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第4回法制問題小委員会への聴覚障害者の意見書

2009年8月25、30日

 聴覚障害者の情報保障に関して
 聴覚障害者は映像と音声による著作物の理解のためには「字幕と手話」の付加が、視覚障害者には音声解説(以下解説)が必要である。今回の著作権法の改正によって進んだ部分はより進め、さらに不十分な部分を日本版フェアーユースにより補うことを求めたい。

1)視聴覚障害者の著作物のアクセシビリティを確保できる様式に複製または送信する場合にどんな条件も付加すべきではない。
 「字幕と手話と解説」を付加して複製した著作物を聴覚・視覚障害者に営利を目的とせず無条件(コピーガードなどを附することはしない)で貸し出し、または通信でアクセスできるようにすることは平等の原理から当然の処置でありフェアーユース導入の根拠となる。

2)映像に字幕と手話を付加して公衆送信することを認めるべきだ。
 改正法でも、字幕と手話の付加した映像の複製と公衆送信ができない。特にテレビ放送は映像と音声が一体になって制作されており、字幕や手話と一緒に見なければ理解できない。
 阪神大震災の惨憺たる経験にも関わらず、現在でも緊急時に「字幕と手話と解説」が付かない放送が行われているので、放送されたものに対して「字幕と手話と解説」を付加した番組を複製再送信することは障害者にとっては最も重要である。
 現地及び全国中継番組に「字幕と手話と解説」を付加して、再送信すること、およびデータ放送を無償での複製再通信を可能とする必要がある。これに関して著作物のフェアーユースは適用されるべきである。

3)災害情報に関わる地上デジタル放送のデータ放送のデータの複製と再送信の著作権を制限して欲しい。
 地上デジタル放送が拡大する中、デジタル放送のデータ放送をアナログ放送で見ることができないのは新たなデジタルデバイドである。
 ことに、聴覚障害者は緊急災害時のテレビやラジオの情報が得られず、生命と財産の危険に対処出来ない。緊急時のデジタル放送のデータ放送は重要であり、聴覚障害者はそれを見るだけでも重要な情報を読み取り、かつ理解できる。また視覚障害者にはデータの音声化によって情報を受け取ることができる。
 まだデジタル放送を見る環境が整っていない現在、少なくとも緊急災害時にデータ放送複製再送信はフェアユースの観点から実現できるようにすべきである。

以上