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著作権法
第2章 著作者の権利
第8節 裁定による著作物の利用(第67条―第70条)

(昭和45年5月6日法律第48号)

最終改正:平成21年7月10日法律第73号


平成21年6月19日法律第53号(未)(施行=2年内、平22年1月1日(済))

平成21年7月10日法律第73号(施行=平22年4月1日)

著作権法(明治32年法律第39号)の全部を改正する。

第2章 著作者の権利

第8節 裁定による著作物の利用

(著作権者不明等の場合における著作物の利用)

第67条
公表された著作物又は相当期間にわたり公衆に提供され、若しくは提示されている事実が明らかである著作物は、著作権者の不明その他の理由により相当な努力を払つてもその著作権者と連絡することができない場合として政令で定める場合は、文化庁長官の裁定を受け、かつ、通常の使用料の額に相当するものとして文化庁長官が定める額の補償金を著作権者のために供託して、その裁定に係る利用方法により利用することができる。
前項の裁定を受けようとする者は、著作物の利用方法その他政令で定める事項を記載した申請書に、著作権者と連絡することができないことを疎明する資料その他政令で定める資料を添えて、これを文化庁長官に提出しなければならない。
第1項の規定により作成した著作物の複製物には、同項の裁定に係る複製物である旨及びその裁定のあつた年月日を表示しなければならない。

(裁定申請中の著作物の利用)

第67条の2
前条第1項の裁定(以下この条において単に「裁定」という。)の申請をした者は、当該申請に係る著作物の利用方法を勘案して文化庁長官が定める額の担保金を供託した場合には、裁定又は裁定をしない処分を受けるまでの間(裁定又は裁定をしない処分を受けるまでの間に著作権者と連絡をすることができるに至つたときは、当該連絡をすることができるに至つた時までの間)、当該申請に係る利用方法と同一の方法により、当該申請に係る著作物を利用することができる。ただし、当該著作物の著作者が当該著作物の出版その他の利用を廃絶しようとしていることが明らかであるときは、この限りでない。
前項の規定により作成した著作物の複製物には、同項の規定の適用を受けて作成された複製物である旨及び裁定の申請をした年月日を表示しなければならない。
第1項の規定により著作物を利用する者(以下「申請中利用者」という。)が裁定を受けたときは、前条第1項の規定にかかわらず、同項の補償金のうち第1項の規定により供託された担保金の額に相当する額(当該担保金の額が当該補償金の額を超えるときは、当該額)については、同条第1項の規定による供託を要しない。
申請中利用者は、裁定をしない処分を受けたとき(当該処分を受けるまでの間に著作権者と連絡をすることができるに至つた場合を除く。)は、当該処分を受けた時までの間における第1項の規定による著作物の利用に係る使用料の額に相当するものとして文化庁長官が定める額の補償金を著作権者のために供託しなければならない。この場合において、同項の規定により供託された担保金の額のうち当該補償金の額に相当する額(当該補償金の額が当該担保金の額を超えるときは、当該額)については、当該補償金を供託したものとみなす。
申請中利用者は、裁定又は裁定をしない処分を受けるまでの間に著作権者と連絡をすることができるに至つたときは、当該連絡をすることができるに至つた時までの間における第1項の規定による著作物の利用に係る使用料の額に相当する額の補償金を著作権者に支払わなければならない。
前3項の場合において、著作権者は、前条第1項又は前2項の補償金を受ける権利に関し、第1項の規定により供託された担保金から弁済を受けることができる。
第1項の規定により担保金を供託した者は、当該担保金の額が前項の規定により著作権者が弁済を受けることができる額を超えることとなつたときは、政令で定めるところにより、その全部又は一部を取り戻すことができる。

(著作物の放送)

第68条
公表された著作物を放送しようとする放送事業者は、その著作権者に対し放送の許諾につき協議を求めたがその協議か成立せず、又はその協議をすることができないときは、文化庁長官の裁定を受け、かつ、通常の使用料の額に相当するものとして文化庁長官が定める額の補償金を著作権者に支払つて、その著作物を放送することができる。
前項の規定により放送される著作物は、有線放送し、専ら当該放送に係る放送対象地域において受信されることを目的として自動公衆送信(送信可能化のうち、公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することによるものを含む。)を行い、又は受信装置を用いて公に伝達することができる。この場合において、当該有線放送、自動公衆送信又は伝達を行う者は、第38条第2項及び第3項の規定の適用がある場合を除き、通常の使用料の額に相当する額の補償金を著作権者に支払わなければならない。

(商業用レコードへの録音等)

第69条
商業用レコードが最初に国内において販売され、かつ、その最初の販売の日から3年を経過した場合において、当該商業用レコードに著作権者の許諾を得て録音されている音楽の著作物を録音して他の商業用レコードを製作しようとする者は、その著作権者に対し録音又は譲渡による公衆への提供の許諾につき協議を求めたが、その協議が成立せず、又はその協議をすることができないときは、文化庁長官の裁定を受け、かつ、通常の使用料の額に相当するものとして文化庁長官が定める額の補償金を著作権者に支払つて、当該録音又は譲渡による公衆への提供をすることができる。

(裁定に関する手続及び基準)

第70条
第67条第1項、第68条第1項又は前条の裁定の申請をする者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納付しなければならない。
前項の規定は、同項の規定により手数料を納付すべき者が国又は独立行政法人のうち業務の内容その他の事情を勘案して政令で定めるもの(第78条第5項及び第107条第2項において「国等」という。)であるときは、適用しない。
文化庁長官は、第68条第1項又は前条の裁定の申請があつたときは、その旨を当該申請に係る著作権者に通知し、相当の期間を指定して、意見を述べる機会を与えなければならない。
文化庁長官は、第67条第1項、第68条第1項又は前条の裁定の申請があつた場合において、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、これらの裁定をしてはならない。
  • 1.著作者がその著作物の出版その他の利用を廃絶しようとしていることが明らかであるとき。
  • 2.第68条第1項の裁定の申請に係る著作権者がその著作物の放送の許諾を与えないことについてやむを得ない事情があるとき。
文化庁長官は、前項の裁定をしない処分をしようとするとき(第7項の規定により裁定をしない処分をする場合を除く。)は、あらかじめ申請書にその理由を通知し、弁明及び有利な証拠の提出の機会を与えなければならないものとし、当該裁定をしない処分をしたときは、理由を付した書面をもつて申請者にその旨を通知しなければならない。
文化庁長官は、第67条第1項の裁定をしたときは、その旨を官報で告示するとともに申請者に通知し、第68条第1項又は前条の裁定をしたときは、その旨を当事者に通知しなければならない。
文化庁長官は、申請中利用者から第67条第1項の裁定の申請を取り下げる旨の申出があつたときは、当該裁定をしない処分をするものとする。
前各項に規定するもののほか、この節に定める裁定に関し必要な事項は、政令で定める。