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東京布の絵本連絡会の活動

渡辺 順子
東京布の絵本連絡会 代表

~目的・歩み・広がり~

はじめに  心と心を結ぶ「布の絵本」

手作り「布の絵本」は、視覚障害をもつ子どものために、さわる絵本として始まりました。
私のすずらん文庫でも、27年前(1981年)、全盲のお子さんが来られたことがきっかけで取り組み始めました。しかし、その後、障害をもつ子のための第二文庫を開設し、その活動から、脳に障害がある子や手指に障害もつ子に、大変よろこばれることを学びました。それ以来“すべての障害児”のためにと作り続けています。
現在では非障害児で愛情不足な子、本に親しみのない子、さらには交通事故、スポーツ怪我、脳梗塞などによる言語喪失、手指機能の回復など、大人のリハビリとしても活用されています。その意味では、布の絵本は“すべての人”に喜ばれ、生きる希望にもなっています。

作る人にとっても、「布の絵本」は手指を使ってものを「作る」という人間ならでは喜び、さらには布の絵本ボランティアとして「社会参加」の充実感を得ています。高度技術文明社会に生きる私たちは、大量生産、大量消費、大量廃棄をし、便利さに慣らされて手を使うことも忘れ、深刻な地球環境の問題を抱えています。この現実を考えるためにも、衣類としての目的を失った古着や残り布、ボタン、スナップなどを、リサイクルの心で「布の絵本」として蘇らせることの今日的意義は、非常に大きいと思います。
また、布の絵本サークルがこの30年あまりの間に、全国各地に生まれているということは、核家族化、都市化、過疎化で失われた、地域コミュニケーションの回復にも通じます。なによりも公共図書館で、老若男女すべての人が、布の絵本に出会えるということは、「心のバリアフリー」の実現にもなります。一昨年訪ねたツールーズ中央図書館(仏)では、ダウン症の子も他の子どもたちと一緒、のびのびと絵本を楽しんでいました。日本もそうなることを願って“公共図書館に布の絵本を!”と行動しています。
布の絵本は「心と心」を結びます。作った人と使う人の心。作る人同志の心。使う子ども同志の心を。

1布の絵本とは

① 布の絵本=絵本+遊具・教具

表紙、本文すべて布で製本され、フエルトでカットされた絵の部分が台布に縫いつけてあるだけではなく、ボタン、スナップ、カギホック、吸着テープ(マジックテープ)、ひも、ファスナーなどを用いて、はずす、はめる、取る、着ける、ほどく、結ぶなどの手指の作動を伴いながら、言葉の獲得を楽しく学習できる絵本です。

② 布の絵本の機能~知的発達と自立のために

言葉をうながす~「聞く力」を育み、言葉(母語)の音の響きを楽しみながら、コミュニケーションの喜びを身につける。
物の認識~衣、食、住、日常生活に必要な物の名前、動作の意味を知る。
色、形、数の認識~コミュニケーションに必要な色、形、数からも情報の獲得、発信。
言葉を話す~日常会話ができる。簡単な物語絵本を楽しむ=市販の絵本、図書館利用へ。
着脱衣の練習を楽しみながらうながす~吸着テープ、ボタンはめ、スナップ止め、ファスナー、ひも結び、カギホックなど、自立に必要な手指の使い方が楽しく身につく。
繰り返し遊びながら、動作や発声を身につける~指先を使って一つ一つ、言葉を発しながら、親兄弟、祖父母、先生、友だちなどと一緒に遊ぶ。さらには一人で何度でも遊ぶことで反復学習をしている。

③ 子どもの成長・発達に

布の絵本は①遊びをとおして、こどもの自発性・積極性を高めます。②集中力を刺激し、観察力を養います。③手や、指の作動感覚や応用力を発達させ、道具の使用を身につけさせます。0歳からのすべての子どもの発達に有効な絵本です。

④ 親と子のコミュニケーションに

子どもたちにとって、布地は母親の肌に次ぐ、第2の出会いといわれるほど、親しい感触を持っています。母親の手作りによる「布の絵本」は、子どもたちにママのぬくもりや愛情を伝えてくれるはずです。
また、布の絵本は視覚的にも触覚的にも、子どもたちを楽しませてくれます。子どもたちを惹きつける、母と子のコミュニケーションアイテムとしても効果的です。

⑤ 布の絵本の始まりは?

