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講演会
「DAISYの新時代―EPUB3とDAISYの連携によるインパクト」

報告2 サピエにおけるDAISYオンライン
杉山 雅章 特定非営利活動法人 全国視覚障害者情報提供施設協会

スライド1

(スライド1のテキスト)

全国視覚障害者情報提供施設の杉山です。よろしくお願いします。サピエにおけるDAISYオンラインのことを説明させてもらいたいと思います。

スライド2

(スライド2のテキスト)

まずサピエについて、ご存じの方も多いと思いますが、簡単に説明させていただきます。サピエというのは、今正面の画面に出ていますが、これがパソコンで開いた時のトップページです。これは視覚障害者のための情報総合ネットワークで、視覚障害者あるいは目で文字を読むことが困難な方々に対して点字のデータ、音声のデータを提供するネットワークです。現在、利用者は個人会員が約8,400名、それから全国の点字図書館、公共図書館、ボランティア団体などの施設・団体が約220加盟しています。

このサピエを開くと、このスライドのような画面が出てきますが、右側にメニューが4つ出てきます。一番上に「サピエ図書館」、二つ目に「地域・生活情報」というメニューが出てきます。この上二つが主に視覚障害者に利用されています。

「サピエ図書館」は、全国の点字図書館の書誌データが51万件、それから配信が可能な点字データが12万4,000タイトル以上、それから音声DAISYデータ2万2,000タイトル以上保有しています。現在、この「サピエ図書館」が最も利用されています。
「地域・生活情報」というのは、地域に密着した情報の配信を行うところです。3月11日の震災以降、震災の情報も配信していまして、まだまだこの中に入っている情報は少ないですけれども、これからの利用が期待されています。

スライド3

(スライド3のテキスト)

現在、このサイトにはパソコンや携帯電話を利用してアクセスしていますが、「DAISYオンライン」というのを新たなサービスを使いますとパソコンや携帯電話を使わずにアクセスできるようになります。
「DAISYオンラインサービス」は、DAISYオンライン配信プロトコルというのものを使用しています。このプロトコルは、DAISYデータのインターネット配信におきまして各事業所、各国間の相互の互換性を確保するために2007年にDAISYコンソーシアムがプロジェクトを立ち上げて開発したものです。ここに書いてありますように「情報配信元から利用者へデジタルコンテンツの配信を実現するウェブサービスAPI」というのが作られました。これが配信するための国際標準規格となっています。

スライド4

(スライド4のテキスト)

この規格の特徴を三つほど挙げています。一つは、この通信方式に対応した端末であればハード、ソフトを問わず利用可能になるということです。今後多くの端末の参加が期待されます。
二つ目は、DAISYオンラインに対応したウェブサービスにブラウザなしで利用できる。ブラウザを使わなくていいということです。
三つ目は、書誌データベースや検索処理を行う図書システムは共有していますので、パソコンユーザー、端末ユーザーのどちらも全く同じ図書を同じように利用できるというのが特徴です。

スライド5

(スライド5のテキスト)

次に、DAISYオンライン配信プロトコルによってどのようなサービスが提供可能になるかを紹介します。一つ目はブラウズ型配信と言いまして、これは利用者自身で図書を検索してダウンロードする、主体的にサービスを利用することができるサービスです。利用者は端末を通じてツリー状につながった質問に対話型で答えていくことで目的とするサービスに誘導されていきます。ダイナミックメニューと呼んでいます。

スライド6

(スライド6のテキスト)

もう一つはプッシュ型配信と言いまして、各会員の所属する点字図書館などの施設に自分の希望する図書をリクエストすると、点字図書館が利用者に遠隔操作でコンテンツを登録するという機能です。これは自分でうまく操作ができない、あるいはなかなか本を見つけられない方が、自分が所属する図書館に電話して、今までなら図書を郵送してもらっていたものが、今度は直接、機械にデータを登録してもらえるというものです。
二つ目として、希望の本を登録しておきますと、最新のコンテンツが公開された際に自動的に配信される定期配信機能というのがあります。これは週刊誌や月刊誌といった雑誌の中で、気に入ったものを登録しておきますと、最新号が公開されると同時に自分のもとに配信されてくるというものです。この登録は自分自身で行うこともできますし、所属の点字図書館に依頼することも可能です。

スライド7

(スライド7のテキスト)

このサービスを利用する端末の紹介です。これは「プレクストークリンクポケット」と言いまして、ほぼ携帯電話のような小さなものです。無線LANのインターネット接続機能がついていまして、直接インターネットに接続してサピエにアクセスすることができます。
今日はメーカーのシナノケンシさんがブースを設置されていますので、興味のある方は後ほどブースの方で詳しく聞いていただければと思います。

スライド8

(スライド8のテキスト)

