音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

  

デイジー活用事例集 小学校中学年

デイジーを使って自分一人の力で宿題(音読)に取り組んだ

奈良県内公立小学校教諭 岡田 恵未

1.本人の現況

小学校5年生(11歳)の男児で、LD(ディスレクシア)である。

平仮名の読みはできる。漢字は小学校1~2年生程度で、覚えているものは読むことができる。

デイジーを使用する前から、教師・母親によるリーディングサポートを受けており、現在も同様の支援を受けている。

2.デイジーの活用による支援

デイジーは小学校3年生から使い始めた。

通級指導教室にて、デイジーの紹介を受けたが、通級の指導の中では、デイジーを使って読めるレベルではまだなかったので、使用していなかった。学校の教科書の内容を知るために、音読の宿題で使い始めた。

母親との関係が悪く、「一人でやっていきたいけれど、母親に読んでもらわないと一人では宿題も、連絡帳を見て明日の準備も、何もできない」という本人の思いがあった。そこで、デイジーを使って、自分一人の力で宿題(音読)に取り組み、母親との距離を離そうと、デイジーを利用することにした。

また、家で予習として教科書を読んでくることで、授業の中でお話の内容を理解して参加できることや、デイジーで文字を追うことによって、読める言葉が少しでも増えればというねらいもあった。

昨年度、4年生10月から学級で使用し始め、今も継続して使用している。

使用しているデイジー教科書は、小学生の国語、社会、理科、算数である。

写真

デイジー図書は、アリババと40人の盗賊、てぶくろをかいに、はなさかじい、きつねのよめいり(いずれも日本障害者リハビリテーション協会製作)を使用している。

デイジーは、パソコンとパソコン以外の機器をいずれも利用し、再生ソフトは、AMISとEasyReaderである。

家庭学習のときは、準備は母親に手伝ってもらうこともあるが、一人でリビングで、国語の音読の宿題のときや社会のテスト前に教科書を読むときに使っている。

学校では、教室や多目的教室で、一人で利用したり、学級全員で使ったりしている。個人では、国語の音読の時間や文章の中から問いの答えを探す時間に活用し、全体では、国語の音読や範読の時間、社会の図や表をみんなで見るときに使ったり、朝の読書で、全員で紙芝居のように利用している。休み時間は、デイジーコーナーで読書をしている児童もいる。

デイジーを活用して、何度も繰り返し文章を読むことにより、読める単語が確かに増えている。漢字は難しいが、平仮名だけの文章や、ルビをふった文章は、自力で読むことができるようになった。

授業に積極的になり、国語の時間でも手を挙げて自分の思いを発表する場面が見られた。また、自分に自信を持ち、国語以外の教科でもやる気を出して取り組むようになった。

読みの困難が大きいので、すらすら読めるようになったとはまだまだ言えないが、本人の読みに対する意欲はとてもよくなり、デイジーがあれば読めるという安心感を持って学習にのぞんでいる様子である。

デイジーを使い始めて、クラスの音読大会に初めて参加できたり、スピーチ原稿を見ながらクラスのみんなに向けてスピーチができたり、活動に参加できる幅も広がった。

写真