1975年 札幌「ふきのとう文庫」から
「布の絵本」をボランティアとして 本格的に組織的に取り組んだのは ふきのとう文庫です。その歩みは次の3冊で知ることができます。布の絵本の講習会や展示会をする図書館には、所蔵することをお勧めします。作り手も、利用者も「布の絵本」研究者も必読書です。

  • 「春を呼べ!ふきのとう」(財)ふきのとう文庫15年の歩み
  • 「根を張れ!ふきのとう」(財)ふきのとう文庫25周年記念誌
  • 「ひろがれ!ふきのとう」(財)ふきのとう文庫30周年記念誌

さらに神奈川県の川崎「ぐるーぷ・もこもこ」(詳しくは「20年のあゆみ」1999発行)、「よこはま布えほんぐるーぷ」と続き、ともに多数の作り方の本も偕成社などから一般市販されています。「ふきのとう文庫」のテキストも多数発行されています。こちらは主に直販ですので下記に注文してください。

〒063-0029北海道札幌市西区平和325 財団法人ふきのとう文庫
TEL・FAX 011-665-4839

2東京布の絵本連絡会の活動

①すずらん文庫と布の絵本

すずらん文庫は1981年、障害をもつ子のための第2文庫設立時から、布の絵本サークルを立ち上げ、制作に取り組んできました。1996年までの経過は「布の絵本からのメッセージ」にあります。やがて、近隣のボランテイア グループの要請で、布の絵本講習会も始めることになりました。その終了後、各地に布の絵本サークルが生まれました。既に布の絵本を作り続けているグループとの交流も始まりました。それはやがて「東京布の絵本連絡会」の発足へとつながっていきました。また、私の布の絵本活動は、社会的には「ノーマライゼーション」の実現に向けた一歩として位置づけていました。

②東京布の絵本連絡会の発足へ

1990年1月、当時24のグループで「東京布の絵本連絡会」を発足させました。その目的は(1)各グループの情報交流、(2)作品のレベルアップ、(3)布の絵本の普及のためです。その後、布の絵本づくりは単なる手芸レベル止まりや、自己満足の世界ではなく、福祉、保育、教育等への社会参加の喜びであると、位置づけの確認をしました。
一方「布の絵本」の普及活動として、1996年に財団法人 伊藤忠記念財団「子ども文庫助成」を受けて、東京布の絵本連絡会の企画で「布の絵本からのメッセージ」を発行しました。海外への普及も考えて英文併記としました。現在は残部も少なく、海外に布の絵本を寄贈するときに添付することにしています。

普及活動1~「勤労者布の絵本連絡会」発足へ

1980年代までは専業主婦対象の布の絵本講習会でしたが、1990年代に入って、働く婦人対象の講習会も加わりました。当時、大手企業などで始まっていた、「ノー残業ディー」の水曜日を講習会日として、夜7時から9時の2時間、勤務先に近い、渋谷や新宿を会場に担当しました。主催者は勤労者ボランテイアセンター(現・さわやか福祉財団 勤労者マルチライフ支援センター)でした。講習会を何年間か続ける中で、終了後自主サークルが生まれ,やがて「勤労者布の絵本連絡会」として広がりました。今年(2008年)は発足10周年目です。これまでに子ども病院、小児病棟、養護施設、山村の保健センターなど、50施設に100冊以上の寄贈をしてきました。2004年には厚生労働省の「ワンモワライフ勤労者ボランティア賞」も受賞しています。

普及活動2~公共図書館への広がり

布の絵本の歴史はまだ30年を過ぎたところです。私は家庭文庫の中で、障害児も非障害児も布の絵本に夢中になって楽しむ姿を見て、布の絵本が公共図書館に置く必要性を感じました。布の絵本が公共図書館にあることが常識になることを願っています。名実共にすべての子どもたちが、のびのびと自由に楽しく利用できる図書館を夢見て布の絵本に取り組んでいます。

