リハ協アップデート

「新ノーマライゼーション」2022年5月号

コロナはいつ収束するのか。誰にも答えがわからない不確実性の中で、国境が閉ざされた2020年春。当協会が実施するダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業に招聘予定だった第22期研修生たちは、日本の障害者福祉や日本文化を学ぶべく、約10か月間日本に滞在するはずでしたが、外国人の新規入国が制限され来日の延期を余儀なくされました。

同年11月、このままでは研修生の熱意に応えられないとの観点から、オンラインでの日本語・日本手話研修をスタートさせました。開始当初は、翌年の春には来日できるだろうと勝手な予想を立てていましたが、そんな思いとは裏腹に、第2、第3波と何度も押し寄せる感染の波に翻弄され、その都度、その時点におけるベストな選択は何かと迫られました。

当初は何もかもが手探りです。授業は1対1が良いのか、どの教材を使ったら良いのか、1回何時間なら集中して受けられるのか等、講師の先生方と情報を交換し検討を重ねました。また、研修生の障害に合わせた配慮や習熟度に応じた対応も必要でした。視覚障害のある研修生には音声による教材を、ろうの研修生には自主学習ができるようオンライン教材を提供しました。実施していく中で、実は手の障害がこちらが考えるよりも重く、ペンを持って書くことも難しいということを知ったこともありました。実際に会えばすぐにわかることも、オンラインでは情報量が限られてしまいます。語学研修以外にも、月に1回、研修生同士の交流の場を設け、お互いを知るためのアクティビティを通じ、結束力を高めてきました。先が見えない中で、モチベーションを保ち続けることは、きっと不断の努力が必要だったことと察するに余りあります。

そして、ようやく国境が開いた2022年春。これらの困難を乗り越えてきた22期生は、念願の日本で日々の研修に励んでいます。彼らの今後の成長に乞うご期待を!(N)

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