例G:フローチャート
1.基本的なフローチャート
ガイドライン:
- フローチャートは情報を提示する一般的な方法で、解説が最も難しい画像の1つである。
- シンプルなフローチャートは、入れ子のリストへ変換するとよい。「ボックス」を数字で示し、次に考えられる流れを箇条書きで提示する。
- 人によっては、触れて読むフローチャートと解説を組み合わせることで、理解が容易になる。
- チャートの視覚的属性、たとえば黄色いボックス、曲線状の矢印などは、これらの属性に言及した試験問題のような明確なニーズがある場合を除き、解説する必要はない。
記述:
図は、名前がつけられた8つのボックスが、矢印によって結ばれているフローチャートである。
チャートは多方向へ伸びている。各段階で、矢印が次の1個または2個以上のボックスを指し示しており、同時にその前のボックスに戻る矢印もつけられている。
ここでは、フローチャートをリストにして説明し、予想される次の流れを、各ボックスの名称の下に列挙している。
- 1. 規範
- a. テーマに向かう
- 2. テーマ
- a. 規範に戻る
- b. 目標/目的に向かう
- 3. 目標/目的
- a. テーマに戻る
- b. 能力の評価に向かう
- 4. 能力の評価(対人能力・解釈能力・プレゼンテーション能力)
- a. 目標/目的に戻る
- b. 構造/機能に向かう
- c. 語彙に向かう
- d. リソースに向かう
- 5. 構造/機能
- a. 能力の評価に戻る
- b. 語彙と横につながる
- c. 指導戦略に向かう
- 6. 語彙
- a. 能力の評価に戻る
- b. 構造/機能と横につながる
- c. リソースと横につながる
- d. 指導戦略に向かう
- 7. リソース
- a. 能力の評価に戻る
- b. 語彙と横につながる
- c. 指導戦略に向かう
- 8. 指導戦略
- a. 構造/機能に戻る
- b. 語彙に戻る
- c. リソースに戻る
2.複数のスタートポイントがあるフローチャート
ガイドライン:
- 視覚に訴えることで、フローチャートは複雑な関係をほとんど一瞬で伝えることができる。この例では、メインのプロセスが3種類の方法で開始できること、そして緊密な関係はあるが、直接には結び付いていないプロセスが2種類あることが、すぐに見てとれる。
- 概要から始め、複数のスタートポイントや追加リストの有無などを含む、画像の個々の要素を説明していく。
- フローチャートの各セクションについて、入れ子のリストを組織化の手段として利用しつつ、直線的に解説する。
- 触れて読むフローチャートと組み合わせた解説で、アクセスの向上をはかることができる。
- チャートの視覚的属性、たとえば、黄色いボックス、曲線状の矢印などは、これらの属性に言及した試験問題のような明確なニーズがある場合を除き、解説する必要はない。
- 異なるラインが合流しているときには、それを明記してもよい。
http://ncam.wgbh.org/publications/stemdx/multiflowchart2.html
記述:
図は、大きなフローチャートが1つと、小さなフローチャートが1つ、そしてリストから構成されている。ここでは、フローチャートをリストとして表示する。
大きなフローチャート
大きなフローチャートには3つの異なるスタートポイントがあり、ここではそれらを別々のリストにして、各段階に番号をつけて提示する。ある段階の次に考えられる段階が2つ以上ある場合、それらを番号の下に列挙している。
スタートポイントA
- AN12菌株の入手
- ゲノムDNAの準備
- PCRによるORFの増殖
- pCR2、1-TOPOに連結
- pJP10に連結
- 確認およびクローンのシークエンス解析
- AN12への形質転換
- AN12への形質転換
- 確認およびクローンのシークエンス解析
- IPTG添加培養および非添加培養
- IPTG添加培養および非添加培養
- カロチノイド蓄積量の測定
スタートポイントB
- 候補遺伝子のシークエンスの入手
- 対象遺伝子(ORF)の増殖のためのプライマーの設計
- PCRによるORFの増殖
- pCR2、1-TOPOに連結
- pJP10に連結
- 確認およびクローンのシークエンス解析
- AN12への形質転換
- AN12への形質転換
- 確認およびクローンのシークエンス解析
- IPTG添加培養および非添加培養
- IPTG添加培養および非添加培養
- カロチノイド蓄積量の測定
スタートポイントC