・練馬区立図書館から

私の地元、練馬区立図書館の「布の絵本」の第一歩は、1984年、区立石神井西中学校からの10冊の寄贈からでした。翌年(1985)からは、毎年、図書館で布の絵本講習会が実施され、延べ1000人以上の受講者、全11館で計800冊以上の蔵書、年間4000冊越える貸し出し状況です。

東京都の公立図書館と布の絵本
東京都内の布の絵本・さわる絵本の状況は、手もとにあるデーター(2004年)ではまだ、特別区23区中13区、市町村部で10自治体です。しかし、私が関わった限りでは着実に広がっています。その一つ、2004年(平成16年)墨田区では、区の「やさしい街宣言」にもとづいて、区の推進事業として取り組んでいました。もう一つ、北区では1990から保健相談所で自主グループが生まれ、1994年には、北区中央図書館が講習会を実施。1995年北区立障害者センターでは障害をもつ子に布の絵本を作り、貸し出しが始まり、数年前から、一般区民向け講習会を実施。新館オープンした図書館に、これまでの作品と共に作り手も送り込み、図書館直属のサークルとなったこともあります。さらに、今年(2008年)移転オープンする北区立中央図書館の依頼で、布の絵本サークルの人たちは300点の布の絵本作成に取り組んでいます。

全国の公共図書館と布の絵本
私が公共図書館に布の絵本を置きたいと願ったのは、1974年に国連障害者生活環境専門家会議が打ち出した4つのバリア(1物理的なバリア、2制度的なバリア、3文化・情報のバリア、4意識上のバリア)の中の4番目の問題解消のためです。障害者・児が社会生活をしていく上で、差別、無理解の一般市民の心こそがバリア(障壁)であるということです。そのカベを老若男女が無料で利用できる公共図館に「布の絵本」があることによって、低めたい、解消したいと願ってのことでした。
日本図書館協会の資料によると、1999年と2003年に布の絵本の調査があり、1999年の時点では全国の市町村立図書館の布の絵本は305館が所蔵し、総数4270冊であったのが、4年後の2003年では451館9359冊になっています。着実に根付き始めていると言えます。

都道府県立図書館と布の絵本
同じく都道府県立図書館の実態を見ると、児童資料を収集している図書館58館の布の絵本聡数は、1999年225冊が2003年では417冊となっています。都道府県別一覧によると、1990年度から「布の絵本制作ボランティア養成講座」を開催してきた福岡県立図書館は143冊所蔵となっています。
2000年代に入って取り組みが顕著な事例として、熊本県立図書館があります。熊本県は2002年、第31回児童に対する図書館奉仕全国研究集会(日本図書館協会主催)の開催地でした。研究主題は「読書で拓こう子どもたちの未来」~豊かな読書環境づくりをめざして~でした。「図書館とアウトリーチ」の分科会がありました。その翌年(2003年)、私は県立図書館主催の布の絵本の講演とワークショップを担当しました。熊本県での布の絵本は現在、県立図書館から県教育委員会に移行され、市町村の図書館、学校現場にもとさらに活発な取り組みになっています。

「布の絵本展の様子(山口県立山口図書館子ども資料室 平成20年2月26日~3月2日)」

「布の絵本展の様子(山口県立山口図書館子ども資料室 平成20年2月26日~3月2日)」

「障害者の権利条約」と布の絵本
布の絵本の公共図書館への普及、この願いは一昨年(2006年)12月の国連総会において全会一致で採択された「障害者の権利条約」によって、さらに大きく前進できると信じています。障害者の権利がこれまでの憲章、宣言と違って、法的拘束力のある条約になったことは、世界の人権実現の上で画期的なことです。我が国でも2007年9月高村外相が国連本部で署名し、すでに「障害者権利条約にかかわる対応推進チーム」が関係9省庁で発足し、国内法整備の検討、早期締結(批准)をめざす考えだ(朝日新聞夕刊2007・7・9・29)とありました。
私は特に注目しているのは、「障害がある子どもも、ない子どもも地域の学校で共に育ち、共に学ぶインクルーシブ(包み込み)教育を原則に定めた」(毎日新聞2007・6・18)といわれる、第24条の教育です。学校のみではなく、地域でも共に育つ拠点として、公共図書館に布の絵本があること、それは当然のこととしたいと考えています。

