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マルチメディアDAISY:児童及び教師に対するアンケート調査

アンケートの答え

児童達は録音図書を読みました。そのうちの44名はAMISを使い、8名はEasyReaderを使いました。

このプロジェクトには52名の児童が参加し、そのうちの34名が男子で18名が女子でした。録音図書を試してみたのは8歳~16歳までの児童達で、基礎学校の1学年から9学年に通うか、または特別学校に通っていました。児童達の年齢は以下のような内訳です。

マルチメディアDAISYを試してみた児童たちの年齢による内訳のグラフ

表1:この表はマルチメディアDAISYを試してみた児童たちの年齢による内訳を示しています。
7歳=1人
8歳=8人
9歳=3人
10歳=12人
11歳=13人
12歳=2人
13歳=3人
14歳=6人
15歳=4人
*男子=34人 女子=18人

集められた52枚のアンケートの返答のうち、36名の児童が基礎学校に、16名が特別学校に通っています。そのうち3人の児童が自閉症です。12~15歳の年長の児童達は全員特別学校に通っています。基礎学校に通う児童達は学年で言えば1年生~5年生であり、年齢は7歳~11歳です。

28名の基礎学校の児童達のほとんどは読み書き困難/ディスレクシアです。基礎学校に通うその他の児童は注意力欠如障害/神経心理学的機能不全(6名)、自閉症(1名)、言語障害(4名)、読書能力発達遅滞(2名)。特別学校に通う16名の児童は発達障害で、そのうち3名の児童は自閉症でした。児童数の総計が合っていないのは、何人かの児童に複数の障害があるためです。

児童の様々な読書困難を示すグラフ

表2:この表は児童の様々な読書困難を示しています。
児童の様々な読書障害
読み書き困難/ディスレクシア=28人
発達障害=16人(この内3人は自閉症との重複障害)
多動症/神経心理学的機能不全=6人
自閉症=1人
言語障害=4人
読書能力発達の遅れ=1人

児童の録音図書による読書に対する慣れ具合

録音図書で何年も読書をしてきた児童は1人もいません。以前の調査では視覚障害の児童達がインタビューに申し込んでくれました。彼らは録音図書を何年も読んでいる、または聴いているグループでした。この研究において2005年に発表された調査では、特別学校の児童達は録音図書を読むことに関しては初心者でした。今回の調査では以前から録音図書を定期的に読んでいた児童は特別学校には4人、基礎学校には2人いました。

児童の録音図書による読書に対する慣れ具合を示すグラフ

表3:この表はほとんどの児童(28名)はかつて一度も録音図書を読んだことがなく、18名の児童が何度か録音図書を読んでおり、6名の児童が定期的に読んでいたこと、録音図書を読んだことがある児童は、ほとんど特別学校に通っていたことを示しています。

録音図書による読書に慣れている児童の人数(文章のない録音図書)
大変慣れている(何年も録音図書で読書をしている)=0人
慣れている(定期的に録音図書で読書をしている)=6人
慣れていない(録音図書で何冊か読書をしたことがある)=18人
録音図書で読書をしたことがない=28人

児童のコンピューターに対する慣れ具合

児童のほとんどは録音図書に対してあまり慣れてはいませんでした。ところがほとんどの児童がコンピューターには慣れていました。11名の児童がコンピューターには大変慣れており、コンピューターにあまり慣れていないと見受けられたのは2名のみでした。残りの39名の生徒達はコンピューターに慣れていました。

児童のコンピューターに対する慣れ具合を示すグラフ

表4:この表はほとんどの児童達がコンピューターに慣れていることを示しています。
PCに慣れている児童の人数
大変慣れている=11人
慣れている=39人
慣れていない=2人
全く慣れていない=0人

教師達の録音図書とコンピューターに対する慣れ具合

あの52枚のアンケートに返答を記入したのは14人の教師達です。その作業を行ったのはほとんどが、特別学校の教員と特殊教育専門家でした。教師達のうちの4人は録音図書を用いることにかなり慣れており、録音図書を何年も授業で使っていると答えました。その他4人の教師が授業で時に応じて使っていると答えました。教師達のうち3人が何度か使う機会があったのみだと答え、またその他の3人は授業においてはまったく使ったことがないと答えました。