- Maxiprep pJP10の入手
- pJP10に連結
- AN12への形質転換
- AN12への形質転換
- 確認およびクローンのシークエンス解析
- IPTG添加培養および非添加培養
- IPTG添加培養および非添加培養
- カロチノイド蓄積量の測定
小さいフローチャート
小さいフローチャートには、3つの段階がある。 trcプロモーターのIPTGに対する反応性の検証
- AN12(pJP11)の入手
- IPTG添加培養および非添加培養
- lacZ活性の測定
リスト
候補遺伝子
- デオキシキシルロースリン酸シンターゼ(dxs)
- リコピンシクラーゼ(lyc)
- ベータカロチンケトラーゼ(crtO)
- ベータカロチンデヒドロゲナーゼ(crtl)
- ゲラニルゲラニルリン酸シンターゼ(crtE)
3.複雑な経路があるフローチャート
ガイドライン:
- 最初、このフローチャートは解説不可能だと思われるかもしれない。視覚的にも、それが描いているプロセスはすぐには明らかにならず、かなり複雑に見える。
- フローチャートを1つの直線的なリストに変換し、各ボックスあるいは項目の次に考えられる段階を、リストの下に入れ子にする。
- 触れて読むチャートがあれば、アクセシビリティーが向上するであろう。
記述:
図は、7段階の行動を示したフローチャートである。3種類の線が行動段階の間のさまざまな流れを示している。
線には、予想される流れ、まったく問題のない予想外の流れ、問題となる予想外の流れという名前がつけられている。
ここでは、フローチャートを入れ子のリストにして解説し、各行動段階の下に、次に考えられる流れを列挙する。
- 1. 目標の設定
- ・ 予想される流れが意思の形成へ向かう
- 2. 意思の形成
- ・ 予想される流れが行動の特定へ向かう
- 3. 行動の特定
- 予想される流れが行動の実行へ向かう
- 4. 行動の実行
- ・ 予想される流れがシステムの状態の認知へ向かう
- ・まったく問題のない予想外の流れが行動の実行へ向かう
- ・ まったく問題のない予想外の流れが行動の特定へ向かう
- 5. システムの状態の認知
- ・ 予想される流れがシステムの状態の解釈へ向かう
- ・ 問題となる予想外の流れがシステムの状態の認知へ向かう
- ・ 問題となる予想外の流れが行動の実行へ向かう
- 6. システムの状態の解釈
- ・ 予想される流れが成果の評価に向かう
- ・問題となる予想外の流れがシステムの状態の解釈へ向かう
- ・まったく問題のない予想外の流れが行動の実行へ向かう
- ・まったく問題のない予想外の流れが行動の特定へ向かう
- 7. 成果の評価
- ・意思は維持されているが、新たな行動が必要な場合、予想される流れが行動の特定へ向かう
- ・新たな意思が必要な場合、予想される流れが意思の形成へ向かう。
4.フローチャートによるプロセス図
ガイドライン:
- この図はプロセスを示している。これをアクセシブルにする方法の1つは、フローチャートに対するアドバイスと同じく、各段階をリストにして並べることである。
- ここでも、図自体がカラフルで視覚的に興味深いが、データ以上の追加情報は提供していない。
記述:
クレブス回路が図示されており、線形反応が下へ伸びて循環反応につながっている。ここでは、反応の段階をリストにして提示する。
- 1. 線形反応
- ・ 3炭素化合物のピルビン酸
- ・ 炭素分子1個がCO2の一部として失われる。
- ・ 1個のNAD+分子が反応に加わり、その後NADHとして離れる。
- ・ 1個の2炭素アセチル基が残る。
- ・ 補酵素AまたはCoAが、2炭素アセチル基と結合し、アセチルCoAとなる。
- ・ CoAが反応から離れ、同時に循環反応にアセチル基を届ける。
- 2. 循環反応
- ・ 2炭素アセチル基が4炭素化合物と結合し、6炭素化合物のクエン酸となる。
- ・ 1個の炭素分子がCO2として失われる。
- ・ NAD+分子が加わり、その後NADHとして離れる。
- ・ 1個の5炭素化合物が残る。
- ・ 別の炭素がCO2として失われる。
- ・ NAD+分子が加わり、その後NADHとして離れる。
- ・ ADPが加わり、ATPとして離れる。
- ・ 1個の4炭素化合物が残る。
- ・ FADが加わり、FADH2として離れる。
- ・ NAD+分子が加わり、その後NADHとして離れる。
- ・ 再び循環反応の頂点に戻る。線形反応から来た2炭素アセチル基が加わり、回路の最初の6炭素のクエン酸となる。