[オーストラリア]専門的障害者宿泊施設に関するレポート

オーストラリア政府は、国民障害保険制度(National Disability Insurance Scheme: NDIS) の対象となる重度障害者のためのバリアフリー住宅に民間資金を活用するためにインパクト投資を進めています。

この住宅は、「専門的障害者宿泊施設(Specialist Disability Accommodation:SDA)」と呼ばれ、投資家がバリアフリー住宅を建築し、NDIS利用者に貸し出すという形で収益を得つつ、社会貢献にも寄与できるというものです。家賃は利用者を通してNDISから支払われるので、投資家にとっても安定して居住者が見込めるというメリットがあり、すでに26億ドル以上の民間投資が行われています。

しかし、空室率が高いこと、支払いの滞納、資金調達の適格基準の不透明さなどのために、住宅建設のプロバイダーがNDISを管理する全国障害保険庁(National Disability Insurance Agency:NDIA)への信頼を失っているとのことから、サマー財団(Summer Foundation)は、2021年半ばにSDAインベスターシンクタンク(SDA Investor Think Tank)を組織しました。サマー財団は、障害者の自立を支援する団体で政府からの支援を受けています。

同シンクタンクの目的は、インパクト投資家の視点を理解し、効果的な市場管理に対する投資家のビジョンを明確にすることで連邦政府と協力することです。シンクタンクの参加者は、SDA市場に6億5000万ドル以上を投資した投資ファンドマネージャーです。

同シンクタンクは、2021年8月24日に、「Specialist Disability Accommodation(SDA) Investor Think Tank」というレポートを提出しました。このレポートでは、NDIAの市場管理を強化するために、ファンドマネージャーはいくつかの提案をしています。これらには、NDIAからの需給関係情報の定期的発表、政府の政策および予想される市況の変更に関する情報提供、SDAの政策、政府機関の意思決定、およびSDA資金調達の適格基準に関する透明性を高める必要性などを強調しています。

詳しくは下のサイトをご覧ください。(寺島)
https://www.summerfoundation.org.au/building-a-sustainable-sda-market/

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