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優れた実践例

アクセシブルなウェブサイトの作成、開発および/または発注に関する豊富なアドバイスとガイダンスは、関連する障害者法(たとえばイギリスの障害者差別禁止法、および特別な教育的ニーズ・障害法、障害のあるアメリカ人法(ADA)、およびオーストラリア障害者差別禁止法など)とあいまって、ウェブサイトのアクセシビリティとユーザビリティを大きく改善することになった。

多くの優れた実践例を認めることができる。以下に挙げるのは、ウェブサイトとウェブベースのリソースのアクセシビリティを確保するために実施された優れた活動の、ほんの一部である。

イギリス ケンブリッジ大学 地球科学図書館(The Earth Sciences Library at the University of Cambridge, UK) (http://rock.esc.cam.ac.uk/new/v10/new_library/August/index/home.html)では、非常に限られた予算の中でウェブサイトを再設計できる方法を、実例をあげて紹介している。同図書館の目的は、サイトを広範囲にわたり、利用者にとって一層アクセシブルにすることであった。ユーザー調査と職員研修の後に、新たなウェブサイトが設計された。Lynxテキストブラウザを含むさまざまなブラウザでウェブサイトにアクセスできるように、アクセシビリティやプラットフォームの適合性を確保するために、ウェブ標準を使用してアクセシビリティがデザインに組み込まれた。言語もまた重要な課題と見なされ、技術用語や「図書館司書用語」は最小限に抑えられた。また、たとえばコントラストの高低を調整しながらページにアクセスできるように、利用者がニーズに応じて表示を変えることができるカスケーディングスタイルシート(CSS)も使用された。

アメリカ合衆国のノースカロライナ大学シャーロッテ校J. マレー・アトキンズ図書館(The J. Murrey Atkins Library at UNC Charlotte, USA)(http://library.uncc.edu/)では、最新のウェブサイトを再設計する際にアクセシビリティ改革を実施した。最大の変化は、利用者がフォントスタイルと色を自分で指定することができるようにCSSを多用したことであった。今では利用者は、さまざまなフォントサイズと色を利用することができ、それらをクッキーに保存し、そのページに戻ったときにアクティブにすることができる。言語もまた、ウェブサイトを一層インクルーシブにするために取り組みが進められているもう一つの分野である。「利用者によいスタートを切ってもらう」ために、ホームページを多言語に翻訳するプロジェクトが現在進行中である。これは今後、ウェブサイトの別の部分へと拡大されていく可能性がある。また、JAWSという支援技術を利用してウェブサイトの検証が行われてきたが、これによってウェブデザイナーは、画面読み上げソフトがどのように利用者にページを読み上げているかを一層深く理解することができ、さらにタイトルタグの問題が浮き彫りになった。すべてのタイトルページが、たとえば「J.マレー・アトキンズ図書館-ページタイトル」というように、J.マレー・アトキンズで始まっていたのである。JAWSを聞くことで、たとえば、「ホームページ-J.マレー・アトキンズ…」のように、閲覧しているページのタイトルを最初に読み上げ、それから図書館名を読み上げる方が、J.マレー・アトキンズのウェブサイトのどの部分を閲覧しているかが利用者にすぐにわかるため、より有用であることが明らかになった。

アメリカ合衆国のデュページカレッジ図書館(The College DuPage Library, USA)(www.cod.edu/library/)は、支援技術を利用している人々だけでなく、ノートパソコンなどの機器を使用している人々にとっても、ページが一層アクセシブルであるようにするため、つまり、すべての人に対し真にアクセスを拡大するために、ユーザーテストを実施し、支援技術を試験的に利用した。今後同カレッジでは、情報システムメーカーと協力し、インターフェースをよりアクセシブルにすることを促進していく。これによって、カレッジが提供する外部のリソースについても、カレッジが作成するページと同様に、確実にアクセシブルにしていくことができるであろう。同カレッジは、アクセシビリティに対する認識を高めるコンテンツの作成をさらに増やしていくことを計画している。たとえば、適切なアクセシビリティツールと技術を提示する指導書の作成があげられる。アクセシビリティ作業部会および会議への参加もまた、アクセシビリティ問題に共同で取り組み、アクセシビリティの実践により多くの人々の参加を得るための、有効な手段と考えられる。

オーストラリアのディーキン大学(Deakin University, Australia)では、ウェブサイト上にアクセシビリティセクション(www.deakin.edu.au/dwm/accessibility/index.php)を設け、アクセシビリティガイドライン、評価方法、そして「ディーキンが解決すべき12の優先課題(Deakin’s top 12 issues to fix)」へのリンクを張っている。ディーキン大学の職員も、アクセシビリティ作業部会に参加している。電子アクセシビリティ作業部会は、2か月毎に会合を持ち、ウェブサイト上のアクセシビリティに関する課題を明らかにし、議論し、そして「できれば解決したいと願って」いる。作業部会の目的は、障害学生を支援している教授陣や、教材のインタラクティブな使用に関する課題に直面している教授陣をサポートすることである。これにより、キャンパス内外における大学のオンライン指導と学習環境が強化されるであろう。

最後に、このIFLA会議に直接関係のあることであるが、IFLAは活動とサービスを一層促進するため、ウェブサイトの再設計プロジェクトに着手した。プロジェクトの進行に伴い、IFLAのメンバーによる作業部会が設立されたが、作業部会は今後、このプロセス全体に関わっていくことになるであろう。そして、アクセシビリティおよびユーザビリティのためのデザインが確実に守られるよう、またIFLAのウェブサイトが、サイトを訪れる会員・非会員両方のさまざまなニーズと要件に合わせて設計されるよう、特定のセクション/ディスカッショングループ/コアアクティビティのウェブサイトに関わるニーズについての情報とフィードバックを提供していくであろう。