[国交省]「共生社会におけるトイレの環境整備に関する調査研究」報告書を公表

国土交通省は、令和2(2020)年10月9日に、「共生社会におけるトイレの環境整備に関する調査研究検討会」を開催し、2回の検討会を経て、令和3年3月12日に、「共生社会におけるトイレの環境整備に関する調査研究」報告書を公表しました。

同検討会は、令和2年5月に「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)が改正され、国、地方公共団体、国民、施設設置管理者等の責務等として、障害者用トイレ等の高齢者障害者等用施設等の適正な利用の推進が追加となったこと等から、トイレの整備状況や利用状況に関する実態把握を行い、多様な利用者に配慮したトイレ整備のあり方や適正な利用の推進に関する今後の取組方針について検討を行うこととされていました。

調査研究報告書の主なポイントは次のとおりです。

〇今後のトイレ整備に求められる基本的な内容
■車椅子使用者用便房等の適正利用の推進
(1)車椅子使用者用便房等の機能分散の推進に必要な考え方
• 機能分散の対象として、乳幼児連れ用設備やオストメイト用設備を一般トイレ内に設置することを推進。
• トイレブロック単位での機能分散が難しい場合、施設全体での整備や近隣の公共的施設との連携も有効。
• 車椅子使用者用便房等の利用集中の一因である一般トイレの混雑解消のため、適正な一般便房数の確保が望ましい。
(2)多様な利用者特性への対応
• 大型の電動車椅子でも利用でき、介助用の大型ベッドを設置した広めの便房を1以上整備することを推進。
• 同行者との利用や、異性介助の視点等を踏まえた男女共用で利用が可能なトイレ空間の整備の推進。
• 利用者の動きを想定した乳幼児連れ用設備(ベビーチェア、おむつ交換台等)の配置等の実施。
• 一般便房の利用意向がある視覚障害者等や、感覚過敏などの多様な利用者の特性に配慮した整備の実施。
(3)多様な利用者が必要とする設備・機能の有無・位置に関する情報提供の推進
• 施設内でのトイレの整備状況等について、ウェブサイト等による施設利用における事前情報の提供が必要。
• 施設全体の位置関係を示すフロアアマップ等によるトイレの位置・利用可能な設備等の情報提供が重要。
• ICTの活用等による利用集中の解消を目的とした一般トイレも含めた選択肢の情報提供を推進。
■車椅子使用者用便房等の適正利用の推進
(4)適正利用の推進に向けた広報啓発・教育等の充実
• 機能分散の状況に合わせて、当該便房の対象を明確にしたり、適正利用の配慮が必要な高齢者障害者等用便房(バリアフリートイレ)であることを示すとともに、設置された設備等をピクトグラム等で明示することが望ましい。
 なお、具体例として「多機能トイレ」「多目的トイレ」等の名称ではなく、設置された設備や機能が必要な人が対象であることが伝わる情報提供、表記等とすることが必要としています。
•「急を要するなどやむを得ない場合を除き、必要な方以外は利用を控える」といった「基本的な考え方」に基づいた適正利用の広報啓発が必要。
• 機能分散の考え方を事業者や利用者へ周知する等、利用者の行動を変容させる教育活動等の取組が必要

詳しくは次のサイトをご覧ください。(寺島) https://www.mlit.go.jp/report/press/sogo09_hh_000281.html

menu