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数式

デジタル録音図書(DTB)では、MathMLによって数式を表示し、各ユーザーが幅広いスピーチオプションを提供する読み上げシステムを利用するのが最善のソルーションである。視覚障害がある専門家や学生、そして目が見える専門家や学生を対象として実施されるすべての試験では、音声により数式を表現するソルーションは、結局のところ、個人の読みのスタイルと、教育現場における教授法および学生の学習スタイルの、両方に適したさまざまなスタイルの提供という問題に行きつくことになる。数式の音声表現では、いかなる単独のスタイルあるいは方法も、すべての状況に対応することはできない。このため、MathMLあるいは(読者によっては)LaTeXを使用して数式を一義的な形で表示し、それをさらにさまざまなスタイルの音声へと変換できるようにすることが、好ましい方法であろう。

MathMLによって表示される数式

MathMLは、執筆者による数式の一義的な表示を可能にする、標準化されたマークアップ言語である。MathMLは、簡単なテキストエディタや、デザインサイエンス社(Design Science)のMath Type (http://www.dessci.com/en/)(英語)など、数学的表記をMathMLに翻訳する特別な数式エディタを使って手書きすることができる。しかし、MathMLは数式を音声に変換する方法を提供するものではない。MathMLを英語(あるいはその他の言語)の音声に変換するのは、MathML読み上げソフトやDTB読み上げソフトの仕事である。

何よりも望ましいのは、ユーザーがどのように数式を伝えてほしいかを決められるようになることである。簡単な例をあげると、読者の中には、たとえば「2 掛ける括弧3Yプラス4Z括弧閉じる」のように、わかりやすい言葉で数式を伝えてもらいたいと考える者もいるかもしれない。しかし、もっと経験豊富な読者は、さらに素早く数式を読み進めるために、「parenthesis(括弧)」のようなよく使われる表現は、短く「paren」にするなど、省略した表現を望むであろう。

教育現場で考慮が必要なもう1つの要素として、数式が提示される教育的背景があげられる。たとえば、数学的表記の理解をテストするために、教師は学生に「X二乗」ではなく「X上書きの2」という表現を聞いてほしいと考えるかもしれない。

最後に、MathMLを英語の音声に変換する最も適切な方法の選択は、そのテーマに関するユーザーの知識、そしてユーザーが、Nemethコード、LaTeX、あるいはその他の数学言語を楽に使えるかどうかに影響される。

Nemethコード

Nemethコードは、数式を点字に翻訳するための一義的な言語である。Nemethコードは長年使用されており、数式を点字で表示するための最も信頼できる手段であるとして、ユーザーから高く評価されている。

gh社のMathSpeak (http://www.gh-mathspeak.com/)は、MathMLを音声によるNemethコードに変えて表示し、数式の音声表現のための多数のショートカットを提供する。実際、MathSpeakによりユーザーは、すべての単語の完全な音声化による表現から、早口で省略した表現まで、単語数が異なる数段階の方法を使用して数式を読むことができる。しかし、MathSpeakを使用するにはNemethコードを学ぶ必要があり、Nemethコードでは「begin-begin fraction(訳注:複雑な分数の始まりを示す表現)のような基本的な構造でさえも、初心者を困惑させる可能性がある。

LaTeX

数式はまた、オープンソースの写植プログラムであるLaTeXで表示することもできる。LaTeXによる数式は、通常点字ディスプレイに転送されたり、あるいはDuxbury (http://www.duxburysystems.com/)などの点訳ソフトを通じて点字に翻訳されたりする。LaTeXをそのまま読む人もいるが、これは数学者やその他のSTEM関係の専門家に限られるようである。

音声による数式の読み上げ

MathMLが使用されず、かつ数式の読み上げが必要な場合、読者が数式を明確かつ一義的な方法で読み上げることができる、そのテーマの専門家であれば、最もうまくいく。広く使用されている資料の1つに、『ラリーのスピーク・イージー:数式の音声表現ハンドブック(Larry’s Speakeasy, Handbook for Spoken Mathematics)』がある。Nemethコードと同様に、『ラリーのスピーク・イージー(Larry’s Speakeasy)』は、数式を一義的な方法で読み上げるシステムを提供する。これは優れたガイドブックであるが、総合的ではない。その他の数学に関する資料を見る。
http://ncam.wgbh.org/publications/stemdx/resources.html#dxresource(英語)