普及活動3~母子保健活動への広がり

文部科学省サイドの公共図書館における広がりに次いで、2000年代に入って特徴的なのは、厚生労働省サイドの広がりです。(社)日本家族計画協会が、国の“健やか親子21”運動の一環として、2002年に「作って遊ぼう・布の絵本」と題して、すずらん文庫原作の「いくつ?」が型紙付で、縫い方の解説と遊び方の図解書が発行されました。布の絵本が育児支援教材として、初めて取り上げられたものです。買えば済む大量生産の時代に、親が手づくりで絵本を縫い上げ、さらに子どもとのコミュニケーションとして楽しむ。そのことの今日的意義は大きいと思います。さらに2006年には、布の絵本入門編として作成した「おはよう・おやすみ」遊び方、作り方が、ビデオ、DVD,CDロームとして出ました。保健所、図書館、グループでビデオ、DVDを活用して縫うことができます。

布の絵本は育児中の親だけではなく、高齢者の方々にも作る楽しみとして活用できます。親子の新しいコミュニケーション教材として、虐待予防、そして高齢化社会の今日、心身の老化予防としても、母子保健から高齢者保健まで活用できます。
私は布の絵本づくりの基本は、台布もボタン、スナップ類も「リサイクル」で作ることを提唱しています。しかし、全国各地を講演していて、手芸店もない離島や町村の方々、忙しくてセットできない人、フエルトカットが苦手な人等に出会う中から、縫いたいと思った時に、直ぐ着手できるようにと、キットも用意しました。

入手先 〒860-0021熊本市上鍛冶屋町19番地 (株)森尾絲店
TEL 096-354-4171  FAX 096-324-5220

普及活動4~海外への広がり

IBBY(国際児童図書評議会)と「世界のバリアフリー絵本展」
IBBYの「障害児図書資料センター」は1985年、ノルウエー、オスロに設立されました。2年ごとに世界のバリアフリー絵本リストを作成し、選ばれた作品の世界巡回展もしています。これまでに東京布の絵本連絡会としては、1997年に「じどうしゃ くるるん」(まついのりこ原作)、1999年に「いくつ?」(すずらん文庫原作)が選ばれ、2005年には、さくらんぼ(練馬区立光が丘図書館布の絵本の会)と、三鷹てのひらの会の作品が選ばれています。世界のバリアフリー絵本として、日本から布の絵本が選ばれるということは、国際的に普及する貴重な機会と思っています。国際障害者年の1981年、ボローニア児童図書展での「本と障害児」のセミナーは、障害児の一般社会への参加を阻む、隔離や孤独といった障壁を少しでも解決することを願ってのものでした。隔離、孤独のカベは障害児が作っているのではなく、それぞれの国の制度や一般国民の意識の問題であると思っています。

アジア諸国への広がり
すずらん文庫として、布の絵本を最初に国外の人に伝えることができたのは、1980年代のことです。ユネスコ・アジア文化センター(ACCU)が主催しているアジアの子どもの本関係者の研修会会場で展示したことです。研修生は布の絵本への関心が深く、1年がかりで作成し22か国すべてに発送した年もありました。その他、医療関係でもアジアの小児科医の研修で保健所文庫視察や、すずらん文庫での交流も何度かあり、協力してきました。その折にも布の絵本の意義、役割を説明し、その都度、事前に人数分用意しておみやげにしました。
2000年代に入ってタイにあるビルマ(ミャンマー)難民キャンプの子ども図書館へ、東京布の絵本連絡会として、70冊余の布の絵本を縫い、寄贈しました。その他、アフガン、イラク、マーシア沖地震の子どもたちにも、現地に派遣されるNGOの人たちをとおして届けています。布の絵本のやさしさ、ぬくもりから、子どもたちに少しでも笑顔を取りもどすことができるならと願っています。

