リハ協アップデート

「新ノーマライゼーション」2021年11月号

今月号の特集は「わがレジェンドたち」です。どんな事柄であれ、今日「当たり前」となっていることには、そのことに精力と時間をかけた先人たちがいた。まさにレジェンドと呼ぶにふさわしい4人の方々の筆に触れ、福祉の歴史は本の中だけにあるのではないことを思い知らされました。

竹内氏は避難支援の防災チーム「五人組」を旧増穂町につくりました。また、出会いの場をつくり適齢期の人たちに交流を促しました。その信念は、『身に余って障害にさしさわりのない範囲で協力支援が可能である場合は、潔く惜しみなく他者への支援の手を差し延べる』というものでした。できない自分を理解してもらうことは恥ずかしいことではないとも。

笹川氏は資格をとっても仕事が無かった時代に、近所の人の勧めで落花生の殻むきの仕事をしました。また、鍼・灸・マッサージの健康保険適用に尽力し、脳卒中やパーキンソン病の方々の継続治療を可能としました。『働く喜びを実感し労働こそ人間の命だ』というご自身の実体験から発せられたことばが心に刺さります。

北野氏はわが子の大病をきっかけに医療現場での筆談の限界に直面し、信頼関係の構築にはコミュニケーションが重要であると悟りました。また、古民家である自宅を大学生に開放し手話の手ほどきをしました。その自宅は今では、ろう者と共に学び合う「共育」の場になったと。『打たれる土地はよい畑になる』を実践されています。

村山氏はご子息の幼稚園卒園式に現実を突きつけられます。爾来、5人の親の会、市、県、全国と次々に活動の対象を広げていきました。ご子息が21歳の若さでこの世を去った後も。その原動力とは、『みんなが幸せになるための活動をやらなければ、わが子の幸せはない』という思いから。これもある父親の心の声を目にしてからでした。

いずれも個人の「きっかけ」が時と共に他者の幸福、そして社会基盤の構築に繋がったという証の玉稿がそろいました。レジェンドの皆様には短時間の中ご協力をいただきありがとうございました。(K)

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