快適生活・暮らしのヒント-動けなくなる不安の中で~知恵と工夫と仲間づくり~

「新ノーマライゼーション」2022年5月号

城島朋子(じょうじまともこ)
エンジョイポリオの会

私の病気はポリオです。ポリオはウイルスによって発生する疾病で、子どもがかかることが多く小児麻痺ともいわれ、手足の筋肉や呼吸する筋肉等に麻痺を生じることがあります。私は50歳ころさらにポストポリオを発症し、今では両足に長下肢装具をつけ車椅子生活を送っています。

10年ほど前まで両足長下肢装具と杖で生活できていたのですが、我が家は段差が多く転倒し骨折を繰り返していました。私は環境をバリアフリーにすると障害は少なくなると思っているので、一番高い場所(お風呂場の床の高さ)に合わせて、家中の床をかさ上げしました。16cmくらい床が高くなったのでキッチン台や洗面台の下の扉をはずして床下に沈んだ部分は撤去しました(写真1)。すると車椅子にちょうどよい高さとなりました。
※掲載者注:写真の著作権等の関係で写真1はウェブには掲載しておりません。

これでバリアフリー環境はすべて整った!と思いました。ところが、肩と腕に強い痛みがでてきたのです。トイレやベッドへの移乗、着替え等、家事も困難になったので、身近にあるものを活用して自助具を作ろうと思いました。今回はそのうちのいくつかをご紹介します。

まずはドライヤースタンドです。百均で購入したバナナスタンドに自転車に取り付けるペットボトル置きを結束バンドで取り付けて、そこにドライヤーを固定しました。これでドライヤーを持たずに髪を乾かすことができます(写真2)。
※掲載者注:写真の著作権等の関係で写真2はウェブには掲載しておりません。

車椅子の生活をしていると、手が届く範囲が限られてしまいます。マジックハンドは物を取る時やカーテンの開閉などに便利です。床に落とした錠剤など、特に小さな物を取り上げる時に役立つのは焼肉用のトングです。

停電などでブレーカーが落ちて復旧させるためにスイッチをオンにする時、ブレーカーの位置が高くて困ります。私はブレーカーを逆さまに取り付けてもらい、スイッチに紐をつけています。この紐を引けば復旧することができます(写真3)。それから、コンセントは低い位置にあることが多く手が届きません。そこで短い延長コードを両面テープで手が届く位置に固定して手元コンセントにしています(写真4)。
※掲載者注:写真の著作権等の関係で写真3、4はウェブには掲載しておりません。

あとは365人の仲間づくり。1年に一度くらいなら手伝ってやろうという仲間をたくさんつくることを目標にしています。顔見知り程度でも気軽に手伝ってくれる人たちは、とても大事です。

これからも、環境を整え、知恵と工夫を忘れず、支えてくれる仲間を大切にして暮らしていこうと思います。

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