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Panel Discussion

パネルディスカッション

●クーン・クリッカー (デディコン-オランダ)

テキスト 1

テキスト 1

皆さまこんにちは。今回ご招待いただきありがとうございます。デディコンにおりますクーン・クリッカーと申します。

特定のプロジェクトの話あるいは製品、サービスのお話ではなく、私のほうからはオランダでアクセシブルなサービスをどういう形で提供しているか、どういう製品を使っているか、どのような開発が今進んでいるか、サービスの進化について簡単に、そしてゆっくりとお話をしたいと思います。

テキスト 2

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まず簡単にオランダのご紹介をしたいと思います。図書館勤務されている、また教育・知識の深い方々はもうご存じだと思いますが、西ヨーロッパの小さな国、オランダはEUに加盟をしておりまして人口が1,600万人です。日本と同じようにオランダでも高齢化の問題、少子化の問題があります。これはある意味、私たちの事業にとっては機会でもあります。

インターネットで調べて知ったんですけれども、日本との緊密な友好関係が400年以上にもわたる歴史があるということです。1609年のものを見ました。朱印状と呼ばれるようですが、この朱印状を使うことによって日本との交易が許されるということを学びました。

オランダは26%の国土が海面下で、したがって半分以上が洪水の危険にさらされている国です。
DAISYが始まったそのときから加盟はしておりまして、今年はDAISY加盟15周年です。国の花はチューリップでデイジーではありません。

テキスト 3

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次にデディコンの使命ですが、当然ながら我々の使命は印刷物を読むことに障害がある人のために情報をアクセシブルにすることです。つまりさまざまな障害のある方々に対してサービスを提供したいと思っています。

しかし視覚障害者の方々に対してやってきた歴史が長いということで、政府の予算は視覚障害者のデータを基盤にしていることが多いということもあり、その他の障害に対する予算配分がまだ十分ではないということがあります。

そこで現在政府に対して予算を増やしてほしいあるいはEUのプロジェクトなど、他の資金源からの資金の調達なども考えています。私たちはたくさんの印刷物を準備します。新聞や雑誌、本、さらには教材なども作っています。後でもう少しこの点をご説明します。

テキスト 4

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テキスト 5

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デディコンは大きく二つの部門に分かれています。一つが図書館サービスという部門です。そしてもう一つ、学校部門ということで教育用の教材を作っています。

図書館サービスということで、オランダの3万人を超える印刷物を読むことに障害がある人々のためにサービスを提供しています。国からのサービスがあり、電話やインターネットでそうした人々のための本を注文してもらうことができるようになっています。

我々の製品の中には、もちろん点字も入ります。
長い歴史があり私たちにとっても誇りです。それから大活字や音声DAISY、そして今、マルチメディアDAISYでの試みをやっておりますけれども、まだマルチメディアのほうはそうたくさんは製作しておりません。

テキスト 6

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1年半前からは特別な予算を政府からもらっております。これは3年分の予算なんですが、マルチメディアの本を他のフォーマットで作るというものに関するプロジェクトの予算です。「KES(ケス)」と呼んでいます。これは教育制度のための一つのテキストフォーマットです。テキストのハイライト付き、そして絵も付いている、読み上げの同期化されたシステムです。

テキスト 7

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テキスト 8

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DAISYのオンライン配信プロジェクトも完了しています。私たちはアクセシブルな、またユーザーフレンドリーなカタログを用意して、どういうものが入っているかなどを示しています。

そしてフロントオフィスの登録を済ませている方は、このカタログを見ることができます。そしてタイトルなどを見ていただくことができます。オーディオブックである場合にはプレビューをすることもできます。少し聞くことができるんです。1分、2分のプレビューがあります。タイトルから選べます。この本が気に入っているか、あるいは音声が気に入っているかという確認もできます。音声も重要です。

それからストリーミング環境も準備しています。
ストリーミングに関しましては著作権法、現状オランダではダウンロードが認められません。将来的には恐らくうまくいくだろうとは思っていますが、現在はできません。このストリーミングを仮に使うことによって、現在オンラインで、コンピュータを持っていればストリーミングでタイトルを取ることができます。あるいは将来的には今年の後半ですけれども、オンラインのDAISYプレーヤーも使うことができます。

1万2,000のタイトルがストリーミング可能となっています。カタログはこちらです。デジタルカタログと言えるかと思います。つまりデジタル向けに構成されています。あと半年後にはアナログのほうの古い、今までのものも入れようと考えています。まだ漫画は出ていませんが、将来的にはやりたいと思っています。

テキスト 9

テキスト 9

Webサーバで、オンラインサーバを見ていただこうと思います。またスピードもちょっと遅いかもしれません。オランダは今早朝なので、コンピュータはまだベッドで寝ているのかもしれません。これはジョークですが(笑)。

ナショナル・フロントオフィスという、ここを介して登録をしてサービスをするためのホームページです。そして次にカタログをここから見ます。オランダ語で「ブッカシャンプ」と書いています。これは本棚という意味なんですが、本棚のところを開きますと本が出てきます。

今オンラインで読んでいる本が出てきます。30冊ぐらいまで本棚に入れることができて、30冊以上は超えられないようになっています。1冊を開きますと、今までに読んだところから続きを読むことができるようになっています。

