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質疑応答

モデレータ:河村宏

 

河村●
では、これから30分ちょっとあります。 「今、どうやったらDAISYが手に入るのか」、あるいは、「なぜ手に入らないのか」、という、お2人のプレゼンテーションがありました。 どちらも「どうすると手に入るようになるのか」というテーマで議論できると思います。 では、これからは、3分間ルールをお願いしたいと思います。 すべての発言は3分以内でお願いしたい。 壇上に3人いますが、このセッションで、プレゼンテーションし、モデレータをするというだけです。 ですから、会場の皆さんは均等に発言するチャンスがあります。 質問というよりは意見交換にしたいと思います。 自分はこう思う、こうしたらもっと良くなるのではないかということを意見として、発表しながらテーマに迫っていきたいと思っています。 では、最初に、今のプレゼンテーションや、さまざまな発表を聞いて、このテーマについて発言したい方がどのくらいいるか知りたいです。 今手を挙げておくと有利です。 手を挙げてください。 人数を数えます。 4人だけ?・・・7。 はい、とりあえずここまでで1回目の締め切りです。 3分以内でよろしくお願いいたします。 私から向かって右側、右端の一番前の方から順に後ろに行ってください。 先ほどの方、手を挙げてください。 差し支えなければ、お名前とご所属を。

会場●
所沢で自営で英語教室をしてます。 3年生からローマ字学習が始まると言うことで、今、小学校で教えているローマ字と違い、中学校になるとヘボン式になるということですが、私の教室にも読み書きが苦手なお子さんで、ヘボン式のローマ字で、ますます混乱することがあります。その辺はどうなっているのか一つお伺いしたい。 また、DAISY図書を広める場合に、外国人のかたも、日本語の学習をする意味で、非常に有効ではないか。その面でもご配慮いただけるといいと思いました。 あと、それを思ったのは、英語に関しても、多読というのをやっていて、1ページ1文字の英語の図書から学習を始めています。 教科書だけではなく、英語の一般的な書物に関しても、DAISY図書はこれから手に入れることができるか。 以上3点、興味を持ちました。

河村●
簡単に補足をしていただきたいのですが、今、なさっている英語の教室には、ディスレクシアあるいは発達障害の方もいますか?

会場●
中学校の生徒さんで高機能自閉症の診断を受けているお子さんが1人います。 あと、小学校4年、5年に1人ずつ、WISC-Ⅲを受けたいとか、個人的に教育相談をうけている方は2名ほどいますので、全部で3名になります。

河村●
となりの方。

梅田●
日本点字図書館の梅田です。 私たちのところにも、マルチメディアDAISYをどこで入手できるかという問い合わせがきます。 市販しているものも数タイプあり、ほかにはリハ協さんを紹介したりしています。 先ほど、リハ協のブースで、教科書をたくさん作ってらっしゃるのを見て感動しました。これからどうするのかということで、視覚障害者の点字の世界では、点字データが、特総研、特別支援総合研究所にサーバがあって、そこで盲学校情報ネットワークがあり、点字データを共有しています。 内容はよく知りませんが、そういう形で、特総研などで教科書データを集中して管理できるようなシステムができるといいなと思っています。 予算の問題などもあると思います。 データが集まると、ロービジョン、弱視の方、ディスレクシアの方の見え方という部分で、先ほど白黒反転の問題も出ましたが、先日出版UD研究会に、アスペルガーの当事者がいらして、その方は、白黒反転やディスプレイはとてもつらいとおっしゃっていました。 自分は紙で、どちらかというと、パステルカラーが見やすい。クリーム色の下地の紙に茶色い文字で書かれていて、行間が空いていると、とても落ち着いて読めるけれど、普通のは、ちょっと怖いとおっしゃっていました。 いろいろな見え方、人によって違うと思います。そう言われたときに、データをオンデマンドの形で提供できるようになると、本当に望ましい社会なんだろうと思いました。

河村●
ありがとうございました。 さらにご発言いただきます。一番右の列は終わりで、真ん中の列、もう1回さっき手を挙げた方。 では前から2列目の方からお願いします。

会場●
横浜市立盲特別支援学校図書館に勤務しております。 編集上の改良のお願いになりますが、私共の図書館には、様々なこだわりのあるお子さんがたくさんいます。 その中で、やはり、絵本はお母さんに読んでほしい。 この本は担任の先生の声でないとけない。 このお子さんは、「○○ちゃん、○○のおばちゃんが、○○のお話しをするよ」という感じで入っていく。そうでないと物語を聞けないお子さんもいます。 これはDAISYの編集の中で、「私の声」を入れてDAISYを作りたい、そういう思いがあります。 私どもには弱視のお子さんも沢山いますので、文字ももちろん欲しいのですが、そんな思いもあります。

