[米国]エイブル法のその後

リハ協ブログ2019年5月31日より転載

以前のブログでも紹介しましたが、2014年12月19日、エイブル法(Achieving a Better Life Experience (ABLE) Act (Public Law 113-295))が成立しました。ABLE法は、8年間の長い議論の末成立した法で、「障害のある米国人法」などとともに、障害者のニーズに対応した最も重要な連邦法の一つであるといわれています。

エイブル法は、1986年内国歳入庁法第529条を改正し(529条Aを創設)、障害のある個人(26歳前の発症に限る)のための特別な非課税の普通預金口座(ABLE口座)を州政府に認める制度を創設しました。この口座は、教育、医療、住宅、交通費などの一定の支払いにのみ利用できる口座です。この口座の重要な点は、この口座への入金(例えば、家族や友人などからの仕送り)には一定額(2018年は年間15,000ドル)まで贈与税がかからないことに加えて、総額が一定額まで(例えば、補足的所得補償給付は10万ドル)は、社会保障関係の手当やメディケイドなどの受給資格を失わないことです。(州により異なる。)

以前は、社会保障障害年金、補足的所得保障給付やメディケイドは、一定額以上の預金(2,000ドルなど)があれば、その適用から外れてしまうということから、障害のある人が、自立をしたくても将来のために預金をすることができないので多くは働けないというジレンマがありました。ABLE法により、この問題は一部解決することができました。

エイブル法の成立後3年程度で、各州が州法などを改正し、この制度(ABLEプログラムという)を導入しました。

また、連邦政府は、2015年12月、ABLE法を修正し、州の居住要件を廃止しました。これにより、障害のある人びとはあらゆる州でABLE口座を開設できるようになりました。

2016年3月には、エイブル・トゥ・ワーク法(ABLE to Work Act)とエイブル・ファイナンシャル・プランニング法(ABLE Financial Planning Act)、および、エイブル・エイジ・アジャストメント法(ABLE Age Adjustment Act)が連邦議会に提出されました。

エイブル・トゥ・ワーク法は、ABLE口座への年度の入金の限度額(2018年は15,000ドル)を、連邦基準による一人世帯の貧困線(現在は12,060ドル)または本人の収入のうちどちらか少ない方の額だけ増やすことを認める法律です。

また、エイブル・ファイナンシャル・プランニング法は、年間最大入金額まで、通常の529条口座から529A条口座(ABLE口座)に預金を移すことを認める法律です。例えば、もともと、子どものために529条口座を開設していた場合に、その預金をABLE口座に移動できるというようなことができるようになります。

エイブル・エイジ・アジャストメント法(ABLE Age Adjustment Act)は、口座開設の資格を得られる年齢を26歳から46歳に上げるというものです。

2017年12月には、エイブル・トゥ・ワーク法(ABLE to Work Act)とエイブル・ファイナンシャル・プランニング法(ABLE Financial Planning Act)が成立しました。

エイブル法関連については、下のサイトをご覧ください。(寺島)

http://www.ablenrc.org/

menu