今本棚を開きます。ここでは8冊のタイトルが本棚に入っています。英語のタイトルを選びましょう。「ブリジット・ジョーンズの日記」です。これを開きます。このサービスの特徴ですが、埋め込まれたDAISYプレーヤーがあります。ストリーミングと一緒にDAISYプレーヤーが付いてきますので、別のプレーヤーをパソコンから立ち上げなくてもいいわけです。DAISYプレーヤーが、このストリームされるタイトルについています。これは我々の研究開発部門が作りました。インタフェースはとってもシンプルになっています。DAISYプレーヤーのボタンと同じようなボタンをここに出しています。ちょっと音が出るかやってみましょう。まだタイトル、ストリーミングを開いてなくて入ってないようですね。

「ブリジット・ジョーンズの日記」、このように入ってきました。「Play(プレイ)」を押します。
これはオランダ語になっています。

著作権法の規制によって、まず冒頭に、このような部分を入れなきゃいけないようになっています。出版社に対しての謝辞が入ってきます。少しオランダ語よりスピードが速くなっています。
もちろんスピードを速くしたりゆっくりしたりすることができますし、DAISYと同じナビゲーションをここでやることもできます。これ以上ちょっと時間をかけないようにしたいと思いますが、これも非常に好評です。イギリスで賞も取りました。

では次に教育サービス活動についてご紹介します。違う省庁の管轄・予算で展開している活動です。いずれにしても政府の資金であることには変わりはありませんが、視覚障害者である生徒たちに本を配布しています。教材です。

年齢は4歳から教育を自ら終了すると決めた年齢までとなっています。現在アクティブなユーザーが8,000人以上います。そのうちの約90%が視覚障害以外の障害を持っていますが、ほとんどがディスレクシアの障害です。

昨年2010年度、9万以上のCDの配布を行いました。主にDAISYのオーディオブックでもありますが、電子ファイルも入っています。マイクロソフトのWordファイルを使っています。出版社とも密に協力をしています。紳士協定を出版社協会と結んでいます。オランダでは、アクセシブルなコピーを教育サービスとして作ることが出版社への許諾あるいは通知なしにできることになっています。また盲学校とも密接に協力をしています。これは特別学校あるいは通常の学校いずれにおいても視覚障害者が教育を受けているところと密に協力をしています。

毎年1,500の新しいDAISY教科書を製作しています。予算を考え、初等中等教育を中心にしています。生徒からいろいろなリクエストがあった場合、例えば視覚障害の人からの要請があって、まずそれに対応すると、今度はディスレクシアの人は視覚障害がある人のリクエストが終わるまで待たなければいけないという先例ができてしまいます。もちろんそういうことは避けたいわけですが、先ほど配布の仕方、配信の仕方、そしてWebサイトのことを説明しましたが、しかし現実的にはすべての要請を賄うだけの支援、できる資金はないわけです。

テキスト 10

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今度どういう成果というと、皆さんもよくご存じだと思いますけれども、教室でもいろいろな変化があります。かつては印刷物である教科書であったものがどんどん姿を消しています。代わりに電子媒体がどんどん教室に増えています。電子黒板であるとか、教材が電子媒体で配信されるということもどんどん増えています。こうした現実は課題でチャレンジでもあり、また印刷物を読むことに障害がある人にとっては課題でもあります。視覚障害があればスクリーンは見えないのです。一方、出版社は教材の製作の仕方を変えてきています。したがってその機会をとらえて話ができるというのは一つのチャンスです。印刷物を読むことに障害がある人たちがいるということ、そして出版社に説明ができます。新しいカリキュラムを作る、そして電子媒体を使われるのであれば、例えばこれはこういうふうにしていただいたらいいですよとか、こうすればアクセシビリティが上がりますよと説明できます。こういう機会をとらえて出版社とも話をするというチャンスでもあるわけです。

例えば、教材の出版会社で実例なんですけれども、向こうから資金をもらってマルチメディアの製作を我々がやったことがあります。時間があったらお見せできるのですが、ちょっと時間がないかもしれません。いずれにしても、我々がDAISYを示したんですけれども、十分に向こうにDAISYを知っている人が少なかったということ、埋め込まれたようなテクノロジーを我々は使いました。そしてこれをどうやって発信していくかということで協力をしていきました。

デディコンでは、こうしたいろんな状況に対応するようにしています。予算は限られてはいますけれども出版社とも協力をしています。3年間分の予算をもらっていて、Kurzweil(クール・ツー・ウエイル)というフォーマットで作っています。そしていろいろなこともできています。そういうところではある程度満足しています。また、オンライン配信やストリーミングもやっています。
さらに出版社から求められている、権利保護の仕方がうまくできた場合にダウンロードもしたいと思っています。

クーン・クリッカー

テキスト 11

テキスト 11

さらに政治でのロビー活動もやっています。ロビー活動ってあまり好きな言葉ではないんですけれども、政治家との対話です。つまり聞いてください、こういう人がいるんですよ、例えば政府が何か発表しても、あるいはマニフェストを出しても読めない人がいるんですよ、そして皆さんが読んでほしいと思う教科書が読めない人がいるんですよ、ということで意識向上をするということもやっています。そうすることによってお財布をもう少し紐を緩めてもらいたいと考えているわけです。

これはハイブリット図書です。時間があればですが、時間がなかったらまた後でということです。
発表の場をいただきましてありがとうございました。またパネルでお話ししたいと思います。