ほとんどの教師達はコンピューターには慣れている、または相当慣れていると判断されました。コンピューターに慣れていないと見受けられた教師は2名のみでした。

図書の内容

教師達に対しては、図書の難易度に関する質問が与えられ、生徒達に対しては図書の内容についてどう思うかという質問が与えられました。これらの質問はお互いに似たようなものであり、返答はお互いに発表されました。答えはお互いによく一致していました。

教師達は自分で図書を聴いてみて、どの図書が各児童に適しているか選択することができました。教師達が図書のタイトルを選んだため、ほとんどの児童(52名中43名)がちょうどいい難易度の図書を受け取ったと教師達が考えていることがわかります。

これは『怒りとは』という図書がちょうど良い難易度であったことを示す一例です。

  • 児童達はある部分では文章を読んで自分自身を重ね合わせ、またある部分ではその内容について考えていました。

教師達は4人の児童は、受け取った図書が簡単すぎたと考えていました。簡単すぎたと判断された図書は『リネアが犬を見つけました』で、読んだのは特別学校の児童達です。それでも彼らの教師は、文章を聴いて理解する訓練の入り口として、敢えてこの図書を選択しました。

  • 発達障害と自閉症の児童にとっては、挿絵と文章の間の明らかな関係性が必要なのです。彼はより複雑な文章内容を読んだり聴いたりできるように、文章を聴いて理解する能力を訓練する必要があります。

図書がちょうど良い難易度だと判断した教師達は、選んだ図書が読書訓練にとても適していると述べました。

『怒りとは』と『ベルマンは一枚のFAXを受け取った』の2冊は、5名の児童には難易度が高すぎました。そのうちの3人は自閉症と診断されています。これらの児童は内容を視覚的に理解しており、怒りを感じる状況に自分を置いてみることが難しかったようです。

図書を読んでしまった後、彼らは物語をどう思ったかという質問を受けました。児童の大部分が内容に満足していました。全児童の過半数、または5分の3(28名)が良い図書だったと考えていました。5分の1の児童(11名)は、それどころか大変良い図書だったと考えていました。残りの5分の1の児童(13名)は良くも悪くもなかったと考えていました。読んだ図書がよくなかったと考えた児童はひとりもいませんでした。何人もの児童が『ベルマンは一枚のFAXを受け取った』という物語は面白かったとコメントを残しました。ある児童は『ブッレルの大騒ぎ』の中の出来事についてディスカッションをしたがりました。

以下は『怒りとは』を読んである児童が述べたコメントです。

  • 私は自分も同じ気持ちになったのを思い出しました。以前の私は大変怒りっぽかったのです。でも今は前よりも良くなり、前のようにすぐいらいらすることもなくなりました。

私達は児童が興味を示さなかったり理解していないことに気がつくと、『ブッレルの大騒ぎ』や『郊外の子ども達』など、読み上げの始まっていた図書を停止し、その図書の紹介をします。彼らはブッレルが大晦日にグローベン(翻訳者注:スウェーデンの首都ストックホルムにある球体形の建物、および屋内競技場)のてっぺんに座っていたこと、そしてなぜそうなったのか、その後彼に何が起こったのかをだんだんに知ることができます。私達は少し前知識を与え、興味を本につなげられるようにしているのです。

図書『郊外の子ども達』には、図書の中ほどに写真が入ります。私達はアミーナと彼女の友人達がどんな少女なのか、どんな環境が図書の中に映し出されているのか、前知識を与えるために先に写真を見せます。そのことによって、続けて読んだり聴いたりすることが楽にできるようになるのです。

図書の録音

図書の録音に対する児童の意見は、大部分物語そのものに対する彼らの意見と一致しました。ほぼ5分の3の児童が、録音が良かったと感じていました。5分の1の児童は録音は大変良いと感じました。それに対し5分の1あまりの児童が録音は良いとも悪いとも考えませんでした。録音が良くないと考えた児童はひとりもいませんでした。

1人の児童が以下のようなコメントを残しました。

  • テキストの録音が良かったです。全体的にスクリーンリーダーよりずっと良かったです。

教師達は録音をどのテキストがどんなスピードで読まれたかということから評価しました。彼らは初期設定の読み上げから聴き始めましたが、誰も録音が遅すぎるとは感じませんでした。教師達は児童に文章が読み上げられている間に画面の文章を追うのについていけるかどうか質問しました。ここではどの本を読んだかで児童の答えが分かれました。