河村●
ありがとうございます。 次の方。

会場●
奈良デイジーの会です。 何年先ぐらいにマルチメディアDAISY教科書が一般的に手に入るようになるのか、3年先なのか5年先なのかなど、タイムスケジュールがわかればありがたいです。

河村●
ありがとうございました。 ここで、ちょっとお二人にそれぞれ3分以内でコメントをいただきます。

樋口●
ストップウォッチありますか? ヘボン式というお話でしたが、おそらく、中学の国語の中で、ヘボン式のローマ字をちゃんと教えているのではないんじゃないかと思います。僕、国語の専門家ではないのですがローマ字の教え方もありますよね。 ローマ字入力を教えるのが小学校3年生からです。 学校によっては、英語の読み方とうまくつなげるためにヘボン式を取り上げています。 ヘボンというのは、ヘップバーンと一緒なんですよね。Hepburnです。 ただ、英語の難しさというのは、ローマ字を書くときと同じですね。 例えば、「d」「b」の鏡文字。 イギリスやアメリカでやっているような文字の書き方にしろ、実際触ったり、粘土で作ったりという、そういう教え方が大事だということは、英語、あるいはローマ字を教えるときには必要です。 「日本語を学習する外国人に」というのも、おっしゃるとおりだと思います。 現在、教育振興基本計画の中に、障害のあるお子さんと、外国人のお子さんの教育を充実させるという計画が入っています。 大雑把なことしか書いていないのですが、そこら辺も後ろ盾にしながら、この人達にとっても必要な教材ということで働きかけることは可能でしょうが、まだ教科書バリアフリー法の法律に位置づけるところまではきていないと思います。 とりあえずここまで。

井上●
幾つかありましたが、さっきユニバーサルデザインの出版、UD出版の話がありました。 受け売りですが、「ワン・リソース・マルチ・ユース」と言うそうです。 リソース、要するに元は1つ。いろいろなユーザーが、その人のニーズに応じて使える、読める。まさにこれこそがデジタル技術の成果だと思います。まさにマルチメディアDAISYはそれです。 ただここにも、いろんな著作権法上のことがひっかかってきますが、技術的には十分可能と伺っております。 先ほど少し紹介した、NIMACですが、これは国家レベルでそれを推進しています。ただ、教科書および教材ということでやっています。 また、これも受け売りですが、米国での「Bookshare」。 主に高等教育、専門学校や大学等での授業、研究に使う図書をデジタル化して、シェアできるようにしているシステムがあるそうです。河村さんのほうが詳しいと思うのですが。 それから、タイムスケジュールは、文科省さん、特に教科書課さんですが、ぜひ頑張って。私ども親の会でも要望書を出したり、陳情や要請を行っています。 やはりお金の問題もあります。無限にお金をかけるわけにはいかないのですが、デジタル化は、初期投資は当然あるのですが、いったんシステムが動き出せば、人的にも財源的にも節約になると思うんですよね。 バラバラにいろいろな人がいろいろなフォーマットで勝手にやって乱立したらもったいないです。そのシステムづくりは慎重に、ある程度お金をかけてやる必要があります。 一旦スタートすれば、フロアの人の質問にもあったように、一般にも手にはいると思います。

河村●
ありがとうございます。ちょっと補足します。 DAISYの世界では、「ワン・ソース・マルチ・ユース」という言い方です。 「リソース」ではなく、「ソース」ですね。「リソース」という言い方があるのかもしれませんが、少なくとも国際的なDAISYの世界では、元のDAISYファイルを1つ作っておいて、それからいろいろな形で、音のマルチメディアのテキストだけ、あるいは大活字でプリント、普通の文字でのプリントなども、元の電子データファイルは1つで、そこから自由に出していけるようにという呼びかけも行われていて、幾つかの国では実験的に行われています。 もう1つ、NIMAC(ナイマック)というのが出ていますが、センターのことです。データを集積しているところです。 似たものにNIMASというのがあります。「S(ス)」は、スタンダードの「S(ス)」です。 教科書用のデジタルデータの標準規格を、アメリカでは2年間調査・研究して決めました。 それは、99%、DAISYのことです。DAISYと同じものと考えても良いです。 何が違うかというと、私の理解では、DAISYの規格ではページをつけなければいけません。そこが、元の教材にはページがあっても、電子ファイルになると、違う使い方があって、絵があったときに、その説明が次のページに行ってしまうと、見にくい。画面に絵が出たままでテキストはスクロールしていくほうが、見やすいじゃないかという考え方もあるので、「ページ付け」という、紙に印刷することを前提にした規制は特に設けていないということを聞いておりますが、実際に使われているもので確認はしておりません。 つまり合法的にアクセスすることができないので、そこは伝聞です。 今現在、1万数百タイトル、NIMACには電子データが蓄積されていると聞いています。 それプラスアルファで、連邦政府が約30数億円を投じて、先ほどでました、Bookshareという団体の、DAISYのコンテンツですが、テキストだけのDAISYを5年間で、10万タイトル作るというプロジェクトを去年の9月からスタートしています。 時間的にどうかという質問がありましたが、アメリカでは去年9月にスタートして5年間で10万タイトル作る、それで、就学前から大学卒業26歳までの教材は、それで揃う、そういう計画のようです。 以上、補足でした。 では、続いて、予約されている方、手を挙げてください。 3名の方、お願いします。

