地域発~人をつなぐ地域をつなぐ-きょうされん全国大会in東北・いわて~3年ぶりの対面式による全国大会の実施

「新ノーマライゼーション」2022年11月号

きょうされん第45回全国大会in東北・いわて実行委員会 事務局長、きょうされん理事
栗田誠(くりたまこと)

1. きょうされん全国大会

今回で45回目を数えるきょうされん全国大会を9月30日、10月1日の2日間、岩手県陸前高田市で開催しました。きょうされん全国大会は、ともに学び合い、交流し、つながりを確かめ合うことを通して、心ひとつに明日へのエネルギーを培う場です。大会当日は全国から300人の障がいのある仲間を含む1,400人の参加がありました。私たちは、400人の地元ボランティアとともに、北は北海道、南は沖縄からの参加者を迎えました。関係者すべてが新型コロナウイルス感染症に極度の緊張を強いられる中、コロナ対策を講じての大会となりました。

2. 大会を地域のものに~地域一体となっての取り組み

45回を数えるきょうされん全国大会ですが、今回初の自治体首長が実行委員長を務める大会となりました。戸羽太陸前高田市長のリーダーシップのもと、陸前高田市職員、地域の商工会、観光・旅館ホテル・飲食関係者、ボランティアを組織する気仙地域の社会福祉協議会、婦人会、民生委員児童委員の皆さま、県内の障がい当事者団体が連携し、準備にあたりました。地域が連携して関わることで、この大会が一部の関係者だけのものではなく、地域全体のものとなり、態勢と機運が整いました。

3. もう一度「集う」ことの喜び

この3年間は一日中マスクをつけた生活、消毒や検温の繰り返し、黙食や行動制限など、大きな変化と負担を余儀なくされました。最も危険にさらされたのは、基礎疾患がある方、障がい特性から感染対策のとりにくい障がいのある仲間たちでした。参加者の3年間の苦労を受けとめ、企画を用意しました。被災地の復興と震災の教訓を学ぶ、震災遺構を含めた5つの視察観光。「ノーマライゼーションという言葉のいらないまちづくり」を掲げる陸前高田市の地域づくりを学ぶ特別シンポジウム。この11年間の支援活動を振り返り、今後の大規模自然災害への備えを深め合った特別分科会。利用者交流を含めた14の分科会では活発な意見交換が行われました。直接相対し、意見を伝える。思いを伝える。こんなに尊いことだとは思いませんでした。マスクを着用しながらも、会場が一体となったあんべ光俊さんと障がいのある仲間たちの歌とダンスは、この3年間の苦労を吹き飛ばしてくれました。

4. 大会を通じて伝えたかったこと~震災の真実と教訓を未来(あした)へつなぐ

コロナ禍で3年ぶりに対面式で開催した今回の全国大会を通じて、あらためて「支える」の意味を考えさせられました。「支える」と「支えられる」の関係性とは、直接相対して関係性を築いていくものであり、災害等の有事にはその関係性を基礎として、命を互いに守っていくものだと思います。過去の災害支援から得られた教訓を学び、すべての人の命と人権を大切にするまちづくり、社会づくりの大切さをいま一度話し合いをしながらまちづくりを進めていただけたらと願うばかりです。

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