『ブッレルの大騒ぎ』、『郊外の子ども達』、『怒りとは』に関しては教師達は半数以上(10名中6名)の子ども達にとってちょうど良い速さだったと述べました。以下はそれについての幾つかのコメントです。

  • 速度を遅くすることができなかったため、彼女は聴きながら絵を見ることしかできませんでした。(女子、8歳)
  • 画面上の文章についていくのが困難でした。
  • 速度を下げて彼女のレベルに合わせてあげられなかったので、彼女は聴きながら挿絵を見ていただけでした。
  • 聴くにはちょうどいい速さでしたが、それと同時に文章を読んでいくには速すぎました。
  • 読み上げが少し速すぎました。彼女は声が気に入っていました。
  • 読み上げが速すぎたので、彼女はTPBリーダーで続けざるをえませんでした。(女子、特別学校 14歳)
  • テキストの読み上げが速すぎました。『郊外の子ども達』に関し、10歳の女子がついていくことができたのは、会話のような短い文章の部分と各文章の間に空間がある箇所のみでした。
  • 11歳の男子が常にテキストについていけたわけではありません。黄色いマーキングについていこうと努力していました。

各図書はそれぞれ別の目的で利用されているので、全ての図書の結果を一緒にすることはできません。『リネアが犬を見つけました』は2種類の速度で録音されています。それにこの本は再生ソフトEasyReaderで再生されています。これらの選択肢によって、教師達は『リネアが犬を見つけました』と『ムッレ・メックが車を作る』は児童全員にちょうど良い速度だったと述べました。

  • EasyReaderを用いて速度を設定することができました。私の2人の生徒に必要だったのはそれでした。
  • 遅い方の速度を使いました。速い方は本当に速すぎです。
  • 遅い方の速度は読み方に滑らかさがありませんでした。そのため、分かりにくかったようです。吹き込み手が遅い速度で吹き込むなら、文章の内容を際立たせるようなイントネーションや区切り方をすることが重要です。この図書ではそれが難しかったと思います。文章のテンポが揃っていませんでした。時々停止していました。読み上げ速度を上げるととぎれがちになりました。2年生の男の子がそれを嫌がっていました。吹き込み手は同じ拍子を保つべきだと思います。句点の箇所の休止の長さを揃えてください。
  • 1年生の女子はこの本に興味を持ったようです。彼女は集中して聴いていました。

教師達は『怒りとは』を読んだ全ての児童が、ちょうどいい読み上げ速度で聴いていたと判断しました。それはこの図書を10~15歳の年長の児童が読み、彼らが全員速い方の速度で読んでいたことで説明がつきます。

教師達全員からは、遅い方の速度の選択肢がなかったという評価を受けました。複数の教師達が、児童全員に彼らが読ませたいと思った図書を紹介できたわけではないと述べました。それは読み上げの速度が速すぎたためでした。

画面上の文章

教師達と児童達両方にとって始めてだったのは、図書中の文章が画面上に映し出されたことでしょう。児童達の読書にとって画面上の文字が役に立ったかどうかという質問に対し教師達は、(52名中)31名の児童がこれまでよりも楽に読むことができたと答えました。また13人の児童にとっては普通の図書を読むのと容易さや難しさは変わらないと述べ、8名の児童にとってはそれよりも難しかったと述べました。教師達のコメントからは読むのが困難だった理由は、読み上げの速度が速すぎたことだったのが見てとれます。

児童達に対しては「文章を画面上で読むことに対して、普通の図書を読むことと比較してどのように思いましたか?」のように質問しました。児童達は、教師達とほぼ同じように答えました。31名の児童がその方が簡単だったと答え、14名の児童が普通の図書と同じように簡単、または難しいと答えました。また7名の児童が画面上の文章を読む方が難しいと答えました。

教師達は生徒達が画面上でテキストを読む可能性を得たことを喜ぶと同時に、文字の大きさを変えたり、文字にマーキングがかかる機能の便利さを評価していました。教師達は児童達に字を拡大する方法を見せました。これは彼らが全ての児童にやってみせたことです。ある教師が児童達は拡大した文字を好むことに気がつきました。けれどもそれがなぜなのかはコメントできませんでした。何人もの児童が、背景色を変える方法も教わりました。けれども背景色を変えたがった児童は1人だけでした。

