主催者あいさつ・歓迎の辞

日本財団 ソーシャルイノベーション本部 福祉特別事業チーム 上席チームリーダー
石井 靖乃

石井氏

皆さん、こんにちは。日本財団の石井靖乃と申します。本日は海外からの専門家の皆さま、それからこのシンポジウムにお集まりいただいた皆さまに心からお礼申し上げます。また、日本障害者リハビリテーション協会さま、DAISYコンソーシアムさまには、このような大切な会を共催させていただく機会をいただきましたことをお礼申し上げます。

挨拶ということですが、一つだけ今日のこのテーマに関係したことで、私が常日頃感じていることを述べさせていただきたいと思います。

テクノロジーを障害者の支援あるいはインクルーシブでアクセシブルな社会を作っていくために十分に活用していくということは必要なことであり、大変すばらしいことだと思っています。そして技術の進歩、あるいはその応用というのはどんどん積極的に行っていかなければならないことも全く疑う余地はないと考えております。

と同時に、一つ気をつけないといけないと常日頃思っていることがございます。それは、今、私の方では聴覚障害者の方が主に使う電話リレーサービスという事業を行っていますけれども、耳の聞こえない方の音声情報へのアクセスを考えたときに、音声認識ソフトを活用するのは大変重要で、しかも有効な手段だとは考えていますが、時々、音声認識ソフトが開発されていること知ったり聞いたりしただけで、もう問題は解決したんだなというふうに短絡的に楽観的にとらえ過ぎてしまうようなケースがあるように感じます。特に中央官庁や政治家の方などにそういった理解のされ方をなさる方がいらっしゃった場合には、非常に心配な気持ちになります。

と言いますのは、本当の意味で実用化されるまでにはまだまだやらなければいけないことは多いと思いますし、実用化されて普及・定着するまでの間のニーズに応えていくということが、我々がやらなければならないことあります。数年後にはこの技術でバラ色の解決が待っているだろうということだけで安心してしまったのでは、それは少し間違っているのではないかと感じることがございます。

初めからあまりネガティブなことを言うのも何ですけれども、DAISYあるいはEPUBはアクセシビリティを改善していくという意味においては非常に重要なことでありますので、テクノロジーそのものが発展して、なおかつ実用化されて、日本あるいは世界の隅々できっちりと普及して定着するまで関係者は努力を続けていかなければならないと考えております。

少し最初からうるさいことを言ったようですけれども、これを挨拶の言葉とさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

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