.courtsofnz.govt.nz/cases/chamberlain-v-minister-of-health/@@images/fileDecision?r=960.385721795

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