快適生活・暮らしのヒント-手指の関節に負担をかけない暮らしの中の工夫

「新ノーマライゼーション」2022年3月号

喜多山美代子(きたやまみよこ)
日本リウマチ友の会会員

私は、出産2年後に発症して、病歴33年になる関節リウマチ患者です。

発症当時はまだ決め手となる治療がなく、薬を数か月ごとに替えて状態を見ていましたが、炎症をなかなか抑えることができずに関節が壊れ、左肘や右手首の関節形成手術や、右手の中指と母指の固定手術を次々に受けるにいたりました。

それでも16年前に生物学的製剤を使い始めてからは徐々に症状が落ち着いてきて、現在では寛解の状態が続いています。炎症が治まっていることは大変ありがたいですが、やはり手指、手首、肘の変形や可動域の制限は後遺症として残っているのが現実です。

そんな経緯で、私は手指がしっかり握れない、力が入りにくいという障害を持っています。右手が利き手の私にとって、日々の暮らしで困るのは、瓶の蓋を開けたり、小さなつまみを回したり、プルタブを開けたりというような、本当にちょっとした動作です。人の手を借りられない時は何とか自力で開けるために、いろいろなオープナーを駆使します。滑らないゴム製で、てこの原理で開けるタイプがほとんどですが、形の違う物をいくつも揃えておいてその時々に応じて使い分けています。

また、手指の関節に負担をかけない、痛くならない工夫としては、買い物の際、レジ袋やエコバッグの持ち手をシリコンゴム製のホルダーに挟んでいます。それによって買い物袋の重さによる指の関節へのくい込みは痛みをだいぶ軽減することができます。なるべく重たい物を持たないことが一番良いのですが、生活の中ではそうも言ってはいられません。このホルダーなどは、特に指の障害がない方でもバッグに一つ入れておくと良いと思います。

他に生活の中でよく使う自助具では、マジックハンドも挙げられます。普段よく使っているマジックハンドは、長さがやや短めの45cmのものです。私は膝を床につく動作やかがみこむ動作がつらいので、何かを拾いたい時や、狭い所、高い所に手が届かない時、掃除をする時などにもとても便利です。すぐ使えるようにいつも近くに置いてあります。

リウマチ患者とって自助具とはとても身近なもので、特別な物を使っているとか工夫しているという意識もないまま道具として、便利グッズとして何気なく使っているものも多いのです。障害は人によって異なるので、使い勝手もさまざまです。これからも自分にとって使いやすい物を見つけて日々の生活で使いこなしていきたいと思います。

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