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スウェーデンにおける印刷字を読むことに障害のある人々への図書館サービス-ディスレクシアとDAISYを中心に-

イェーテボリィ(Göteborg)にできたDAISYの溜まり場

文:マリア・キムベリィ(Maria Kimberg)

イェーテボリィの市民図書館にDAISYの溜まり場ができました。来てなんでも質問しましょう!

「とてもすばらしいサービスですね。今日一日でこれほど多くの事を学べたなんて」81歳の録音図書利用者、レンナルト・ブローマン(Lennart Broman)は言った。

灰色に曇った1月の月曜日の、イェーテボリィにある市民図書館。クリスマス休暇が終わって、業務が始まってから第2週目だ。学校及びその他の社会には、再び真面目に全力疾走を始める前の、助走のような雰囲気が漂っている。けれどもイェータプラッツセン(Götaplatsen)の傍の録音図書課だけは、もう先週から全速力で走り出している。

先週から、これから毎週月曜の午後続けていくことになる『DAISYの溜まり場』が始まっているのだ。

「まだそれほど市場への広報をしていないにも拘らず、こんなに多くの人々が来てくれました。」市民図書館の読み書き技術指導者のエルヤン・ペッテルソン(Örjan Petersson)は述べた。

全てに答える

この溜まり場のアイデアの後ろにあるのは、録音図書利用者がデイジーの扱いに関する全てについて、簡単にアドバイスをもらえるようにするという目的だ。時間を予約する手間を省いて人々が気軽に来て、DAISYプレイヤー、メモリーカード、mp3プレイヤーやその他判らない事柄について教えてもらえる。その場には技術者、図書館司書、それに助手がいる。

「このような種類のアドバイスには時間がかかります。ですから複数の人員が控えているのです。これは私達が人々に彼ら自身のmp3プレイヤーの使い方を逐一教えるということではありません。しかしできるかぎりの支援をして、デイジーの技術をどのように利用するのか、ということにつなげていくのです。」エルヤン・ペッテルソンは述べた。

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松葉杖を引きずりながら、エヴァ・ワッルマルク(Eva Wallmark)がインフォーメーションデスクの前にやってきた。彼女はこれから腰の手術を受け、2ヶ月以内には回復期に入る予定である。今彼女は、録音図書プレイヤーを探し求めている。

「最初はすぐにmp3プレイヤーを買うつもりでしたが、まずここで、どのように決めるべきか確認しようと思いついたのです。」エヴァは言った。

エヴァは以前にも録音図書を聴いていたことがある。何年か前に脳卒中を起こした時に、彼女はカセットプレイヤーで録音図書を利用したのだ。

エヴァとエルヤンはデイジーとmp3の違いについて話し始め、まもなくレンナルト・ブローマンがそこに加わった。彼もこのような機器の研究が進むことに興味を持っている。81歳のレンナルトは視覚障害があり、録音図書を自分のデイジープレイヤーで読んでいるのだ。彼は散歩に持っていけるような小さめのハンディプレイヤーを求めている。

エヴァもレンナルトも、それにはメモリーカード付きの小さなDAISYプレイヤー『マイルストーン(Milestone)』が良いのではないかと言った。

直接プレイヤーに

デイジーとmp3の違いについて調べるのはそれほど容易ではない。エヴァもレンナルトも、録音図書の取り扱いに関する法規は複雑だと感じている。図書館はメモリーカードとプレイヤーを貸してくれるが、利用者が自分のmp3プレイヤーにその録音図書を保存することはできない。二人は、それをおかしいと感じている。エルヤンは図書館と利用者の権利の違いについて説明し、その後二人は少し納得できた様子だった。

会話の後、エヴァがその館に現在一台だけあるマイルストーンプレイヤーを直接借りられる番となった。エヴァは貸し出しを望む5冊の録音図書を書類に記入し、それがダウンロードされ、プレイヤーに保存された。彼女は満足げに『共にいるなら、寂しさは薄れる(Tillsammans är man mindre ensam)』と『愚か者の言い訳(En dåres försvarstal)』が入っているDAISYプレイヤーを抱えて帰途に着いた。

「私の回復期はこれで救われたわ。今度はこのプレイヤーを試してみて、後で自分自身で何を購入するかを考えます。」

この日に満足

現在プレイヤーは全て貸し出されてしまっていて、その貸し出し期間は4週間である。そのためレンナルトは予約待ちをしなければならない。

「私はここで大変良いサービスを受けてきましたし、自然の中に持っていけるような小さなプレイヤーを借りることを心待ちにしています。また私が興味を持っている天文学の本をどうやってパソコンで探したらいいのか、良いアドバイスを受けました。ここに今日来たのは大正解でしたよ。」レンナルトは言葉を締めくくった。

『みんなの図書館』, スウェーデン国立録音点字図書館(TPB)発行, 2008年第1号, p.5より翻訳