[厚労省]改正臓器移植法のガイドライン改正案を公表

令和4(2022)年1月21日、厚生労働省は、「臓器の移植に関する法律」の運用に関する指針(ガイドライン)の一部改正(案)を公表しました。

本ガイドラインは、「臓器の移植に関する法律(平成9年法律第 104 号)」及び「臓器の移植に関する法律施行規則(平成9年厚生省令第 78 号)」の適正な施行のために制定されました。(平成9年健医発第 1329 号厚生省保健医療局長通知)

平成21年に「臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律(平成 21 年法律第 83 号)」により同法の改正が行われ、本人の意思が不明であっても家族の承諾により臓器提供を可能とすること等が規定されました。

改正から10年を経過し、厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会において見直を検討し、臓器提供を希望する遺族の意思が尊重されるように、以下のようにガイドラインを改正する案が示されました。

○ 現行のガイドラインにおいて、虐待が行われた疑いがある児童が死亡した場合には、臓器の摘出は行わないとされているところ、18 歳未満の児童の臓器提供における虐待事例を除外する基準を明確化するため、児童虐待防止法に基づく通告を行わない場合は、遺族の書面による承諾により臓器の摘出を行って差し支えないという内容に記載を修正する。

併せて、福祉事務所又は児童相談所が虐待として介入していないことが確認できた場合には、院内倫理委員会等の確認の下に臓器の摘出を行って差し支えないことを追記する。
○ 15 歳未満の知的障害者等について、知的障害等がない者と同様、生存中に臓器を提供する意思がないことを表示している場合以外の場合であって、遺族が書面により承諾しているときは臓器提供を可能とする

改正の背景として、前者については18 歳未満の児童の臓器提供における虐待事例の除外について、現在のガイドラインの記載によって現場の消極的な運用を招き、虐待の疑いが完全に否定できないとの懸念により、念のため臓器提供を見合わせる事例が生じていることから適切な記載に改めるべきという意見があること、後者については、15 歳未満の小児における臓器提供について、知的障害等の有無により、取扱いに不整合が生じており是正すべき等の意見があること等があるとのことです。

この改正の施行予定日は令和4年4月1日とされています。

同案については、2022年2月21日まで、パブリックコメントにかけられています。
詳しくは、下のサイトをご覧ください。(寺島)
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495210375&Mode=0

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