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平成19年度 第93回 全国図書館大会 東京大会
第12分科会

マルチメディアDAISYの可能性

野村 美佐子(日本障害者リハビリテーション協会情報センター次長)

読むことができないという困難さは、外からはわからないので、図書館に行ってもなかなか理解してもらえないのが現状だと思います。

本が読みたいのに読めない、理解ができない子(人)に対して図書館は何ができるのでしょうか?

神山先生が言われる読みの作戦を可能にする方法としてマルチメディアDAISYを、ご紹介したいと思います。

DAISYは、最初は視覚障害者のためのデジタル録音図書の規格として開発されましたが、現在は様々な障害を対象とした支援ツールを支える国際標準規格としてDAISYコンソーシアムが開発し維持しています。(www.daisy.org

マルチメディアDAISYのプレゼンをみていただければわかると思いますが、音声とテキストと画像が同期することでディスレクシアなど読みの障害を持つ人が理解しやすくなっています。

またディスレクシアにもいろいろなタイプがありますが、DAISYはそれぞれの人のニーズに合わせる柔軟性も備えているので、ニーズにきめ細かく応える書物の提供が可能です。

DAISYを利用することで、読むことに興味がなく、読む力がなかった生徒が本を読むことを楽しんでいるという成果も伝わってきています。

昨年の12月に国連の総会において、障害者の権利条約が採択されました。この条約は、まだ日本は批准していませんが、すべての人が平等に情報をアクセスするためのreasonable accommodation(合理的配慮)を保障しています。この条約により、ディスレクシアなど読みの障害を持つ人たちへの必要な配慮としてDAISY版の教科書や図書が普及していくことが期待されます。

DASYの詳細については、以下のウェブサイトをご参照ください。
http://www.dinf.ne.jp/doc/daisy/

この記事は日本図書館協会発行「平成19年度 第93回 全国図書館大会 東京大会要綱」より 転載させていただきました。