快適生活・暮らしのヒント-重度障がい者の介助者とサポートしあっていくための工夫

「新ノーマライゼーション」2021年4月号

CIL(自立生活センター)星空/愛媛頸髄損傷者連絡会会員
三ツ井真平(みついしんぺい)

私はC4の頸髄損傷(完全四肢麻痺)です。高校生の頃、海への飛び込みにより、首の骨を折り、3年ほど施設生活を経て自立生活センターという団体に出会いました。地域で障がいがあっても自立できることを知り、8年前から、地域で介助者に入っていただきながら生活しています。

完全四肢麻痺なので、首から下は感覚もなく動かすことはできません。日常生活の着替え、移乗、外出などすべての介助をサポートしていただいています。私の生活に介助者のサポートは必要不可欠ですが、その中で悩みになってくることは介助者の腰痛です。長年サポートを受けていくためには考えないといけない問題です。そこで私や団体が行っている介助者への腰への負担を減らす工夫を紹介します。

まず介助に入る際は腰ベルトの着用です。腹部を締め付けることで、内部の腹圧が高まります。そのことによって腰まわりが安定し、作業をする際、重量の負荷に体勢が崩れることを防ぎ、腰への負担が軽減されます。塵も積もれば山となるといいますが、腰ベルトを付けてやるか、付けずにやるかで、10年後の結果がかなり変わると思います(写真1)。
※掲載者注:写真の著作権等の関係で写真1はウェブには掲載しておりません。

そして移乗の際はリフトを使うことです。私は床走行式リフトを使用しています(写真2)。身長180cm、体重100kgの私が常に乗り降りをするために必要なものです。これがないと介助中、介助者は一人なので移乗はほぼ無理になります。私は家が賃貸なので床走行式にしましたが、リフトは天井走行式やベッドに備え付けられるものなどがあるので、家の構造や希望に合わせたものを選ぶことができます。
※掲載者注:写真の著作権等の関係で写真2はウェブには掲載しておりません。

最後にパワースーツです。介護以外にも農業の中腰姿勢や工事現場の重労働にも使われているようでかなり効果はあります。装着に手間が掛かり、重さもあるように見えますが、団体で使用しているものは10秒で簡単装着。本体重量3.8kgでとても使いやすいです。ベッド上での中腰の姿勢やリフトを使わない人の移乗、下から上に持ち上げる時の力をサポートしてくれるものです。充電も必要なく、エアの調整だけで済むので、手入れも必要なく外にも持ち運び可能です(写真3)。旅行や出張先で宿泊先のベッドが低い場合やリフトを持っていくのが難しい場合など、いろいろな場面で活躍が期待できそうです。効果があるという人、無いという人がいるので、レンタルやお試しから使用してみてはいかがでしょうか。
※掲載者注:写真の著作権等の関係で写真3はウェブには掲載しておりません。

これらのことはお金のかかるものですが、リフトやパワースーツは調べれば補助金制度があるなど、手が出せないほど高価なものではなく身近になっています。今後も介助者とお互いがよりよい環境で支えあっていくためにも、いい製品があれば試していきたいと思っています。

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