リハ協アップデート

「新ノーマライゼーション」2022年2月号

昨年11月号の特集「わがレジェンドたち」はその副題にもあるようにレジェンドたちの生きてきた生き様を次世代の方に知ってほしいという思いから編集しました。案の定4人の執筆者の方々皆様に紆余曲折の人生があり、市井における福祉歴史物語となりました。

そのレジェンドの一人として執筆をお願いした一般財団法人全日本ろうあ連盟元理事の北野雅子様が1月2日にご逝去されました。享年80歳でした。「若竹集う 楽しいわが家」と題した遺稿となってしまった一節には次のような記述があります。『私はもう80歳。人生でいえばもう晩節です。あと残りの命はどう過ごそうか、晩節は心安らかに過ごしたい、自分の心が平和で安泰で居られる場所、それは結局、たどり着くのは夫が残してくれた思い出多き、わが家です。ここを終の棲家に決めました。もちろん、一人では無理です。多くの仲間、家族の協力があればこそです。』

地域で支えるさまざまな活動が各地で行われています。その多くが人々の集まる場所づくり、いわゆる「居場所」を設けるところから始めるのが多いようです。自宅を開放するという話もそこここで耳にします。北野様も明治中期に建てられたという古民家で育ち、ここ数年、そこを開放し「若竹の集い」と称して若者たちと共に過ごすことを楽しみにしているとの記載がありました。想像ですが、きっと天井が高く、大黒柱があり、太い梁に支えられた部屋ごとの襖を外すと冠婚葬祭など催事が可能な、生粋の和風建築なのではなかったかと思います。そこに集う次世代を背負う若者のエネルギーに北野様も包まれていたのでしょう。その環境も雰囲気も羨ましい限りです。

添えられた集いの写真からは聞こえる、聞こえないを超越した人と人との温もりが伝わってきました。謹んでご冥福をお祈りいたします。(K)

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