[米国]ダックワース上院議員がADA教育改革法に反対する手紙を上院代表議員に提出

リハ協ブログ2018年4月6日より転載

かねてから注目されているアメリカのADA教育改革法(ADA Education and Reform Act of 2017 (H.R. 620))ですが、2018年2月15日に下院を通過しました。この法律は、既存の公共施設に構造上のバリアが存在した場合にそのバリアについて文書で指摘したにもかかわらず、文書による改善計画が示されなかったり、あるいは、改善計画が示されてもその後改善されなかったときを除き民事訴訟を行うことを禁止するというものです。

下の政府の公式サイトによれば、これに対して、民主党のダックワース(Tammy Duckworth)上院議員は、ADAのタイトルⅢを実質的に弱体化させるものとして、同僚の上院議員42名の署名を得て、同法について上院で議論することに反対する手紙をミッチ・マコーネル(Mitch McConnell)上院多数党院内総務に提出したとのことです。

上院多数党院内総務は、米国議会の上院の実質的な代表者で、議事進行に非常に大きな発言力をもつといわれています。

この結果、原理的には今期の議会で同法案は成立しなくなったとのことです。(このあたりの手続きは日本人にはわかりにくいですが、全会一致が原則の議会のため、実質的には上院議員の3/5の賛成がないと通過しないとのことです。)

ただし、上院多数党院内総務は、いつでも法案を取り上げ投票に持ち込むことができるため、投票にもちこまれると意見を変える議員も出てくることから、ダックワース上院議員は、法案について議論しないように求める手紙をマコーネル上院多数党院内総務に出したということです。現状では、この手紙に対して院内総務は返事をしていないとのことで、この法律の成立の可能性が完全になくなったわけではないとのことです。

ダックワース上院議員は、女性で、2014年にイラク戦争により両足を失い退役した後2016年からイリノイ州選出の上院議員となっています。

実際の手紙は、下のDuckworth女史の政府公式サイトに掲載されています。

https://www.duckworth.senate.gov/news/press-releases/duckworth-and-senate-democrats-vow-to-defeat-house-gop-led-effort-to-curtail-civil-rights-of-americans-with-disabilities

また、法案は、下のサイトで見ることができます。

https://www.congress.gov/bill/115th-congress/house-bill/620(寺島)

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