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スウェーデンにおける印刷字を読むことに障害のある人々への図書館サービス-ディスレクシアとDAISYを中心に-

全てがディスレクシアのせいというわけではない

スウェーデンディスレクシア協会(FMLS)発行
新聞『読み書き』付録
新聞『聴いて!』p.3

低い読字能力には様々な理由がある。ディスレクシアとは、読字困難の遺伝的、生物学的理由であり、具体的な困難としては以下のような症状がある。

  • 文字の順番の反転
  • b‐d 間の、またはb‐p間の反転
  • oかåか、またはäかeか、聞き分けに困難がある。
  • 短期記憶に困難がある‐(誰かの)言葉を聴いていると、最後の方には始めの方の言葉を思い出すことに困難がある。
  • 自動化に困難がある‐1つの規則または1つの名前を覚えるために大変な努力をしなければならない。
  • 既存の知識を要求されることに困難がある‐論理的に知識を思い起こすよりは、連想の方が容易である。そのため伝統的な試験には困難を感じる。ディスカッションの方が容易である。
  • クリエイティブな人物にディスレクシアが多い。美術家、作家、発見家、写真家等。
  • 彼らは多くの場合、学校では放棄していた自らの創造性を発達させる。

他の種類の読字困難は以下の原因が考えられる

  • 文化的理由‐未就学年齢時の読書体験の少なさによるもの。また模範となる大人が周囲にいなかった等。
  • 注意困難‐様々な理由による自発性の低さ。しかしDAMP症候群やAD/HD、アスペルガー症候群、言語障害、失語症等、より深刻な問題によるものもある。
  • 知識の欠落‐質の悪い教育、教師の頻繁な入れ替わり等による。
  • 精神的な問題‐不安や恐怖等による。
  • 視覚及び聴覚の問題によるもの。
  • 発達障害‐この症状の生徒の中にはあまり問題なく文章を読める者もいる。しかし多くの場合読んだ文章の内容を理解することは困難である。
  • バイリンガル、または移民の環境によるもの‐このケースではディスレクシアが原因という場合もあるが、文化的な原因も考えられる。例えば夏至祭とは何か、小人が何かわからないなど。それは一般的には知識の欠落が原因である。

どんな職業であれ、この症状を持つ成人は存在する。彼らは多くの場合、読書は避け、他の方法で知識を得る方法を見つけている。

どんな理由であれ、これらの困難は読字の意欲を早期に失わせる原因となっている。それは裏返せば、対応が早期に行われ、内からの原動力である、自発性が奪い去られる前ならば、正しくそれを補うことにより、読むことへの意欲や自信を高められるということである。

新聞『聴いて!』, 新聞『読み書き』付録, スウェーデンディスレクシア協会(FMLS)発行, p.3より