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事務連絡
平成23年3月24日

各 都道府県 指定都市 中核市 障害保健福祉主管部(局) 御中

厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部
企画課自立支援振興室
障害福祉課
精神・障害保健課

東北地方太平洋沖地震及び長野県北部の地震により被災した障害者等に対する支給決定等について

 この度の東北地方太平洋沖地震等(以下「当該災害」という。)の被災により災害救助法(昭和22年法律第118号)の適用市町村(以下「被災市町村」という。)において被災した障害者又は障害児の保護者(以下「被災障害者等」という。)に対する支給決定等については、下記のような取扱いとなりますので、管内市町村、障害福祉サービス事業者、指定自立支援医療機関等への周知をよろしくお願いいたします。
 なお、(社)日本医師会等に対しましても、この取扱いにつき、協力依頼を行う予定であることを申し添えます。
 また、介護給付費等の取扱いについて、別添1のとおり疑義解釈をまとめましたので、当該疑義解釈につきましても、管内市町村、障害福祉サービス事業者等への周知をよろしくお願いいたします。

Ⅰ.障害福祉サービス等関係

1.他の市町村に避難した被災障害者等に対する支給決定について

(1)当該災害の被災により避難先の市町村の区域内に居住地を有するに至った被災障害者等に係る介護給付費等の支給決定については、避難先の市町村において、現行のとおり障害者自立支援法(平成17年法律第123号)第19条から第22条までの規定等に基づき行うものであること。補装具費の支給についても同様であること。
 また、当該災害の被災により他の都道府県(指定都市及び児童相談所設置市を含む。以下同じ。)の区域内に居住地を有するに至った障害児の保護者に係る障害児施設給付費の支給決定についても、避難先の都道府県において、児童福祉法(昭和22年法律第164号)第24条の2及び第24条の3の規定等に基づき行うものであること。

(2)(1)の取扱いの際、被災市町村又は被災市町村が属する都道府県(以下「被災市町村等」という。)において現に支給決定を受けている被災障害者等に係る支給決定の内容、障害程度区分等については、避難先の市町村において当該被災市町村等に確認すること。
 ただし、被災市町村等に確認できない場合は、受給者証等の確認、被災障害者等に対する聞き取りなどの結果等を勘案して支給決定を行われたい。

(3)一時的な避難の場合など居住地が依然として被災市町村等にあると認められる場合における支給決定については、当該被災市町村等が行うものであること。この場合において、市町村審査会を開催できない等の事情により、通常の支給決定の手続をとることができないときは、既存の資料を活用するとともに、被災障害者等に対する聞き取りなどの結果等を勘案して支給決定を行われたい(支給決定の変更をする場合も同様の取扱いとする。)。
 なお、現に支給決定が行われている場合については、特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律(平成8年法律第85号。以下「特別措置法」という。)に基づき、当該支給決定の有効期間が平成23年3月11日から同年8月30日までの間に満了するものについては、同年8月31日まで有効期間の満了日が延長されるものであること。

(4)障害程度区分の認定については、「介護給付費等の支給決定について」(平成19年3月23日付け障発第0323002号。以下「支給決定通知」という。)において示している障害程度区分の認定の有効期間について、平成23年3月11日から同年8月30日までの間に満了するものについて、特定被災区域内に居住地を有する者については、同年8月31日まで延長することとする。
 また、障害程度区分認定者の転出入の際の障害程度区分認定証明書の取扱いについては、支給決定通知において示しているが、被災地から転出した障害程度区分認定者が転入先市町村に提出する障害程度区分認定証明書について、転出元市町村が当該証明書を発行することが困難な場合においては、転入先市町村は、改めて認定調査及び市町村審査会における審査判定手続きを経ることなく、被災障害者等からの聞き取りの結果等を勘案して、障害程度区分を認定しても差し支えない。

(5)被災障害者等につき緊急にサービスの提供が必要な場合については、市町村又は都道府県は、必要なサービスを速やかに提供するため障害者自立支援法第30条の規定による特例介護給付費等を支給することができることとされているので留意されたい。
 なお、やむを得ない事由により介護給付費等又は障害児施設給付費の支給を受けることが著しく困難であると認められる場合は、身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)第18条第1項若しくは第2項、知的障害者福祉法(昭和35年法律第37号)第15条の4若しくは第16条第1項第2号又は児童福祉法第21条の6若しくは第27条第1項第3号の規定による措置を採ることができることとされているので留意されたい。