これがサービスの概要です。まず、端末からインターネットにアクセスしてDAISYオンラインサービスサーバーにあるサピエポータルサイトにアクセスします。サピエにアクセスする場合はIDとパスワードが必要になりますが、機械にあらかじめ利用者が自分でセットしておけば、自動的に認証してサピエポータルサイトにアクセスできます。
このサピエポータルサイトでは、「サピエ図書館」、「地域・生活情報」というメニューがあります。サピエ図書館で本を検索すれば、サピエのデータベースとやりとりして本を探すことができます。
探した本を「ネット閲覧室」というところに保存します。これはサーバー上にある利用者個人個人の私書箱のようなものです。この私書箱に本を登録する方法は二つあります。一つは今申し上げたように機械を自分で操作して登録する方法。もう一つは、自分が所属する点字図書館に電話して希望の本を探してもらってネット閲覧室に登録してもらう方法です。今までは自分の所属する図書館に電話をしてカセットやCDが来るまで待っていたわけですが、これを利用すればすぐに希望の本が読める。それから点字図書館側にとっては、わざわざメディアで送るという手間がない電子図書館サービスに参加できるというメリットがあります。

スライド9

(スライド9のテキスト)

端末の操作メニューについてご紹介したいと思います。この画面にあるように端末の色のついた三つのボタンを利用すれば、DAISYのオンラインサービスに入ってメニューをたどって、簡単に検索ができるというものです。
今、手元にある機械で実際にやってみたいと思います。

〔機械音声〕

今、1番のボタンを押すとこういうメッセージが出ますが、この後、2番の真ん中の丸いボタンを押します。

〔機械音声:決定 ワイヤレスネットワークに接続中 しばらくお待ちください…〕

右キーまたは左キーとありますので、3番の黄色いボタンを順に押していきます。

〔機械音声:図書検索 雑誌検索 雑誌の定期配信 地域・生活情報…〕

このような形でメニューが読み上げれます。「図書検索」で本を検索しようというときには、また真ん中の青いボタンで決定します。

〔機械音声:決定 検索方法を選択してください…〕

このように音声ガイダンスがありますが、ここで人気のある本を見てみたいと思います。

〔機械音声:新着完成情報 人気のある本 決定 …合計100件あります 残り30件登録可能です〕

このような形でいろいろな本が探すことができます。この中で気に入った本を一つどれか選択していきたいと思います。

〔機械音声:決定 試し読みを開始します〕

「試し読み」と言いまして、いきなり自分の閲覧室に登録するのではなくて1回、試に再生させることができます。
ちょっと機械がうまく反応しませんが、実際にはここから本が再生されて、試し聞きをして気に入ったらネット閲覧室に登録します。

スライド10

(スライド10のテキスト)

次に、点字図書館側、つまり、今度は電話がかかってきてこんな本を探してほしいと言われたときの施設側のメニューの流れがこちらです。
サピエのポータルサイトから「DAISYオンラインサービス」というメニューに入った後、電話がかかってきた利用者の名前を選択するために、「会員選択画面」に入ります。、その後、「コンテンツ検索」、「ネット閲覧室管理」、「定期刊行物管理」という三つのメニューからコンテンツ検索をして、利用者の求める図書を登録してあげるという流れになります。

スライド11

(スライド11のテキスト)

ここが会員を選択するところです。サピエのID、個人の名前、読み、住所、電話番号といったもので検索をします。検索した結果がこちらですが、上の方に表示されているのは「ネット閲覧室」の現在の利用状況になっています。図書は30タイトル登録できます。定期配信の雑誌関係は30種類登録ができます。今現在、図書が閲覧リスト残り3件、定期配信の雑誌関係は25種類が登録できるようになっています。下の方にメニューが3つあります。「コンテンツ検索」、「ネット閲覧室管理」、「定期配信サービス」とありますけれども、ここで「コンテンツ検索」を選びます。

スライド12

(スライド12のテキスト)

スライド13

(スライド13のテキスト)

スライド14

(スライド14のテキスト)

タイトル、著者、キーワード、出版社といったいろんな検索項目がありますが、最近、原発について知りたい方が結構多いものですから、キーワードに「原発」+「原子力発電所」といった形で検索をしますと46件タイトルが出てきました。一番右側にチェックボックスがありますので、ここをチェックをして、上の「チェックした資料をネット閲覧室に登録」というボタンを押すと利用者のネット閲覧室に登録ができるという形です。このような形で施設が利用者のネット閲覧室に登録するができます。

スライド15

(スライド15のテキスト)

DAISYオンラインサービスですが、サピエのサービスの開始は今年の9月からです。機器の販売が9月中旬からの予定です。実際にサービスが始まっても機器が販売されないことにはサービスは利用できませんので、実際には機器の販売日がサービスの開始日となると思いますが、この辺はシナノケンシさんの日程次第ということになります。

簡単ですけれども、これでサピエにおけるDAISYオンラインサービスについての説明を終了させていただきます。ありがとうございました。