快適生活・暮らしのヒント-私のヘルパーとの関わり方

「新ノーマライゼーション」2023年2月号

兵庫頸髄損傷者連絡会
土田浩敬(つちだひろたか)

はじめに

私は兵庫頸髄損傷者連絡会の土田浩敬と申します。17年前、仕事中に高所から転落して首の骨を骨折。その時に第4番頸髄を損傷しそれ以降、両手足が動かなくなりました。2012年からヘルパー派遣サービスを利用して、一人暮らしをしています。

ヘルパーとの関わり

一人暮らしを始めてから2022年で10年が経過しました。これまで私の生活を支えるために、多くのヘルパーが関わってきました。10年経った今でもヘルパーとの関係で悩むことは多々あります。長い年月入ってもらっているヘルパーだから大丈夫という訳でもありません。やはり日常生活に他人が家というプライベートの空間に入るのはあまり良い気はしません。そしてすべての人と気が合う訳ではありません。腹の立つことやもどかしく思うこともあります。パワーバランスを考えても、私の方が弱者でこれはパワハラじゃないか、と感じる時もあります。ただこの生活を選んだのは私自身です。他人のせいにするのは少し違うんじゃないかとも思うのです。私もヘルパーに対して、パワハラと捉えられるような発言をしているかもしれません。

相手のことを考える

過去の自分は、この時なら自分はこうする、何故こんなに簡単なことができないんだ、とすべて自分目線で考えていました。ただ、自分にも苦手なことやできないことはたくさんあると考えてみました。逆を言えば自分が苦手なことやできないことができるヘルパーはすごいと思い、見習うようにしています。そして自分にも苦手なことやできないことはあるのだから、ヘルパーもできないことがあって当然だと考えるようになりました。そう考えると、イライラすることも減ってきて、いろいろな立場で物事を考えられるようになりました。もちろんイライラすることはありますが、無理難題を言うことがなくなり、私自身が先を見越して介助指示を出したり発言するようになったのではと思っています。

さいごに

一人暮らし、ヘルパーとの関わりで苦労している障害当事者の方は多くいると思います。具体的な解決策はありません。人の性格はそれぞれ違い、感じ方や捉え方も異なります。それが良い面であり悪い面でもあります。対等に考えて自分だったらこの状況ならどうだろうか。ひとこと発言する前に、一旦考えてみる。他の方法を提案する。その場の空気感を大切にする。ただし、自分が嫌だと感じることは言う。人によって言い方を変えてみる。工夫は必要ですが、自分を守りながらヘルパーも守って、楽しく一人暮らしを満喫したいのです。

menu