ヨーロッパ諸国への広がり
1990年代に入って、フランスのジュヌヴィエーヴ・パット女史をとおして広がっています。パット女史は国立児童資料センター所長、兼クラマール図書館長の他、国際的にも国際児童図書評議会(IBBY)副会長、国際図書館連盟(IFLA)児童図書館分科会会長等、歴任されると同時に、現在、フランスの読書推進団体「レセ・レ・リール」協会会長であり、途上国アフリカ等の図書館づくり支援もしています。布の絵本にも最初から理解が深く、新作ができるごとに寄贈してきました。それらの作品は北欧諸国や、アフリカ、中米諸国にも紹介してくださっています。個人的にはブックスタート英国視察団として訪ねた時には、ブックトラスト(ブクスタートの推進機関)、バーミンガム中央図書館、バーミンガム国立小児病院などでも手渡しました。ドイツのミュンヘン国際児童図書館には2004年夏、直接届けることができました。そこには同図書館のアジア担当者として、日本人であるガンツエンミュラー文子さんがいましたので、布の絵本の主旨、私の思いを存分にお伝えすることができました。その他、日常的に布の絵本仲間たちが海外に出かける時には、おみやげとして持参し、普及活動に努めています。

アフリカ諸国への広がり
2000年代にはいって、アフリカ大陸にも布の絵本が届けられるようになりました。
ケニアには2004年9月、日本人によってエンザロ村に図書館が建てられました。その開館お祝いに駆けつけた児童書翻訳者の福本友美子さんが、布の絵本の読み聞かせをし、その2冊を寄贈して帰りました。
タンザニアには2005年9月、海外教育開発現場研修生をとおして届けられました。具体的には研修に入ったエイズ孤児の施設とストリートチルドレンの施設でした。この子たちの心に、布の絵本がどんな役割を果たしてくれているでしょうか。一方、タンザニアには布の絵本サークル「コスモス」の青木アサミさんをとおして、タイトルもスワヒリ語で縫って寄贈が始まっています。
モザンビークと布の絵本は、モザンビーク人の銃を日本からの放置自転車と交換するという「エコ&ピース」運動の「NPO法人えひめグローバルネットワーク」と愛媛県弓削島の布の絵本グループ「ちゅうリっぷの会」との共同で、モザンビークのマップを縫い寄贈しています。私も2006年3月、ボランテイア交流研修会「地域ボランティア・国際ボランテイア」の講演がきっかけで出会い、そのNPOの方々をとおして数の布の絵本を届けていただきました。教育現場で大変喜ばれていると言う報告が入っています。
南アフリカは、昨年(2007年8月)始まったばかりです。IFLA(国際図書館連盟)のダーバン大会で、首都プレトリアで行われた多文化社会図書館サービスの分科会での日本からの報告者に6冊託したのです。教材として評価され、現地で制作活動が始まっています。

おわりに

私の最終目標は、世界中の子どもたちが、布の絵本をとおして、考える力・コミュニケーション力の大前提にある「言葉=母語」を0才児から豊かに身につけることを願っています。その上で21世紀はなんとしても「対話」の世紀にしたい。兵器で殺し合う「戦争の世紀」ではなく、対話による「平和の世紀」にしたい。私はかつてアウシュヴイッツを訪ねたとき、最も心に残った光景は、おびただしい量の毛髪、子どもたちの靴、そして義足の山。戦争時の犠牲者は弱者なのだと言うことを明確に証言していました。障害者が安心して生きる時代は、世界中のすべての人が安心して生きる時代です。
私は21世紀における「布の絵本」、それは人類共通の課題である「人権・環境・平和」の実現のために、“千人針”のように世界各地の人々と共に、「一針の行動」から始めたいと願っています。行動は一人一人の意識を変えます。今、住んでいる地域を変えます。国を変えます。希望ある歴史を創る一歩となります。

【参考】関連するウェブサイト

利用案内には、
〔貸出点数〕 ※練馬区立図書館全館での合計
・ 本・雑誌・紙芝居: あわせて10点
・ CD・カセットテープ・レコード・公共ビデオ: あわせて5点
・ ビデオ: 1点
・ 布の絵本: 2点
以上、合計で18点
と書かれています。
http://www.lib.nerima.tokyo.jp/useguide/index.html