[厚労省]障害児通所支援に関する検討会報告書公表

令和5(2023)年3月28日、厚生労働省は、「障害児通所支援に関する検討会報告書―すべてのこどもがともに育つ地域づくりに向けて―」を公表しました。

児童発達支援センターが地域における障害児支援の中核的な役割を担う機関であることの明確化や、児童発達支援における「福祉型」と「医療型」の一元化等を定めた改正児童福祉法が令和4年6月に成立し、令和6年4月に施行されることから、これまで整理されてきた障害児通所支援の検討の方向性について、より具体的な方策を検討するため、「障害児通所支援に関する検討会」が開催されました。本報告書は、令和4年8月から11回にわたり重ねられた検討会の議論をとりまとめたものです。

報告書の概要は、次のようになっています。

障害児通所支援の基本的な考え方
 ①障害のあるこども本人の最善の利益の保障
 ②こどもと家族のウェルビーイングの向上
 ③地域社会への参加・包摂(インクルージョン)の推進
1.児童発達支援センターを中心とした地域の障害児通所支援の体制整備
〇児童発達支援センターの中核機能
 ①幅広い高度な専門性に基づく発達支援・家族支援機能
 ②地域の障害児通所支援事業所に対するスーパーバイズ・コンサルテーション機能(児童発達支援センターが障害児通所支援事業所に対し、支援内容等への助言・援助等を行う機能)
 ③地域のインクルージョン推進の中核機能
 ④地域の発達支援に関する入口としての相談機能
 4つの中核機能全てを十分に備えるセンターを、中核拠点型として整備を推進していく方向で検討。
〇福祉型・医療型の一元化後の方向性
 一元化後は、保育士・児童指導員を手厚く配置する等の方向で検討。また、福祉型の3類型(障害児、主に難聴児、主に重症心身障害児)についても、一元化した上で、障害特性に応じた支援を行った場合に、必要な評価を行う方向で検討。
2.児童発達支援・放課後等デイサービス
●各ガイドラインに定めるそれぞれの役割に加え、5領域(※)等、全ての視点を含めた総合的な支援が提供されることを基本とすべき。
●総合的な支援を行い、その上でこどもの状態に合わせた特定の領域への専門的な支援(理学療法等)を重点的に行う支援が考えられる。
その際には、アセスメントを踏まえ、必要性を丁寧に判断し、障害児支援利用計画等に位置づける等、計画的に実施されることが必要。
(※)「健康・生活」、「運動・感覚」、「認知・行動」、「言語・コミュニケーション」、「人間関係・社会性」
●ピアノや絵画のみを提供する支援は、公費により負担する支援として相応しくないと考えられ、これらの支援の提供にあたっては、ガイドラインに示される支援の視点等とのつながりを明確化した支援内容とした上で提供することが必要。
●利用の仕方等により、支援時間に差異があることから、支援に対する人員の配置の状況や支援内容等にも留意しつつ、支援時間の長短を考慮したよりきめ細かい評価を行うことが必要。
●保護者の就労等による預かりニーズについては、家族全体を支援する観点から、こどもと家族のアセスメントを踏まえて、児童発達支援や放課後等デイサービスにおいても対応することが重要。
●放課後等デイサービスについては、学校や家庭とは異なる場であり、安心・安全でその子らしく過ごせる場としての機能も重視すべき。また、学校に通学できない(不登校の)障害児について、関係機関と連携して支援していくことが必要。
3.インクルージョンの推進
●障害児支援による保育所等の一般施策への後方支援の取組を強化し、保育所等訪問支援等を活用しながら、保育所等の障害児への支援力向上を図っていく等、子育て支援と障害児支援が双方向から緊密に連携が行われる地域の体制づくりを進めていくことが重要。
●保育所等訪問支援がより効果的に活用されるよう、人員配置や報酬上の評価、運用について必要な見直しを行う方向で検討すべき。
(チームでアセスメントや一定の支援を行う場合や、時間の長短も含め、支援内容を踏まえた評価の検討)
4.障害児通所支援の給付決定等
●給付決定において、適切に発達支援の必要性や支給量を判断するとともに、その後の支援に活用していく上でも、こどもの発達状況等も把握できる調査指標に見直すことが必要。
●セルフプラン率が高い現状も踏まえ、障害児相談支援による支援が行われるよう取組を進めることが必要。また、障害児相談支援の整備が途上にある地域等においても、適切にコーディネートが行われる方策を検討していくことが必要。
5.障害児通所支援の質の向上
●市町村は(自立支援)協議会子ども部会を設置し、児童発達支援センターも参画して、地域の課題を把握・分析しながら、地域の支援の質の向上に取り組むことが重要。
●自己評価・保護者評価について、集約・分析し、その結果を公表する等、効果的な活用方策等について検討を進めることが必要。
●人材育成について、専門性を身につけるため、基礎、中堅、専門といった段階的な研修体系の構築等を進めることが必要。

詳しくは次のサイトをご覧ください。(寺島)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_32311.html

menu