地域発~人をつなぐ地域をつなぐ-宿泊施設の客室内部を対象としたバリアフリー基準の新設~京都市建築物等のバリアフリーの促進に関する条例が改正されました~

「新ノーマライゼーション」2021年10月号

京都市都市計画局建築審査課

バリアフリー条例改正の背景

歴史ある寺社仏閣や風光明媚な名所、京町家が立ち並ぶ風情ある町並みなど、伝統的な景観や文化を維持する京都市は、146万人の市民が生活する大都市であるとともに、魅力ある観光都市として、国内外を問わず多くの観光客が訪れます。

このような京都市における宿泊施設について、ここ数年のホテル建設ラッシュにより客室数は満たされたものの、今後、超高齢社会が進展し、高齢者や障害者の利用機会が増加するだけでなく、コロナ禍による軽症者の受け入れをはじめ、災害時の避難施設としての利用など、すべての人が安心して利用できる良質な宿泊環境の整備が求められます。

こうした状況から、「どこでも、誰でも、自由に、使いやすく」といったユニバーサルデザインの観点を踏まえ、令和3年4月、「京都市建築物等のバリアフリーの促進に関する条例」(以下「条例」という。)を改正し、建築等を行う市内すべての宿泊施設を対象にバリアフリー基準を充実させ、質の向上を図ることとしました。

また、高齢者や障害者の方が宿泊施設を利用する際、事前にバリアフリー情報を把握できる環境を整備するため、宿泊施設のバリアフリー情報に関する公表制度も併せて創設しました。

一般客室内部のバリアフリー化

京都市ではこれまで、宿泊施設について、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」で対象規模を床面積2,000㎡以上としているものを条例で1,000㎡以上に引き下げ、共用部分や客室までの経路のバリアフリー化、車椅子使用者用客室の設置を義務化してきました。

今回の条例改正では、高齢者や肢体不自由者、妊産婦など移動の制限を受ける方を含む、すべての利用者が使いやすい客室の整備を目的に、全客室を対象として、下図に示すとおり、客室内通路、便所、浴室、ベッド周辺に一定の空間を確保するなどの基準を設けています。

図 <新基準を適用した客室(ツインルーム)の例>拡大図・テキスト

また、共用部分についても、エレベーターの設置基準を拡充し、便所の整備基準を充実しています。

ソフト・ハード両面に関するバリアフリー情報の公表制度の創設

高齢者や障害者の方が宿泊施設を利用する際に、必要となるハード面の施設やソフト面の支援・サービスは、各々異なることが想定されるため、きめ細やかな情報発信が望まれます。

このため、公表制度を創設し、宿泊施設のホームページ等において、共用部の段差や車椅子使用者用客室の有無、一般客室内の通路幅などハード面のバリアフリー情報の公表を義務づけるとともに、備品の貸し出しや筆談サービス等の提供などソフト面のバリアフリー対応についても、積極的に公表していただくよう促します。

また、各宿泊施設で公表されたバリアフリー情報を京都市に届け出ることを求めており、各宿泊施設の情報を集約のうえ、京都市のホームページにおいても公開します。

最後に

「市民・事業者・観光客」に「未来」を加えた「四方よし」となる持続可能な観光都市の実現に向けて、皆さまのご協力をよろしくお願いします。

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