[英国]手話通訳者が陪審員室に入ることを許可する法律案を議会に提出

2021年3月15日、英国議会人権共同委員会は、同年3月9日に政府が下院議会に提出した「警察、犯罪、判決および裁判所法案(Police, Crime, Sentencing and Courts Bill)」の精査のために国民からの意見募集を開始しました。

この法案は、凶悪犯罪に対する刑を強化し、効率的な裁判所システムを通じて犯罪者を迅速に裁判にかけることを目的としており、次のような非常に広範な内容を含んでいます。

  • 警察官やその他の緊急時の隊員を保護する。
  • 犯罪や無秩序に対応するために必要な手段を警察に与える。
  • 平和的に抗議する権利を守りながらも、破壊的な抗議活動を阻止するために必要な権限を警察に与える
  • 無許可の集まりに対する警察の権限を強化する
  • 性犯罪、暴力、児童に対する犯罪など重大犯罪の刑期を延長する。
  • 電子監視装置の使用など地域の裁判所が効果的な処罰をできるようにする。
  • 未成年の犯罪者の更生支援を強化する一方で、重大犯罪を犯した未成年者の処罰を重くする。
  • 刑務所ではなく、矯正学校(Secure School)の整備を進めていく。
  • 開かれた正義を進めるために裁判所の手続きを見直し、裁判所を近代化する。

この中には、手話通訳者が評決を審議する陪審員室に入ることを許可することで、聴覚障害者も陪審員になることができるようにするということが含まれています。現状では、法廷に入ることはできるのですが、評決を審議する部屋には入れないため聴覚障害者は唇を読めなければならないとのことです。

ただし、この法律は、デモ活動の禁止につながることへの危惧などからさまざまな議論が起こっているので成立するかはわかりません。

意見募集は2021年5月15日までとなっています。

詳しくは下のサイトをご覧ください。法律案も示されています。(寺島)
https://committees.parliament.uk/work/1109/legislative-scrutiny-police-crime-sentencing-and-courts-bill/
内務省と法務省による関連資料のサイトは下にあります。
https://www.gov.uk/government/publications/police-crime-sentencing-and-courts-bill-2021-overarching-documents

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