コメント:

  • この児童は青い背景に、黄色い文章のマーキングがかかることを大変好みました。文字を大きくできることは大変良かったと思います。
  • テキストを拡大できるのは良いことですね。
  • こういう風に読書ができるのは楽しいです。
  • 児童がテキストについていくことができました。この児童の読書能力は録音速度1の方に対応していました。
  • 文章を読むことにはあまり興味が持てなかったようで、ほとんど聴くだけだったようです。
  • 4歳の女子が文字を大きくできることや文字に黄色いマーキングがつくことを気に入っていました。そうするとテキストを追っていくことができるからです。

教師達は、テキストを見ながらその大きさを変えられる選択肢は読書訓練にとって大変すばらしく、読書方法が進歩した一例であると評価しました。

  • 2年生のある男子は、始めに図書を聴いて内容を知ることによって、最後まで読んでみる気になりました。内容を知った上で、まず短い段落や文を聴き、その後でその部分を読み上げる方法を取ったのです。
  • 読書訓練に良いですね。
  • テキストの大きさを拡大できるのは良いことです。
  • こういう風に読書をするのは楽しいです。

マーキングのかかった文章

教師達は、29名の児童にとっては画面上でマーキングのかかったテキストは大きな助けになり、16名の児童にとってはある程度の助けになり、7名の児童にとっては助けにも邪魔にもならないと述べました。この結果から理解できるのは、全児童が文章についていけた訳ではなかったのは、読み上げが早すぎたことが原因なのです。もし速度を落とすことができたなら、もっと多くの教師が画面に出てくるマーキング付きの文章は児童達の助けになったと、述べたことでしょう。

  • 鮮明なマーキングのおかげで、文章を読むことが容易になりました。
  • もっと文字を「太字」にできたら、10歳の女子がもっと注意をそちらに向けていられたと思います。彼女には重度の注意欠陥障害があるのです。

児童達も教師達と同じような意見を述べました。

  • ぼくはどこを読んでいたかすぐに分からなくなってしまうので、マーキングがしてあることは、とても便利です。(10歳。男子)
  • とっても良い機能です。10歳のある男子が、聴くのと画面上の文章を追うのとを交互にしていました。
  • いつもどこを読んでいたかが分からなくなります。これはとても良いですね。

これらの録音図書は一段落をひとまとめにして、マーキングをかけるように製作されています。ほとんどの教師は、区切りが一文章毎である方が児童にとって眼で追いやすいと述べています。そこから考えると多くの教師は特に年少の児童にとっては、読書訓練のためには、一文毎にマーキングがかかった方が良いと考えているのです。

一行にマーキングがかかった再生画面

何人もの教師が、彼らが望めば文章毎に付けられるように、読み上げを少しづつ区切る選択肢をつけてほしいと希望を出しました。大抵の場合、文章のマーキングは段落全体に付くのです。

複数行にマーキングがかかった再生画面

画面上の挿絵

総計すると教師達は、挿絵は23名の児童に大きな助けになり、22名の児童にとってはある程度の助けになり、7名の児童にとっては助けにも邪魔にもならないと考えていました。画面上に挿絵がある方がいいかどうかは、図書やその内容にも多少はよるようです。挿絵の必要性は児童の年齢によっても左右されます。

挿絵が一番大きな意味を持っていると教師達が考えた図書は、『リネアが犬を見つけました』でした。この図書に関しては10名中6名の児童に対し挿絵が大きな意味を持ったと教師達が述べました。その他の図書に関しては挿絵が大きな意味を持っていたか、またはある程度の意味を持っていたか、比較的見解が分かれました。『郊外の子ども達』と『ベルマンはFAXを受け取りました』に関しては、挿絵がある程度の意味を持っていたという答えに軍配が上がりました。

以下はある児童のコメントです。

  • 挿絵を見た方がよく理解ができます。私は本の小さい文字を読むのがつらいので、文字を大きくできると楽に読むことができます。

『ベルマンはFAXを受け取りました』に関しても以下のようなコメントがあります。

  • 児童の一人はそれほど挿絵には強い興味を示しませんでした。彼は文章に合わせて挿絵を何度もスクロールしたり元に戻したりしましたから。
  • 挿絵が消えるのが早すぎて、児童が十分に見ることができませんでした。
  • 楽しい気分に満ちた挿絵でした。

