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講演会
「DAISYの新時代―EPUB3とDAISYの連携によるインパクト」

国内におけるDAISY普及について
報告1 DAISY教科書提供事業について

濱田 滋子
NPO法人 奈良DAISYの会

スライド1

(スライド1のテキスト)

NPO法人奈良DAISYの会の濱田滋子と申します。今日はボランティアグループの苦しい現状をお伝えに来ました。そして我々がどういうことを望んでいるのかということをお伝えしたいと思います。

スライド2

(スライド2のテキスト)

今年度、2011年度の教科書のマルチメディアDAISY化がどのくらい行われているか。さきほど野村さんからもありましたけれども、118冊です。小学校の教科書の検定教科書数が280点ありますが、そのうちの59点。それから中学校の教科書は131のうちの58点。高校になりますと、これまで支援してきた中学生が高校に上がってきていますけれど、実は高校は900点以上の検定教科書があり、とても製作が追いつきません。

スライド3

(スライド3のテキスト)

ニーズはあるのに製作は追いついていないのが、この数字を見てもわかると思います。現在、教科書ネットワークという会が立ち上がって全国の13グループが製作しているのですが、製作に携わっている人数は96人です。

スライド4

(スライド4のテキスト)

奈良DAISYの会の場合のお話ですけれども、私たちは2003年に会を立ち上げ、2006年度から教科書のマルチメディアDAISY化を始めています。今年度については、22点の担当をしております。そのうち14点が新規作成です。8点が前に作ったものの修正や見直しということで、13名のメンバーが製作に携わっています。ただなかなか継続した活動が難しいです。製作者の確保ということと、やはり費用の面で機材とかすべて個人の持ち出しで行っておりますし、働きながら作ってくれている人たちも多く、厳しい状況での製作が続いています。

スライド5

(スライド5のテキスト)

製作に大体どのぐらいの時間がかかるのか。これはほんの一例で、私たちのグループ内でのことですけれども。人のスキルにもよりますし、ソフトによってかかる時間は違うのですけれども、奈良DAISYの会の場合は、小学2年で11ページ作るのに10時間。3年生の国語で6ページ作るのに6時間。小学校5年生の社会の8ページを作るのに20時間。結構バラバラですけれども、教科書によっても随分製作時間のかかり方が違います。 こういう時間で、仕事をしながら作っているということは、授業に追いつけ追い越せの状況で、子どもさんに十分に余裕を持って提供するということができておりません。

スライド6

(スライド6のテキスト)

そこで、子どもさんたちみんなが教科書をもらうのと同時に、アクセシブルな自分が読める形の教科書を手にすることができる、そういう環境を作っていただきたいと思います。それはやはり国が責任を持って、みんなが読める教科書を提供するということをお願いしたいと思います。
出版社には、先ほど河村さんのお話にもあったように、EPUB3でアクセシブルな教科書を作っていただきたい。そして、その教科書が一人一人の子どもたちのニーズに合うような形に編集し直すことが必要な場合もあるかと思いますが、そういうことを含めて予算確保をぜひお願いしたいと思います。以上です。

野村: 私たちが望んでいるのはアクセシブルな教科書の提供であり、教科書出版会社が自らアクセシブルな教科書を出版していただきたいということです。また国の責任のなかで行われるべきだと考えております。EPUB3によって私たちの活動は、ボランティアの負担が減るなどより良くなると期待しております。今後とも国による支援をめざしてキャンペーンを行っていきたいと思いますのでよろしくお願いします。