空を飛び続けたい

「新ノーマライゼーション」2023年1月号

NPO法人ブルートレインカンパニー理事
髙原里緒(だかはらりお)

自己紹介

私は中学1年生から高校3年生までハンセン病やHIV・LGBT(Q)を支援するNPOで啓発活動をしていました。中学3年生の時にADHDが判明し、その時には2次障害で精神障害を発症していました。

高校受験前のタイミングで障害がわかったのと同時に家庭環境が崩壊し児童相談所に一時保護されるという事態に陥りました。その後、児童相談所は私を精神科病院に入院させることにしました。入院形態は「医療保護入院」。ユニット化された個室の病棟でしたが、外部からの自発的なアクセスは二重扉で施錠されており看護師不在では出入りはできず、監視カメラで24時間監視、公衆電話も無ければ携帯電話の持ち込みもできない環境でした。また、所持品も主治医の許可なしではペン1本も与えられませんでした。入院中に定時制高校を受験・合格。その後、高校入学というタイミングで退院し高校生生活が始まりました。

しかし、ほとんど中学も行ってない私は環境不適応を起こすようになりました。学校では友達がおらず、体調を崩して入退院を繰り返し高校3年生を迎えました。

当事者運動との出会い(2014年~現在)

高校3年生の時に「病床転換型居住系施設反対運動」が全国で巻き起こりました。沖縄でも病床転換型居住系施設反対運動が始まり、私は知人の紹介でその運動の委員となりました。それがきっかけで2014年に北部自立生活センター希輝々(名護市)に入職し、当事者スタッフとして活動をしながら重度訪問介護のヘルパーもするようになりました。

2018年には通信制大学に入学し、働きながらPSW課程を学び2022年に卒業。2022年2月に北部自立生活センター希輝々を退職し、現在はNPO法人ブルートレインカンパニー(以下、「ブルカン」という)の理事と全国自立生活センター協議会の中にある精神プロジェクトで活動をしています。

活動内容

ブルカンは障害の有無にかかわらず子どもから高齢者まで地域でワクワクした地域生活ができるような社会づくりを目指しています。助成金事業や洪水等により発生した被災地の支援を中心に活動を行っています。その他に、触法精神障害者の自立生活支援(生活保護の申請支援)や精神発達障害者の障害年金申請援助等も行っています。また、居場所事業等も発達障害当事者会と連携して行っています。

コロナで生活が激変!?

新型コロナがはやり出す直前に、仕事の激務と大学の講義・テストに追い回され体調を崩していました。コロナが流行する頃に休職しましたが、大学だけは意地で何とか頑張れました。

以前から居宅介護(家事援助)とガイドヘルパーは使っていましたが、コロナ不安と体調不良が重なって支援のニーズが高まりそれまで利用していた支援だけでは生活ができない状態となり、2020年に沖縄の自立生活センターのメンバーが行政交渉を共に行ってくれました。そして強度行動障害要件を満たし区分2から4となり重度訪問介護が使えるようになりました。初めは約460時間でしたが、交渉を重ね744時間となり24時間介助保障を得られることになりました。

痙攣発作持ちの私は救急車でよく搬送されていました。痙攣発作が原因で体温が上がっているだけなのにもかかわらず、PCR検査そして検査結果が出るまでの隔離入院という経験がコロナ流行第3波頃まで何度かあります。また、一般病床にもかかわらず抵抗できないようにセレネースを打たれ無理やり入院したこともありました。必要のない医療が発生し国にも私の財布にも優しくない社会となったなぁと思いました。

こんな時だからこそ

こんな暗くて孤独を感じることが多い世の中だけど…。人と人が今こそ強く繋がり障害の有無や年齢・ジェンダーを超え繋がり合うことが大切だと思います。

私はこれからも空を飛び続けたい。さまざまな当事者運動をコロナ前と同様に復活したいです。私が体験したことを沖縄だけではなく沖縄から発信していく当事者運動をしたいです。

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