[法務省]法制審議会-刑事法(性犯罪関係)部会開催

令和3(2021)年10月27日、第1回「法制審議会-刑事法(性犯罪関係)部会」が開催されました。

令和3年9月16日,法務大臣から,「性犯罪に対処するための法整備に関する諮問」(諮問第117号)がなされ,同日開催された法制審議会第191回会議において,同部会を設けることが決まりました。

諮問の背景には、平成29年6月に成立した刑法の一部を改正する法律により,性犯罪の罰則について改正が行われましたが,改正法附則第9条において,「この法律の施行後3年を目途として,性犯罪における被害の実情,この法律による改正後の規定の施行の状況等を勘案し,性犯罪に係る事案の実態に即した対処を行うための施策の在り方について検討を加え,必要があると認めるときは,その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする」とされたことがあります。

法務省では,この検討に資するよう,平成30年4月から,省内の関係部局の担当者を構成員とした「性犯罪に関する施策検討に向けた実態調査ワーキンググループ」を開催し、令和2年3月その取りまとめ報告書を公表しました。

また、同年6月から,「性犯罪に関する刑事法検討会」を開催し,令和3年5月、報告書が取りまとめられました。

同部会の主な審議事項は次の3つです。

(1)相手方の意思に反する性交等及びわいせつな行為に係る被害の実態に応じた適切な処罰を確保するための刑事実体法の整備
 ①13歳以上の者に対する強制わいせつ罪及び強制性交等罪及び準強制わいせつ罪及び準強制性交等罪の要件を改正すること
 ②暴行・脅迫を用いなくても強制わいせつ罪又は強制性交等罪が成立することとされる年齢を引き上げること
 ③相手方が脆弱であることや相手方との間に一定の地位・関係性があることを利用して行われる性交等やわいせつな行為に係る罪を新設すること
 ④強制わいせつの罪の対象となるわいせつな挿入行為について刑法における取扱いを見直すこと
 ⑤配偶者間において強制性交等罪などが成立することを明確化すること
 ⑥性交等又はわいせつな行為をする目的で若年者を懐柔する,いわゆるグルーミング行為に係る罪を新設すること

(2)性犯罪の被害の実態に応じた適切な公訴権行使を可能とするための刑事手続法の整備
 ①性犯罪の公訴時効を見直すこと
 ②捜査機関が被害者等から聴取した結果を記録した録音・録画記録媒体の証拠能力についての特則を新設すること

(3)相手方の意思に反する性的姿態の撮影行為等に対する適切な処罰を確保し,その画像等を確実に剝奪できるようにするための実体法及び手続法の整備
 ①性的姿態の撮影行為やその画像等を提供する行為に係る罪を新設すること
 ②性的姿態の画像等を没収・消去することができる仕組みを導入すること
 審議内容は、障害者にもかかわりの深いものになっています。詳しくは次のサイトをご覧ください。(寺島) https://www.moj.go.jp/shingi1/housei02_003011

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