快適生活・暮らしのヒント-誰かの力を分けてもらって、また誰かの力になる暮らし

「新ノーマライゼーション」2022年7月号

須藤雫(すどうしずく)
熊本県発達障害当事者会Little bit(リルビット)共同代表理事

私は、自閉症スペクトラム障害・ADHD・双極性障害の診断をもつ当事者です。暮らしていく中で困難なことはたくさんありますが、特に物事の感じ方が独特で、他者から想像できないことで不安を強く感じたり、思いつめたりすることがあります。

私は以前、ヘルパーを利用することに大きな抵抗がありました。「自分の身の回りのことは自分でこなさなければならない」という固定観念が抜けず、すべてを一人で完璧にこなすことを目指しては、度々できない自分を責め立て、疲弊していました。しかし、その疲弊するエネルギーがもったいなく、それより負担を減らして「本来やりたいことやできることに集中して取り組むエネルギーを生み出す」ためにヘルパーを利用することに決めました。現在、掃除や食器洗い、調理、買い物代行などをお願いしています(写真1)。すると、以前より、自分のことを責めることが減り、エネルギーも前向きなことに使えるようになりました。できないことは思い切って誰かに頼っていくことも生きる上で大切だと気づきました。
※掲載者注:写真の著作権等の関係で写真1はウェブには掲載しておりません。

私にはいくつか心が落ち着きやる気が出るパワースポットがあります。それは、熊本市内にある江津湖(えづこ)公園とミスタードーナツのお店です。他にもカフェに行くと元気が出る時もあります。江津湖公園はとても平和な空気が流れていて、時間のことを忘れられます(写真2)。自分自身が「どこで」「どうすると」元気になれるのかを把握しておくことは大事だと思います。一人の時でも自分自身の力で元気を取り戻せることは大きな強みです。ミスタードーナツではこだわりでいつもポンデリングしか食べません。甘いものを食べると頭が回復するのか、私の脳は単純で、調子が良くなるといろんなアイデアがわいてくることもあります。
※掲載者注:写真の著作権等の関係で写真2はウェブには掲載しておりません。

最後にご紹介したいのが、発達障害の「当事者会」です。私は10年以上当事者会にかかわり続けています。一人でも元気になれる方法はあるのですが、どうしても思い悩んだり、視野が狭くなったりした時に、誰かと対話して自分を見つめ直すキッカケを求めて参加しています(写真3)。月に数回集まり、仲間たちと過ごすことでいろいろな考え方や価値観に触れられ、世界が確実に広がっていきます。時々疲れたから行くのもしんどいなと思っても、行ってみると後悔したことは一度もありません。
※掲載者注:写真の著作権等の関係で写真3はウェブには掲載しておりません。

暮らしていく中で、たくさん悩みは尽きないですが、一人で解決する方法も持ちつつ、誰かの力を分けてもらいながら、そして私もまた誰かの力になれたらいいなと思いながら、今日も暮らしています。

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