地域発~人をつなぐ地域をつなぐ-地域に役立つ仕事づくり~「ともにはま道」の活動~

「新ノーマライゼーション」2021年7月号

企業組合労協センター事業団亘理事業所 ともにはま道 サービス管理責任者
西畑勤(にしはたつとむ)

1.はじめに

企業組合労協センター事業団は、東日本大震災でおよそ町の半分の面積が津波の被害があった宮城県亘理町において、緊急雇用創出事業を受託し2013年3月に産直販売や弁当、総菜販売を中心とした「産直はま道」をオープンさせました。その後、2015年4月に緊急雇用創出事業打ち切りを契機に就労移行支援と就労継続支援B型の多機能型(現在は就労継続支援B型事業:定員20名)として再出発することになり、2015年5月に認可され「ともにはま道」として事業を行うことになりました。2016年2月に現在の場所に事業所を移転して新たにスタート(利用者4名)させ、私はその時にサービス管理責任者として入職しました。

それから利用者を増やす取り組みを進め、2016年度は7名、2017年度は23名となり、その後は常に定員を上回るほどになりました。そして約5年の間に、「ともにはま道」をステップにして延べ15名が就職等、新しい居場所に移動するなどして現在は24名の利用者と8名の組合員(職員)が働いています。

2.「ともにはま道」の取り組み

現在の仕事は、「産直はま道」から続けてきた弁当・総菜の製造・販売及び生産者の方たちが作った野菜の販売、またそれらをワゴン車に積んで町内を周る移動販売に加え、クラフトの自主製品販売、畑作業、地元企業からの下請け作業などを行っています。

弁当は店頭での販売に加え、亘理町内において独居老人の方たち等、地域で困っている方を対象に届けています。また移動販売は週に3日、近くにお店がない高齢者のお宅やデイサービスセンター、民間会社、役所や学校といった公共施設などでも販売しています。みなさん楽しみに待ってくれていて、時には買ってきてほしいものを頼まれたり、「差し入れ」や感謝の手紙をいただいたりすることもあります。利用者にとってもより身近に地域の方たちと触れ合い、喜ばれる機会となっていて、やりがいのある仕事になっています。

3.地域への働きかけについて

その他、地域とのかかわりへの取り組みとして、地元のカラオケ好きの高齢者を招いて、ランチを提供して行う「カラオケDEランチ」(年4回)の実施。子どもたちを対象とした「はま道まつり」(年1回)の開催。そして公民館をお借りして高齢の方たちの憩いの場として毎月20日に「高屋(こうや)(地域名)カフェ」など、とても好評で参加人数が増えていきました。

4.みんなで大事にしたこと

このように私たちの活動は地域に根ざし、開かれた事業所として極めて順調に発展していきましたが、コロナ対応に追われる日々となりました。

現在は、感染防止のために、地域とのかかわりへの取り組みとして行っていた「カラオケDEランチ」や「はま道まつり」「高屋カフェ」などは中止しています。

そのなかで今、私たちがやらなければならないのは何か、何を大事にしていかなければならないかを考えると、それは利用者である仲間たち及び組合員とその家族の命と健康、そして生活を守ることであると確認し合いました。毎年行っていた「お花見」や「芋煮会」も含め、すべての行事が中止となってモチベーションが保ちにくい状況ではありますが、みんなにとってのこの場所は、なくてはならない大事な居場所です。

今はコロナ禍で思うような活動はできませんが、これからも「地域の人々のためになる仕事をしよう」「地域や社会にとって意義のある仕事をしよう」と仲間たちとともに取り組んでいきたいと思います。

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