(6)当該災害においては、被災市町村における対応が困難である場合も想定されることから、居住地の扱い等については、別添2「東北地方太平洋沖地震等に関する住民基本台帳事務の取扱いについて」(平成23年3月13日付け総行住第35号)により、転出証明書を提出できない者についても一定の手続きで転入届を受理することとされていることも踏まえ、関係市町村相互に十分連携の上、柔軟に対応されたい。

2.受給者証等の提示について

 当該災害の被災により受給者証又は施設受給者証(以下「受給者証等」という。)を紛失し又は家屋に置いたまま避難している等の事情があり受給者証等を提示することができない場合には、障害者自立支援法第29条第2項ただし書又は児童福祉法第24条の3第7項ただし書の規定により受給者証等を提示しなくても指定障害福祉サービス等又は指定施設支援を受けることができるものであること。
 この場合、サービス事業者等においては、受給者証等を交付している被災市町村等に当該被災障害者等に係る支給決定の内容について確認されたい。
 ただし、サービス事業者等において被災市町村等に確認することができない場合には、当該被災障害者等から、受給者証等の交付を受けている者であること、氏名、生年月日、居住地及び支給決定の内容を聞き取ることにより、指定障害福祉サービス等又は指定施設支援を提供することとして差し支えない。
 なお、被災により受給者証等を紛失した被災障害者等に対しては、上記の取扱いについて周知するとともに、可能な限り速やかに再交付申請を行うよう勧奨されたい。

3.利用者負担の徴収猶予について

 サービス事業者等においては、当該災害の被災により、障害福祉サービス、障害児施設支援又は補装具に係る利用者負担を支払うことが困難な者について、以下のとおり徴収を猶予することができるものとする。この場合においては、被災障害者等からの申請を待つことなく市町村又は都道府県の判断により、当該被災障害者等の利用者負担の免除を行うことについて、特段の配慮をお願いする。

(1)対象者

 以下のア及びイに該当し、利用者負担の支払が困難な被災障害者等

ア 当該災害発生時において、別紙に掲げる市町村に居住地を有していた被災障害者等(被災障害者等が他の市町村に避難した場合を含む。)

イ 当該災害の被災により①から③までのいずれかに該当する旨の申し立てを行った被災障害者等

  1. 障害者自立支援法施行規則(平成18年厚生労働省令第19号)第32条各号、児童福祉法施行規則(昭和23年厚生省令第11号)第25条の15各号又は別添3「災害その他の特別の事業により補装具の購入又は修理に要する費用を負担することが困難となった補装具費支給対象障害者等に係る補装具費の取扱いについて」(平成19年3月27日付け障発第0327004号)別添第2の1の(1)から(4)までのいずれかに該当すること。
  2. 被災障害者等の属する世帯(特定支給決定障害者(障害者自立支援法施行令(平成18年政令第10号)第17条第1項第4号に規定する特定支給決定障害者をいう。)にあっては、当該特定支給決定障害者及びその配偶者に限る。)の生計を主として維持する者((2)において「主たる生計維持者」という。)の行方が不明であること。
  3. 原子力災害対策特別措置法(平成11年法律第156号)第15条第3項の規定による、避難のための立ち退き又は屋内への退避に係る内閣総理大臣の指示の対象地域((3)において「避難等指示対象地域」という。)であるため避難又は退避を行ったこと。

(2)取扱いの期間

 当面、5月までの障害福祉サービス、障害児施設支援及び補装具に係る利用者負担について、5月末日までの支払を猶予する取扱いとする。
 ただし、(1)2.の場合は5月までのうち主たる生計維持者の行方が明らかとなるまでの間に、(1)3.の場合は5月までのうち当該指示が解除されるまでの間に限る。

