[厚労省]「社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会報告書」を公表

令和4(2022)年2月10日、厚生労働省は、「令和3年度社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会報告書」を公表しました。

同報告書が作成された背景には、平成 28 年の児童福祉法等改正の5年後見直し年を迎えることや、令和3年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2021」において、児童の健全育成推進や虐待予防の観点から、必要な措置を講ずるとされていることがあるとのことです。

同委員会では、こうしたことを受けて、児童福祉制度、母子保健制度、子ども・子育て支援制度等について令和3年4月から合計 15 回の議論を行い今回の報告書を作成しました。

同報告書の主な内容は、下のようになっています。

1.市区町村における家庭・養育環境支援の強化
(1)把握・マネジメント機能の強化
○市区町村における身近な子育て支援(保育所等)による身近な把握・相談機能の整備
○全ての妊産婦・子育て世帯・子どもの一体的相談機関の設置 ※子育て世代包括支援センター(母子保健)と子ども家庭総合支援拠点(児童福祉)を見直し。
○母子保健における把握の取組を推進しつつ、支援の必要性の高い世帯を計画的・効果的に支援するためのサポートプラン作成
(2)支援の充実
○支援の必要性の高まりを防ぐための家庭・養育環境の支援の事業の創設 ※訪問による生活支援、学校や家に居場所のない子どもの居場所支援等
○支援が必要な者に市区町村から支援を結びつけるため、家庭・養育環境の支援に関する利用勧奨・措置の権限付与
2.児童相談所の支援機能等の強化
○児童相談所の支援強化 ※民間と協働して保護者支援(親子再統合) や里親支援(里親支援機関の児童福祉施設化)の確実な提供を可能に。
○一時保護開始の判断に関する司法審査の導入
○一時保護所の人員配置等に関する基準の策定と第三者評価の受審
3.子どもを中心として考える社会的養育の質の向上
○児童相談所による措置等の際に、子どもの意見・意向を意見聴取等の方法により把握し、子どもの最善の利益を考慮しその措置等に勘案
○都道府県による意見・意向表明支援の体制整備と権利擁護機関(児童福祉審議会等)の活用等による権利擁護の環境整備
○社会的養育経験者の自立支援の充実 ※施設等の入所等の年齢による一律の退所等の見直し、在宅にいる児童等への通い等の自立支援の拠点整備
4.人材育成等
○子ども家庭福祉の実務者の専門性の向上 ※子ども家庭福祉の実務経験者向けの認定資格(子ども家庭福祉ソーシャルワーカー(仮称))を導入
○児童へのわいせつ行為を行った保育士の資格管理の厳格化。ベビーシッターも、わいせつ行為等への行政処分を公表。

なお、報告書の内容は、令和4年3月4日に児童福祉法改正法案として令和4年通常国会に提出されました。

詳しくは下のサイトをご覧ください。(寺島)
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho_126712.html

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