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デジタル放送移行に伴う聴覚障害者の受信の保障に関する緊急要望書

総務大臣 原口 一博 殿

2009年10月8日

財団法人 全日本ろうあ連盟
理事長 石野 富志三郎
社団法人 全日本難聴者・中途失聴者団体連合会
理事長 高岡  正
特定非営利活動法人 CS障害者放送統一機構
理事長 高田 英一
特定非営利活動法人 全国聴覚障害者情報提供施設協議会
理事長 山内 公平

1.テレビ番組に、手話と字幕を付与した「補完放送」を実施する予算化を要望します。

「国連障害者権利条約」の理念は、障害のある人は、障害のない人と同じ権利を持つということです。  国は、すべての障害者が、テレビ放送にアクセスする権利を保障しなければなりません。視・聴覚障害者には、字幕放送、手話放送、解説放送が必要です。
 2011年7月に、テレビは、地上デジタル放送に完全移行しますが、社団法人電波産業会(ARIB)の標準規格による地上デジタル放送は、技術的に手話放送を行うことができません。字幕放送のように、必要とする人が、リモコンで、オンオフの切替ができないのです。聴覚障害者が手話放送を見ることができないことは、国の政策が作り出す、新たなデジタルデバイドです。
 この問題を解決するためには、地上デジタル放送以外のチャネルで提供される手話放送が必要です。これが、「補完放送」です。

 私たちは、1998年以来、手話と字幕を付与した番組を放送してきた「目で聴くテレビ」が、「補完放送」として、手話放送を行うことを提案し、予算化を求めてきました。また、字幕放送も増えてきたとはいえ、緊急災害時などには、手話放送はもちろん、字幕放送もありません。「目で聴くテレビ」だけが、字幕と手話を付与して、放送しています。 このたび、概算予算の見直しが行われるにあたり、この手話と字幕の「補完放送」の予算が組まれるよう、ご配慮をお願いします。

2.手話の自動アニメーション化の研究開発事業の予算化を要望します。

手話を付与した放送のためには人による手話の放送が必要です。しかし日本の地上デジタル放送が、現状の技術のままで部分的にでも手話放送を可能にするためには、手話の自動アニメーション化技術が必要です。現在、聴覚障害関係者の共同開発事業として、申請をさせていただいている、手話の自動アニメーション化の研究開発予算を組んでいただくようお願いします。そしてより根本的には人による手話が放送できる解決策のご検討をお願いいたします。

3.全ての障害者を対象にした、地上デジタル放送への完全移行の広報・啓発活動の予算化を要望します。

現在、私たちは視覚障害者や聴覚障害者を対象に、地上デジタル放送完全移行の広報・啓発活動(地上デジタル放送サポートセンター、デジサポ)に取り組んでいます。
総務省のデジサポの高齢者対策だけでは、障害のある視聴者が取り残される問題があるので、本年(2009年)度は、視覚障害者や聴覚障害者を対象に広報・啓発活動を実施しました。現在、私たちの広報・啓発活動の取り組みは、目標の3万人を大きく超えていますが、視覚障害者と聴覚障害者のみであり、それ以外の障害者は対象になっておりません。また、視覚障害者と聴覚障害者の総数は百万以上と言われており、全ての視覚障害者と聴覚障害者が対象になっているわけではありません。
全ての障害者を対象に、地上デジタル放送完全移行の広報・啓発活動を行うことの必要性を強く認識いただいて、来年(2010)年度は、全ての障害者に対象とした広報・啓発活動の予算化をお願いするものです。

以上

資料

  1. 国連障害者の権利条約
  2. 平成20年度字幕放送等の実績(総務省資料)
  3. 視聴覚障害者向け放送普及行政の指針の概要(総務省資料)