『ブッレルの大騒ぎ』に関するコメント

  • 特別学校に通う13歳男子がグローベンの頂上にもみの木が立っている絵を見ていいました。「変なの!ぼくらは冬に傍を通ったことはないけれど、冬にはもみの木が立っているのかな」。家族の絵を見て、彼は本当に変な家族だと思ったようです。また挿絵が乱れたのを見ていらいらしていました。停止をするべきだったのでしょうか?彼はマウスを使ってスクロールアップして、挿絵のところまで戻しました。その後もう一度テキストに戻りました。
  • 彼女は挿絵を見て面白がっていました。彼女にとっては挿絵は文章を解読するためには必要ではありませんでしたが、挿絵がある方が容易に楽しく読むことができます。

『郊外の子ども達』の挿絵に関するコメント

  • 児童は63ページまで挿絵を見ることができませんでした。
  • 挿絵は前書きのように冒頭に来るべきだと思います。
  • 11歳の女子が、12歳の男子、11歳の2人の男子に読み始める前に挿絵を見せていました。
  • 挿絵があると内容が具体化して、わかりやすくなるようです。

図書の挿絵が画面に出てくることに対する児童の見解を示すグラフ

表5:図書の挿絵が画面に出てくることに対する児童の見解です。
画面上の挿絵の有無に対する児童の視点
挿絵のおかげで読みやすかった=9人
挿絵のおかげで文中で起こったことが理解しやすかった=『ブッレルス ブッレル』を読んだ児童と、『郊外の子ども達』を読んだ児童とではわずかながら差がある。
挿絵のおかげでより楽しく読めた= 『ベルマンは一枚のファックスを受け取った』を読んだ児童=8人 『リネアは犬を見つけました』を読んだ児童=7人

返答は読んだ図書ごとに大体均等に分かれました。9人の児童のみが挿絵があると、図書が読みやすくなると述べました。それに対してアンケートの答えでは『ブッレルの大騒ぎ』と『郊外の子ども達』に関しては違いはわずかで、多くの子ども達が絵があった方が内容が分かりやすいと述べていました。

察するに、絵を見た後の方が文に対する前知識を持つことができるのでしょう。何人かの児童は『郊外の子ども達』の映画から、抜き出してきた写真を知っていました。

再生ソフトAMISの問題点

ウィンドウズXPを搭載したラップトップコンピューターでは、全機において再生ソフトAMISを立ち上げると以下のようなメッセージが出てしまいました。

再生ソフトAMISを立ち上げると出てくるメッセージの画面

『D:\book2\ncc.tomlの図書を開くのに失敗しました。ウィンドウを閉じるためにEnterを押してください』

しかしOKを押すとプログラムが動き出すのです。少しこの図書を読んでからはこのメッセージは表示されないようです。

説明文を省略すると出てくるエラーメッセージ

『リネアが犬を見つけました』の図書に関しては、教師達は吹き込まれている前書きを割愛しようとしました。これらの図書には傍注がないので、教師達は図書の最初の行をクリックします。そうするとその行にマーキングがかかり、1クリックかスペースキーを押すことよって読み上げを始めようとします。そうすると以下のようなエラーメッセージが示されるのです。

説明文を省略すると出てくるの画面

『file:///D:/book1/13874_0003.smil#tx0040の文章を見つけることができませんでした。正しい検索方法を用いているか、ウェブアドレスを使用しているか確認してください』

Ctrl+右矢印キーで次のページに移ろうとしてもうまくいきませんでした。『次ページに行く』ボタンも機能しませんでした。移動はCtrl+Gまたはナビゲーションメニュー中の『次のページに移動』を選択するとうまくいきました。うまく図書を起動できた時にはショートコマンドとメニューボタンも使えました。

読み上げスピードを上げると出てくるエラーメッセージ

『リネアと巨大な牛』という図書に関しては読み上げ速度が2種類あります。遅い方の速度の録音を選んだ際に教師達は、読み上げ速度を上げようとしました。速度を上がったというマーキングも表示も出ませんでした。彼らは読み上げに何も違いを聞き取ることはできませんでした。何度か速度を上げる為にクリックすると、以下のようなエラーメッセージが出て、AMISが閉じてしまうのです。読み上げ速度を上げるわけにはいかないということが示されたわけです。