会場●
当事者で中学1年生の子供の母親です。 教科書のDAISYをBの部屋で見せていただきました。 小学校の内は、教科書を私がとなりで読み上げていました。 しかし、中学校に入ると量が増えて、教科も多いですし、やり切れなくなりました。ああいうものがいつもそばにあって、彼が見たいときに見られたらどんなに良いだろうと思い、できれば、今できている部分をご提供いただけるとありがたいです。 それと同時に5年とかいうスパンで考えると、うちの息子は卒業してしまうので、今教室で苦しい思いをしているこのためにも、なるべく早く提供をしていただきたい。 うちの場合には、国語は読んでやれば済みます。むしろ必要なのは、社会、理科、その他の実技科目の教科書です。ここまでは読む余裕がありません。 ですから、クラスで遅れを取るのが、実技教科のような気がしますので、それもお願いしたい。 教科書以外では、ハリー・ポッターが読みたいという話がありましたが、私も点字図書館に相談しましたが、著作権の問題で視覚障害者以外には貸し出しできないということで、せっかくあるのにすごく残念です。 ぜひ、著作権問題をクリアしていただき、あらゆる障害のある人に提供していただけるようになるといいと思います。

河村●
ありがとうございました。では、後ろの方。

会場●
音声合成のソフトを作っている株式会社エーアイに勤務しております。 DAISY図書を作るのに時間がかかると聞いています。 録音ではなく、合成であれば、時間も短縮でき、一発で変換できます。多少、漢字の読みなどは直す必要がありますが。 その研究をしているところ、オープンソースになっているということで、企業に尋ねたいのですが、どこに行けばそのような話ができるかが分からない。 あとインターネットを調べてみましたが、朗読が前提になっているようで、感情を表現するような記号がないとか、教科書は分かりませんが、小説等を読むとき、DAISYフォーマットを拡張するような規格をしているところがないか。それによってある程度合成音でも感情なども表現できます。そういった機関はないでしょうか。

河村●
簡単なことなので今お答えしておきます。DAISY規格については、まったく公開で、DAISYのWebサイトで、残念ながら英語ですが、そこで常に規格をこう変えたいという提案を受け付けています。 そこに投稿していただくと、規格改訂の委員会が見て、検討します。 また、合成音声の研究についてですが、公開されているものについては、かなりの程度、私のところの情報があるので、あとでいらして下さい。 では、次の方。

会場●
出版社で、UDジャパンの者です。 社名のとおり、色々な特性を持った人の為に、多くの情報を提供したいと思っています。うちの会社の出版物には、はじめからテキストデータを付けています。本を買った人には、希望しますと言っていただければ、無料で付けています。 今日、いろいろな話を聞き、教育現場、教科書、小中学校の話がほとんどでしたら、今、現状、普通の本で、出版社がそういうことをしているところがあるか、また、DAISYの形式にしていく方法や、アドバイス、助成金などはあるのか、その点をしりたいと。 出版社は、1冊売れれば、本当に100円、200円という利益で生きています。 そこにまたさらに、音声の話を先ほどお聞きしましたが、テキストデータに、さらにDAISY、そして音声とする、そうすると利益が無くなることが予測されます。 今後、ますます日本は高齢社会になります。高齢になると、本が情報を知りたいが読めなくなるということになっていきます。そういう社会で、DAISYは、教育現場だけにおさまらない日本になってほしいと思います。わたしたちが出版する本には、必ずDAISYのデータをつけて、どんな環境でも読み上げて、というようにしたいと思っています。

