公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会 研修課 光岡芳宏
2019年10月21、22日の日程で、公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会(以下、当協会)が主催する「アジア・太平洋障害者連携フォーラム2019 inパキスタン~チャリティから投資へ~」がパキスタン国・ラホール市内にあるホテルで開催される。
本フォーラムは、「ダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業」(以下、ダスキン事業)とJICA「障害者権利条約実践のための障害者リーダー能力強化コース」(以下JICA事業)の研修修了者を対象としたフォローアップ事業の一環として実施する。フォローアップ事業は、当協会が(公財)日本財団から助成をいただき2015年度から実施しているものである。
今回のフォーラムは、障害当事者リーダーたちによる活動がより活発になることで、障害者が住みやすい社会の実現に向けたステップアップを目的としたものである。開催事務局には、ダスキン事業の修了者であるシャフィック氏が設立した団体であるマイルストーン協会に担ってもらい、パキスタン国内の政府関係者、障害者団体、その他の関連団体等とのネットワークを活用し、セッションテーマに沿っての議論や情報交換を通し、インクルーシブ社会実現に向けての取り組みを促進する。
また、ダスキンとJICA事業研修修了者もフォーラムに招聘しており、マイルストーンの活動成果や組織マネジメントについて学び、自身の所属団体の問題解決や今後の活動に活かしてもらう。 現在のところ本フォーラムには来賓として、パキスタン首相、在パキスタン日本国大使、JICAパキスタン事務所などの方々にご臨席いただく予定である。またフォーラム開催翌日には、招聘予定の7カ国地域のダスキン研修生の発表や障害者スポーツ、障害者が作成したアクセサリーなどの紹介時間を設け、国際交流を図る予定である。
今回の連携フォーラムの概要は次のとおりである。
1.目的 パキスタンにおける障害当事者並びにステークホルダーが集い、障害者運動に関する共通理解(下記包括テーマ)を図り、それに基づいた活動の方向付けと動機付けを行う。併せて、事務局を担うパキスタン・マイルストーン協会の国内におけるプレゼンス向上と活動の拡大を企図する。 2.日程 1)2019年10月21日:フォーラム開催 2)2019年10月22日:関連イベント開催 3.会場 The Nishat Hotel Johar Town ラホール、パキスタン (両日とも) 4.実施団体 主催:(公財)日本障害者リハビリテーション協会 共催:(公財)日本財団 事務局:マイルストーン障害者協会(ラホール) 5.包括テーマ&メッセージ 1)ソーシャルイノベーション(※1)視点による障害者課題解決を目指す。 2)投資・社会起業視点(※2)と企業による障害者雇用拡大の両面から障害者の経済問題の解決を目指す。 6.プログラム 10月21日(月) 10:00~11:00 開会 来賓挨拶1 日本財団(笹川会長ビデオメッセージ) 来賓挨拶2 Mr. Amjad Saqib(パンジャブ州知事) 来賓挨拶3 松田那紀氏(在パキスタン日本国大使館特命全権大使) 来賓挨拶4 Mr. Imran Khan (パキスタン首相) 11:00~12:30 セッション1 タイトル: パキスタンの障害者団体はいかにして活動の持続性を確保し、社会課題解決に向うことができるのか モデレーター: Mr. Ghulam Nabi Nizamani(パキスタン障害者協会代表) スピーカー: Mr. Muhammad Atif Sheikh(Special Talent Exchange Program:STEP代表) スピーカー: Mr. Izhar Hashmi (Punjab welfare Trust for Disabled) スピーカー: Mr. Shakeel Khattak(KP州政府関係者) 12:30~14:00 昼食・休憩 14:00~15:30 セッション2 タイトル: 非営利組織とステークホルダーとの協働による障害者課題解決に向けた取り組みとは モデレーター:Dr. Sarwat Mirza, (CBID Network-Pakistan代表) スピーカー: Person from Pakistan Bait ul Mal スピーカー: Person from Ministry from Human Rights スピーカー: Ms. Fahmina Puri (Pakistan Poverty Alleviation Found代表) スピーカー: Ms. Abia Akram (National Forum of Women with Disabilities) 15:30~16:30 セッション3 タイトル: 障害者の雇用創出の実現に向けた取り組みの事例と社会的投資のモデルの紹介 スピーカー: Ms. Tayyba Arshi (Telenor) スピーカー: KFC スピーカー: 高垣絵里氏(Paper Miracles代表取締役社長) スピーカー: 功能聡子氏(ARUN代表) 16:30~18:00 交流会 10月22日(火) 10:00~11:00 開会・招聘研修生の活動発表 1. Samith Mey/Cambodia 2. Nay Lin Soe/Myanmar 3. Lin Chun Chieh/Taiwan 4. Naqio Eve/Fiji 5. Kaewkul Thantipisitkul/Thailand 6. Dao Thu Huong/Vietnam 7. Laxmi Nepal/Nepal 11:00~12:00 障害者スポーツの紹介など 車いすクリケットなどデモンストレーション、パラリンピックに関する活動紹介 障害者が作成したアクセサリーや小物などの展示1 2:00~14:30 昼食・交流 14:30 閉会 |
※1異なるセクターにおける様々な主体(行政、企業、NPO、財団など)が、共通のゴールを掲げ、お互いの強みを出し合いながら社会課題の解決を目指すというイメージ。CBID(Community-based Inclusive Development)、ネットワーキングとも非常に親和性の高い概念と考えられる。
※2これまで障害者団体は寄付金や助成金を資金源としてきたが、1~3年の事業期間で終了することがほとんどで、資金難に陥る団体も多い。そこで、投資的資金を導入し、自らビジネスモデルを構築し、そこから上がる収益から出資者に対する配当を行ったり、さらなる投資に回すことが試みられている。