快適生活・暮らしのヒント-少しの工夫が支える私の暮らし

「新ノーマライゼーション」2022年8月号

石井千月呼(いしいちづこ)
大阪府在住

私は生まれつき視覚に障害があります。基本的に文字の読み書きは音声読み上げや点字を使っていますが、近距離であれば色や形を目で認識することができます。

近ごろではさまざまなスマホアプリや便利なグッズが開発され、視覚に障害があっても少しの工夫で快適な生活を送ることができます。私は昨年から一人暮らしを始めました。マイペースに過ごせるのが一人暮らしの良い部分である一方で、毎日家事をしなければなりません。今回は日ごろの家事の中でのちょっとした工夫を紹介します。

まずは自炊に関する工夫です。もともと料理に興味があり、実家にいた時から休日など時間がある日は料理に挑戦していました。簡単なものでも自分で作ったものを食べたいので、一人暮らしを始めてからはほとんど毎日何か作っています。その時によく使う必需品を2つ紹介します。

1つ目はお米を洗って水を流す際にお米がこぼれない便利グッズです(写真1)。数年前に100円ショップで購入したもので、お釜に取り付けるだけで、一粒もお米をこぼさず洗うことができます。お米をこぼしてしまうのがもったいなくて、こぼれないように慎重になり、時間がかかっていたため時短にもなりとても重宝しています。
※掲載者注:写真の著作権等の関係で写真1はウェブには掲載しておりません。

2つ目はコンパクトなまな板です(写真2)。20センチ四方なので大きな食材を切ることはできませんが、小さなものを切りたい時に使っています。このまな板の便利な部分は2か所に枠が付いているところです。切っていると食材がまな板から飛び出してしまいそれに気づかず、料理を終えて後片付けの際に取りこぼしていることに気づくことがよくあります。しかし枠があることでそれを防ぐことができるうえ、枠の一部は網目になっているので水切りをすることもできる優れものです。
※掲載者注:写真の著作権等の関係で写真2はウェブには掲載しておりません。

2つとも視覚障害者向けに作られた商品ではありませんが、自炊をする際私を助けてくれる心強いパートナーです。

次に服のコーディネートをする際の工夫です。服を着る時気になるのが組み合わせです。トップスとボトムス、それぞれの色やデザインは分かったとしてもその2つがマッチしているのか、鏡を見て確認することができないため悩んでいました。そこで、新しいものを購入した時に、すでに持っているものと合わせて母に確認してもらい、写真に撮っておくことにしました。おかげで出かける前にバタバタと服を選ぶ手間もおかしな組み合わせで外出してしまう心配もなくなります。ひと手間かけることで自信を持ってファッションを楽しむことができています。

今回ご紹介したのは工夫の一部ですが、暮らしを快適にしてくれているなくてはならないものです。また、ひと手間加えることで心に余裕も生まれ、充実した生活を送ることができています。これからも少しの工夫と手間を惜しまず、同じ1日なら少しでも楽しいと思える日々を過ごしたいです。

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