河村●
それでは、一番左の列。もう一度、手を挙げてください。 もういませんでしたか? では、お2人に戻します。

井上●
「ハリー・ポッター」ですか。お読みになりたいと。 日本の著作権法では、著作者の死語50年で著作権が消滅します。 例えば、インターネット上で、有名なのは、「青空文庫」というのがあります。芥川龍之介とか、いわゆる小説ですが、テキストデータで、公開されています。ただ、「ハリー・ポッター」の作者はまだです。 残念ながら現状の著作権法では、いわゆる視覚障害の方のためのサービスです。録音図書などは、当然ディスレクシアの方など、読みに困難な方のニーズがあります。10年来要望してきて、やっと扉が開き、教科書に限って、今回法改正になりました。録音データそのものについても制限があります。 ビブリオネットというのが先ほどご紹介ありましたが、今はインターネットで送信できますので、それもつい最近のことで。 要望をどんどん挙げていって、著作権法改正を進めていく。先ほどのフェアユース、本来、それでいえば、読めなくて困っているのに読みたいということですから、視覚障害でなくても読めないなら、読めるようにしなきゃいけないと思います。 ぜひ要望していただきたいと思います。私もしていますので。

河村●
では樋口さん。

樋口●
先ほどのお話で、国語よりもかえって実技科目の教科書がほしいという話でした。なるほどなと思いました。 自分1人で何でも読んで理解するためには、こういう支援がいるというお話。 今後、発達障害に対応する教材の研究をしていくときに、こういった視点も入れていかねばと思いました。 それから点字図書が、点字図書館でDAISY化されたものがかなりあると聞いていますが、読み書きが大変なのに使えないというのは、不便じゃないかというお話でした。 ただ、おそらく数の問題があって、現在の視覚障害の方の利用の頻度と人数、発達障害の人へ枠を広げると、その何千倍、何百倍、どれぐらいになるのかな、数倍ってことはないでしょうから、それに対応できるかどうかというところだと思います。 結局、きちんと対応するためには、見合うだけのものでないといけないので、そのためには予算の問題もかかわっているのではないかと。 おそらく1つの元を作っておいて、パスワードを持った人だけがダウンロードして使う形にすると、比較的お金はかからないと思うのですが、多分、同時に何人もの人が使うことを考えると、著作権、複製などの辺りがうるさいのではないかと思います。 貴重なお話しをありがとうございました。

