地域発~人をつなぐ地域をつなぐ-資源の再利用~自転車でつながる福祉~

「新ノーマライゼーション」2022年8月号

社会福祉法人コスモス福祉会 障害福祉サービス事業所あおぞら 施設長
堀江貴子(ほりえたかこ)

1984(昭和59)年9月在宅障害者を中心として作業所作りに向け活動が始まり、小規模施設「一宮明日香共同作業所」を経て、1990(平成2)年4月社会福祉法人コスモス福祉会「障害福祉サービス事業所コスモス」(開設当時は身体障害者授産施設)が開設されました。現在では生活介護、就労継続支援B型のサービスを提供し34名が利用。小規模時代から取り組んできた空き缶やビンの回収分別のリサイクル作業等に加え、ペットボトル、トレーの回収・仕分け、電線からの銅の取り出し、残糸で軍手を編んで販売を行い、リサイクル事業に取り組んでいます。

コスモス開設から32年たった現在、当法人は日中活動事業所が7か所、GHが9住居、福祉ホーム・障害者支援施設・相談支援センター・居宅事業所各1か所の事業を展開しています。その中で2005(平成17)年12月に5か所目の日中事業所として「あおぞら」が開設されました。現在生活介護19名、就労継続支援B型12名の知的障害、自閉症の方々が利用し、“働く”を提供する事業所として、自転車事業、リサイクル事業、キャンドル制作のリサイクル事業に取り組んでいます。どの作業においても一人ひとりの個性やペースに合わせて役割を持って取り組み、それぞれの力が発揮できるように配慮しながら、作業支援を行っています。

自転車事業ではトラックで利用者と一緒に回収に出掛け、愛知県はもとより、岐阜県にも足を延ばしています。あちこち行ける楽しみがあり、気分転換にもなっています。錆び付いたねじを外すのも大変な中、熟練した利用者たちは次から次へと無料で回収してきた自転車(一部有料)を解体していきます。タイヤやサドル・ベル・かご等を外す人、タイヤのゴム・チューブを外す人、タイヤのスポークを切る人、ペダルやハンドルを外す人等々利用者に合った役割ごとに分担し、解体後、鉄やアルミ、ステンレス等に分別納品し、資源としてリサイクルしています。まだ使える部品は販売し、海外にも渡っています。初めのころは不要自転車を確保するため、アパート・マンションの管理会社への営業活動を行いました。その結果多い時で回収台数が年間1万台を超える年もありました。現在でも8,000~9,000台と安定した台数を確保できています。さらに行政からも障害者優先調達推進法における取り組みとしての撤去依頼、また大学からも、700~800台の撤去依頼を受けるケースもあります。口コミでも伝わり、HP等を見た方からも。また、事業を続ける中で福祉用具の会社や高齢者施設から車椅子等の回収も行うようになり、自転車同様解体し、資源としてリサイクルしています。その他地域の自転車店ともつながっています。自主事業である自転車解体は失敗がなく、自分たちのペースで取り組める良さがあるのが強みです。

リサイクル作業では、一宮市の資源回収拠点に毎週土日に持ち込まれた資源(ビン、缶、ペットボトル、段ボール、新聞、雑誌等)をコスモスと連携して引き上げて分別納品しています。また、地域の資源回収拠点として事業所内にスペースを開放し、地域とのつながりの一環としても取り組んでいます。

キャンドル制作もリサイクルの一環で、葬儀屋さんからいただいたろうそくを利用して、創作キャンドルを作成し販売しています。悲しみの詰まったそうろくが生きたキャンドルに生まれ変わります。

今後も今の仕事を維持できるよう、さらに自転車に付加価値を付けられる事業を展開して、少しでも工賃を上げていきたいと思います。

menu