読み上げスピードを上げると出てくるエラーメッセージの画面

『AMIS (Adaptive Multimedia Imformation System)には何か問題が起こり、終了しなければなりませんでした。
もし何か作業中だった場合、その作業内容は失われた可能性があります。
この問題をMicrosoftに報告してください。
Microsoftに送るエラー報告が作成されました。弊社はこの報告を匿名の機密情報として扱います。
エラー報告に含まれるデータの参照  ここをクリックして下さい。
エラー検索             エラー報告を送信する 送信しない』

同様のエラーメッセージは『ムッレメックは車を作りました』という図書を読んだ時に速度を上げようとした時にも出てきました。

教師達はアンケートで再生ソフトAMISはうまく機能しましたかという質問にも答えました。このソフトは生徒達が録音図書を読んだ39件のテストではうまく機能しましたが、12件のテストでは小さな問題が起こりました。これらの問題の中には読んでいる最中に挿絵が移動してしまう、つまり児童が十分に挿絵を見て理解する間がなかったという報告も含まれます。教師達は、挿絵が映っている間は読み上げは止まっていた方が良いと意見を述べました。

教師の1名がAMISを使おうとした時には、大きな問題が起こりました。彼女が『リネアが犬を見つけました』のテキストを読み飛ばして進めようとした時、ソフトが完全に終了してしまったのです。そして図書を再び開くこともソフトを再起動させることもできませんでした。コンピューターも一度終了し、再起動させなければなりませんでした。そうするとソフトは、始めはうまく起動しました。図書の読み上げが始まり、『…頁に行く』の機能が使えました。

再生ソフトEasy Reader の問題点

私達がマルチメディアDAISY再生ソフトEasyReaderをインストールすると、Wordがコントロールできなくなって終了し、エラーメッセージが出てきました。Wordが「フォーマットパターンを変更しました」と示し、「フォーマットパターンを変更しますか」という問いかけに「はい」とクリックしないと、Wordを終了することができないのです。あるラップトップコンピューターでは、文章校正ソフトのStava RexとSpellRightが使えなくなりました。Officeプログラムを再インストールしたのですが、その時にWordの初期設定が変更されてしまい、文章校正ソフトのStava RexとSpellRightが使えなくなってしまったのです。これらのプログラムが使えなくなったので、ソフトメーカーのオリビ(Oribi)社と連絡を取りました。オリビ社の担当者の助けを得てWordの設定を変更することができ、再びstava RexとSpellRightを使うことができるようになりました。オリビ社の担当者は、EasyReaderは文章校正ソフトと一緒に使うと今回のようなエラーを起こすことがあると聞いていたそうです。

この他には、4台のラップトップコンピューターでエラーが発生しました。その内の一台は完全に再インストールをしなければならなくなってしまいました。

EasyReaderのウェブサイトwww.dolphinse.comでエラーの検索をした際、このような質問が見つかりました。

「EasyReaderをインストールした後、Microsoft Wordがクラッシュしてしまいました。原因は何でしょうか?」

その答えが以下です。
「あるシステムにおいてはオルフェウス(EasyReaderと共に送付される音声ソフト)とstava RexとSpellRightの組み合わせのせいでWordがクラッシュすることがあります。解決方法はオルフェウスをアンインストールすることです。またインストールプログラムを使う時に、カスタムインストールを選択し、前面にあるドルフィンオルフェウスTTSのウィンドウをチェックし、その後ガイドに従ってインストールを行うことで、オルフェウスを入れずにインストールすることができます。注意!「自動読み上げ」機能と「スクリーンリーダーによって資料を読む」機能を使うためには、必要な言語の、何か別のスクリーンリーダープログラムがコンピューターにインストールされていなければなりません。」

私達はこのことをプロジェクトの時まで知りませんでした。ですからこの対応も試したことはなかったのです。

IT課はEasyReaderのソフトをIT課から再生ソフトを用いる特別学校の教員や特殊教育専門家の持つ、その他のラップトップコンピューターに送信することによって、インストールしました。

技術者によれば、EasyReaderを「全てのユーザー」に対して上手くインストールできたということです。彼は、msiファイルがあるのも良いことで、そのために「静かなインストール」ができると述べました。「静かなインストール」とは、利用者のその他の業務を邪魔することなくこのソフトをそれぞれのコンピューターにインストールできるという意味だそうです。