地域発~人をつなぐ地域をつなぐ-仙台市交通局におけるバリアフリーの取組~地下鉄南北線のハード整備~

「新ノーマライゼーション」2021年8月号

仙台市交通局鉄道技術部施設課

1.はじめに

仙台市交通局の地下鉄事業では、これまで仙台市交通局交通バリアフリー特定事業計画(H16~H22年度)及び第2期仙台市交通局バリアフリー特定事業計画(H23~H32(R2)年度)(以下、第2期特定事業計画)に基づき、バリアフリー化を推進してきました。

このたび、第2期特定事業計画の事業期間が終了したことを受け、これまでの整備実績及び高齢者や障害のある方との意見交換等を踏まえて、新たに第3期仙台市交通局バリアフリー特定事業計画を策定しました。

本稿では、当該計画について、地下鉄のハード整備に係る取組をご紹介いたします。

2.第3期仙台市交通局バリアフリー特定事業計画の概要

(1)事業期間

R3~R12年度(10年間)

前期:R3~R7年度(5年間)(以下、第3期前期計画)

後期:R8~R12年度(5年間)

(2)整備路線

仙台市交通局では、南北線と東西線の2つの地下鉄路線を管理しています。H27年に開業した東西線の各種設備については、関係法令や基準を満たしていることから、第3期前期計画では、主に南北線の各種設備のバリアフリー化を進めることとしています。

3.第3期前期計画の取組項目

(1)第2期特定事業計画からの継続事業

南北線の駅舎トイレについて、入口の段差解消やオストメイト用設備を備えた車椅子対応トイレの増設を含めた全面的な改修工事を行っています。これまでに全17駅中14駅の整備を行い、残り3駅について令和3年度に完了する予定です。

また、利便性向上の取組として南北線ホーム~コンコース間に下りエスカレーターを設置しており、これまでに設置対象となる全16駅中11駅の整備を行い、残り5駅について、引き続き整備を行っていきます。

その他、音声・音響案内設備やエスカレーターの進入可否表示等の誘導・案内設備についても継続して整備を進めていきます。

(2)第3期前期計画からの新規事業

1.ホームと車両との隙間縮小

南北線においては、ホームと車両との間に隙間と段差があり、車椅子使用者が乗降する際に、駅務員が渡り板を設置し対応しています。第3期前期計画では、南北線各駅のホーム端部へ櫛ゴムを設置し隙間を縮小します。また、後述する南北線車両更新により段差の縮小を行い、全車両の更新が完了するR12年度には車椅子使用者の単独乗降が可能となる見込みです。なお、東西線については開業時より隙間と段差を縮小し、車椅子使用者の単独乗降が可能となっています。

2.新型車両への更新

南北線の車両が今後耐用年数を迎えることから、安全かつ快適な輸送サービスを提供するため、R6年度からR12年度にかけて3000系車両への更新を行います(第3期前期計画期間では3編成の更新を実施)。車両更新に伴い、以下のとおり車両設備のバリアフリー化に取り組んでいきます。

  • 聴覚障害者等が車内外から確認できるように車内ランプの点滅によりドアの開閉のタイミングを表示
  • 車両の低床化によりホームと車両乗降口との段差を縮小
  • 各車両に1箇所ずつ2段横手すりを備えた車いす・ベビーカースペースを設置
  • 液晶の車内案内表示装置により、次停車駅で扉が開く方向や運行等に関する異常時の情報を提供

なお、デザイン投票の結果、R3年5月に新型車両のデザインを決定しています。

4.おわりに

仙台市交通局では、安全運行を第一としながら、お客様の視点に立ったサービスの向上に継続して努めてまいります。

仙台市にお越しの際は、仙台市地下鉄をご利用いただければ幸いです。

※バリアフリーへの取組の詳細は仙台市交通局HPをご覧ください。

仙台市交通局HP
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