これからの放送アクセシビリティに期待すること

「新ノーマライゼーション」2022年5月号

社会福祉法人日本視覚障害者団体連合 組織部長
三宅隆(みやけたかし)

「放送分野における情報アクセシビリティに関する指針」により、テレビ放送における解説放送を付与する割合と、実施する放送局の幅が広がったことで、解説放送を付与された番組が増えてきています。また、これまで映画やドラマといった限られたジャンルが中心となっていたものも、一部のスポーツ中継にも付与される試みがされるなど、ジャンルの幅も広がりつつあります。さらにドラマの解説付与も、スペシャルドラマや再放送にのみ行われていたものが、連続ドラマの本放送にも付与されるようになったことは、たいへん好評を得ています。

ただし、指針にもあるとおり、解説放送を付与できる番組に制限があり、その達成目標値は必ずしも高いとは言えません。

しかし、各放送事業者で、解説放送を付与できる番組を増やすべく、新技術を使った試みも行われており、これまで解説付与が難しかった番組にも対応されることが期待されます。

なお、解説が付与される番組が増えていくことも期待している一方で、私たちが望んでいることは、ニュース・情報番組における情報のアクセシビリティです。例えば外国の方の発言が原語と字幕のみで放送されているものが昨今増えていますが、その原語が分からず、字幕を見ることができない人にとっては、まったく情報を得ることができません。ただし、一部の番組では日本語吹き替えが流されることもあり、同じような対応が増えることが望まれています。

また、字幕テロップのみのニュース速報については、生放送のニュース番組でその内容に触れられるのみで、そのほとんどが私たちに伝わっていないことが実情です。

これら字幕テロップのみで伝えられる情報も、新技術を活用するなど、さらなる取り組みに期待しています。

テレビを中心とした放送は、情報を得る手段として欠かせないものです。私たちも等しく情報を得られるよう、今後もさらなる技術開発と取り組みに期待しています。

menu