(3)障害福祉サービス事業者等、知的障害児施設等又は補装具業者における介護給付費等、障害児施設給付費又は補装具費の請求について

ア (1)イの申立てを行った被災障害者等については、受給者証等の確認その他の方法により、居住地が別紙に掲げる市町村の区域又は避難等指示対象地域にあることを確認するとともに、当該申立ての内容を介護給付費等又は障害児施設給付費の請求に関する書類等に簡潔に記録しておくこと。

イ 利用者負担の徴収を猶予した場合は、猶予した利用者負担を含めて10割を請求すること。
 なお、請求の具体的な手続については、追って連絡する予定であること。

ウ 補装具業者における補装具費の請求についてもアとイと同様に取り扱うこと。

4.地域生活支援事業について

 地域生活支援事業の実施に当たっても、1~3の障害福祉サービス等の取扱いを踏まえ、必要なサービスが円滑に提供されるよう、関係市町村相互に十分連携の上、柔軟に対応されたい。

Ⅱ.自立支援医療関係

1.他の市町村等に避難した被災障害者等に対する支給認定について

(1)被災障害者が当該災害の被災により避難先の市町村等の区域内に居住地を有するに至った場合、更生医療については、避難先の市町村において、育成医療については、避難先の都道府県、指定都市及び中核市において、精神通院医療については、避難先の都道府県及び指定都市において、障害者自立支援法第52条から第54条までの規定等に基づき支給認定を行うこととする。
 また、精神通院医療の申請書は居住地の市町村を経由することとしているが、この取扱いについても、避難先の市町村を経由すること。
 なお、この場合、支給認定の申請の際に添付することとされている世帯の所得の状況等が確認できる資料等の書類については、実情に即した弾力的な対応として差し支えないものとする。

(2)一時的な避難の場合など居住地が依然として避難元の市町村(育成医療は都道府県、指定都市及び中核市、精神通院医療は都道府県及び指定都市と読替える。以下同じ。)にあると認められる場合、当該避難元の市町村が支給認定を行うこととする。この場合において、通常の支給認定を行うことができないときは、既存の資料を活用するとともに、被災障害者等に対する聞き取りなどの結果等を勘案して支給認定を行われたい(支給認定の変更をする場合も同様の取扱いとする)。
 なお、現に支給認定が行われている場合については、特別措置法に基づき、当該支給認定の有効期間が平成23年3月11日から同年8月30日までに満了するものについては、同年8月31日まで有効期間の満了日が延長されるものであること。

(3)新規申請に係る有効期間の始期の取扱いについては、当該災害の影響により申請を行うことが相当期間困難であったと認められる場合に限り、市町村の判断により、申請日又は医師の意見書(診断書)作成日を有効期間の始期とする取扱いをしても差し支えない。
 なお、更生医療については、身体障害者福祉法第4条に規定する身体障害者の要件があることから、有効期間の始期の取扱いに注意すること。

(4)被災障害者等に対する支給認定に当たっては、必要な自立支援医療が円滑に提供されるよう、関係市町村相互に十分連携の上、柔軟に対応されたい。

2.受給者証の提示等について

 「東北地方太平洋沖地震による被災者の公費負担医療の取扱いについて」(平成23年3月11日付け厚生労働省健康局総務課ほか事務連絡)に基づき実施すること。

(参考:事務連絡抜粋)

 自立支援医療受給者証を提示できない場合においても、医療機関において自立支援医療受給者証の交付を受けている者であることを申し出、氏名、生年月日及び住所を確認することにより、受診できるものとする。
 また、緊急の場合は、受診する指定自立支援医療機関と自立支援医療受給者証に記載する指定自立支援医療機関の名称が異なる場合においても、事後的に支給認定の変更を行うことで差し支えないものとし、さらに、指定自立支援医療機関以外の医療機関でも受診できるものとする。

3.利用者負担の猶予等について

 別添4「東北地方太平洋沖地震及び長野県北部の地震による被災者に係る一部負担金等の取扱いについて(その4)」(平成23年3月23日付け厚生労働省保険局医療課事務連絡)、別添5「災害により被災した被保険者等に係る一部負担金等及び健康保険料の取扱い等について」(平成23年3月11日付け厚生労働省保険局保険課事務連絡)等により、医療保険における一部負担金等の取扱いが示されている。