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スウェーデンにおける印刷字を読むことに障害のある人々への図書館サービス-ディスレクシアとDAISYを中心に-

テープ録音からDAISYへ

スウェーデンディスレクシア協会(FMLS)発行
新聞『読み書き』付録
新聞『聴いて!』p.10

視覚障害者全国協会(SRF)の主導で60年代に文学をテープに吹き込むことが始まった。80年代にスウェーデン国立録音点字図書館(TPB)が設立された。今日では約80,000タイトルが録音されている。同図書館は純文学とノンフィクションを録音しているが、各教材はしていない。

大学プロジェクト

80年代~90年代への変わり目に、TPBはあるプロジェクトを始めた。その目的は、機能障害を持つ人々向けに大学の教材を吹き込んでみることであった。焦点となっていたのは全盲の人と(弱視を含む)視覚障害者だった。このプロジェクトは大成功で、その先も継続されることになった。今日では1,200人の大学生がこのサービスを利用している。その内の1,000人はディスレクシアである。サービスを利用した学生達は、これがどれほどすばらしい価値があるかを証言する。しかし矛盾しているのは、この可能性を得るのに、彼らは大学生になるまで待たなくてはならないということだ。

小学校の教科書

90年代初頭、幾つかの公共機関や団体がTPBは小中学校、高校の教科書や成人教育用の教科書をも録音する義務を負うべきだという提案を出した。

議会はその必要性を承認したが、しかしあまりにも多くの生徒達が対象となるので、出版社は商業ベースで行うべきだという見解を示した。

小規模の試みが学校教育庁の支援で行われた。これにより、参加した生徒は誰もが録音を聞くことで大きな助けを得るが、彼らにとってテープを巻き戻しや早送りで正しい場所にあわせることは困難であるという見解が示された。出版社はその試み以降の吹き込みは行わなかった。それに対し、特殊な出版を行う「録音サービス社」は様々な図書の吹き込みを専門に行ってきた。しかしその発行部数は少なく、それらの図書は値段が高かったため各自治体は、必要とされている程には購入をしなかった。正しい支援があれば勉学を続けられたはずの多くの生徒達が、大学入学の前に振り落とされてしまった。また高校就学の前に落とされてしまった生徒達も多く存在した。

DAISY

今日TPBはテープにはもう録音していない。完全に新たな技術のDAISYフォーマットに移行しているのだ。これならば書中の正しい場所を素早く見つけるのにも何の問題もない。ほとんどのTPBの録音は音声のみで文章は入れていない。この境界線が出版社と作者が持つ文章の著作権に触れる為であり、教科書は作成した出版社が録音を行うべきだという議会の決定に関係する為でもある。

出版社は、全ての図書のCDを作成することができる。このCDを必要とする人々に使用してもらうためである。この方法により一冊ずつの値段を大幅に下げることができる。出版社は今日この方法に前向きである。大きな要望があることが前提にあるためである。

あなたも影響を与えることができます

教科書を注文するあなたは、出版社への注文の時に常にDAISYフォーマットの録音図書を求めることにより、この開発を促進することができます。

新聞『聴いて!』, 新聞『読み書き』付録, スウェーデンディスレクシア協会(FMLS)発行, p.10より