河村●
そろそろ終了の時刻になってきて、私のほうで一応のまとめのような、まとめにならないような話をします。 皆さん、いろいろな角度からDAISYがこういうふうにあったらいいなということと、すぐにでもDAISYが欲しいという切実な実態が出てきています。 また、今日の発表の中で、やはりDAISYは非常に有効じゃないか、とにかく使うチャンスが欲しいというのが、共通の理解になったと思います。 最後に著作権法の問題にいつも戻ってくるんですね。 著作権法37条というものがあります。 それに、許諾を得ずに視覚障害者のためのDAISYの録音図書は作っていいという規程があります。ですからこれを視覚障害者以外に提供するのは著作権法違反、だから提供できないというのが、今、点字図書館に約10万タイトル以上のDAISYがあるのに、それが提供できない主たる理由です。 ですから、一方でずっと井上さんが過去10年間、37条のようなところに、やはり発達障害で読みに障害のある人に対しても、視覚障害の人々と同じように情報にアクセスできるよう、法律を変えて欲しいという要望は、ずっと出しております。 いよいよ、教科書を突破口にして、37条も本丸に迫る時期がきたと、私には思えますし、これは皆さんで、そう言う声を具体的に出すことによって変わるはずです。 著作権者側も、基本的に国際標準のアクセスを、障害のある人に提供することにおいては、国によって、あるいは言語によって違うことがあってはならない、という点で、著作権に対する国の委員会でも、権利者側も含めて合意をしております。 あとは時間の問題で、著作権法については、もう一押し、皆で頑張れば変わる。 そして樋口さんが言われた、希望者が多くなったとき、今の点字図書館の体制でできるのかという問題。これはより多くのサービスをするためには、より多くの資源が必要なのは 当たり前ですから、それは改めて予算措置が必要だと思います。 教科書に戻ります。 やはり、今回の著作権法改正はとっても大きな出来事です。 教科書については、非営利であれば、どんどんみんなで分けてかまわないということなんです。つまり、特別の形の教科書を必要としている児童・生徒は、非営利であれば、コピーをもらえる。 つまりサーバに置いておいて、その必要な生徒は自由にダウンロードできて使えるようにする道が開かれたということなんです。サーバに置いておいてダウンロードすれば、あまりお金はかかりません。パッケージにして流通するのは大変ですが、サーバに置いておいて、みんながそこにアクセスしてダウンロードするのは簡単。 その時に音声が入っているDAISY図書は大変大きなボリュームになります。先ほど、エーアイの会社の方がおっしゃいました、合成音声で読むことも十分検討していかねばなりません。その際、分野ごとに読みが違っていますよね。ですから肝心なところを読み間違えないようにする研究開発も必要。 それと同時に、レディメイドとオーダーメイド。 私達が普段着る服はつるしてあるのを買って着ますが、「これ一発」となったら、オーダーメイドを着て、しゃきっとしたいということもあると思います。 当然、1人1人のお子さんがレディメイドでは不十分だから、オーダーメイドが欲しいこともあると思います。 そのためには、できるだけレディメイドを増やして、できるだけ簡単にDAISYを作って、さらに特別の注文のものは、なお工夫や加工ができる、音声の声も変えられるようにと。 それはソフトウェア、つまり製作、再生のツールの問題です。そういう簡単に変えられるツーツの開発、最後に、微に入り細にわたって1人1人の子ども用にできるというのも必要です。 縦書きを横書きを簡単に変えたり、ルビがあったりなかったりも変えられる、表示はプレイヤーの方で変えられれば、ひとつひとつ作らなくてもいいのです。できるだけ1つのソースでみんなのニーズを、できるだけテーマをかけずに満たしていく。本当に手間をかけなくてはいけないというお子さんには、とことん手間をかけられるように。そういうフレキシビリティは必要で、そのためにはスタンダードを決めないといけません。 そういうことをアメリカではDAISYでやろうと、調査研究できめられ、アメリカでは全国的にDAISYというスタンダードに向けて、それを実際に手に入れられるようにという5年計画が、30数億円という政府プロジェクトでスタートしました。 いよいよ日本でも、そういうことが来年度からの文科省の調査・研究ではじまりそうだという、朗報をいただきました。1億円で足りるのかなという不安もありますが、そのほかにも、様々な公的・私的な活動、ボランティアの方も含めた活動がみんなで寄り集まって、次の機会に皆さんでこういう議論をするときには、ここまできたよ、と言うことが、もう一歩広がって実現できるのではないか。 それを、私は予感できるような熱を感じることができました。 今日は、お忙しい中、井上さん、樋口さん、ご登壇いただき、ありがとうございました。それから会場のみなさんも、熱心にパネルディスカッションにご参加いただき、どうもありがとうございました。パネルディスカッションを閉じます。

司会●
ありがとうございました。長時間、お聞きいただき、本当にお疲れ様でした。閉会のごあいさつを兼ねて、ひと言申し上げます。 私ども、日本障害者リハビリテーション協会では、視覚障害者へのDAISYによる支援から、様々な障害を持つ方、特にディスレクシアに焦点を当てて、昨年度から普及をして参りました。今後については、河村さんにまとめをいただきましたので、割愛させていただきますがその中でも一つだけ気になったことがありまして、私どもの体験会で、たくさんの教科書を見たとおっしゃる方がいらっしゃいましたが、私どもが作ったわけではありませんで、実は、まだ始まったばかりのプロジェクトです。 神戸のLD親の会たつの子の山中さんとの協力の中、だいたい30名ぐらいの方にDAISY教科書を提供し始めたのですね。ただし、私どもだけで出来る話ではなく、NPO法人奈良デイジーの会など、国立大学法人富山大学人間発達科学部森田研究室、NPOデジタル編集協議会ひなぎくなど、たくさんのところにご協力をお願いし、私どもがコーディネーターとなりやっているものでして、私どもだけの成果ではありません。 ただ、やはり製作団体と一緒にやっていますと、どういうものが一番いいDAISY版の提供か、試行錯誤で、いろいろ試みをしています。 まだはっきりとした結果はでていません。多分、来年の2月ぐらいに報告会をやろうということにはなっていますが、そのころには何らかの成果や、有効性、効果が見えてくるのではないかと思っています。 今回のイベントをきっかけに、使ってみようという思いなど、いろいろなものが皆さんの中にあると思いますが、そのはじめの一歩を私ども、日本障害者リハビリテーション協会が応援できれば幸いです。 最後に今回の開催にご協力いただいた、NPOエッジ、日本国際児童図書評議会、ゲートシティ大崎の皆さんの多大なるご協力に感謝します。 また、情報保障を陰で支えてもらった要約筆記の皆さんに拍手を送りたいと思います。 はなはだ簡単ですが、閉会のご挨拶といたします。 本日はありがとうございました。