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スウェーデンにおける印刷字を読むことに障害のある人々への図書館サービス-ディスレクシアとDAISYを中心に-

適切な手当てを受けることにより、勉強することは面白いと思えるのです。

スウェーデンディスレクシア協会(FMLS)発行
新聞『読み書き』付録
新聞『聴いて!』p.5

「適切な補助具を使えば学ぶことができます。時間はかかりますが、楽になったように感じます。現在は高校に行っているんですが、学校が資金を出し『さあこれが君に必要な補助具だよ』と言ってくれた時、僕は100%これに賭ける意欲が湧きました。」フレドリック・ハルは述べた。彼は私達に会う前の日にティーレスエー高校で電子工学コースを受け始めたのだ。

フレドリックは実際のところ、英語をパスできなかったため個人プログラムを取る予定だった。しかし彼の電子工学への興味の強さと理解ある学校の経営者のおかげで、フレドリックは自分の才能と適正を生かせる分野に従事することが可能となったのだ。

彼は長年、時間を見つけては強電流と弱電流の両方を接続したり、携帯電話を直したり、その他の電気的技術を使ったりしている。この夜フレドリックは自分の家族の居間で、専門家達が無理だろうと彼にアドバイスをしていた配線工事をやって見せた。

「このようなことに刺激を受けて僕は成功できたのです。」フレドリックは言った。

フレドリックが小学校に入学したとき、彼の読み書き困難は明らかになった。両親は、フレドリックには特別な支援が必要だと訴えたが、無理解とこれは成長の問題で時と共に解決するはずだという主張を返されただけだった。両親は一歩も引かなかった。フレドリックはディスレクシアであると診断を受けた。学校には設備がなかったので、学校の負担によりディスレクシアセンターという個人的な相談室に行くことになった。彼は週のうちの何時間かそこに通った。しかし相変わらず授業についていくのは大変だった。

フレドリックは特に、英語を取らずにもっとスウェーデン語の授業を取るようにと勧められた。

「僕は幾夜泣いたか分りません。筆記の時間になると、先生が来て聞くのです。『本当はなんて書いてあるんだい?』と。僕はその後、もう一度3年生を繰り返さなければならず、自分の殻に閉じこもりました。友好の契約は全て破りました。なぜならもう自信などほとんどなかったからです。」当時の様子を思い出すと、フレドリックは言った。

ターニングポイントが訪れたのは、ニィブーダ学校が1~2年前に生徒の福祉に従事することを決定した時だった。看護士と社会福祉主事が全日サポートをしてくれ、また学校心理士が低年齢の生徒達の為にいるのである。また特殊教諭及び学校補助士がオアシスと呼ばれるある場所に集められている。オーサ・エーフォッシュはオアシスにいる特殊教諭である。彼女は以前、成人向けの補足的な補助具を扱う仕事をしていた。

「私はリハビリテーションには飽きていました。それよりもハビリテーションの仕事をしたかったのです。私は校長に自分の希望を伝えました。彼は熱意を持って、資金投入を許可してくれました。そしてこのような言葉で書類を作成してくれたのです。『私達は一歩一歩前進しなければなりません。初めのうちは補助具に経費がかかると思いますが。』と」

旧来の方法では、特別授業は訓練へと結びつきがちだ。だがオーサが目指すやり方は違っている。オーサは生徒が求めてきたことをしているのみである。生徒達のスウェーデン語の授業を、特殊授業へ振り替えることさえしない。生徒達はSO-タイムにオアシスに来るのである。

「彼らはここにSO-図書を持ってやってきます。私達はいっしょに、何か勉強ができる選択肢がないかどうか探すのです。フレドリックがここに来たとき、ここは未踏の大地のようでした。しかし今では、どんな生徒でも参加できる、様々な補助具を準備したコースを持つまでになりました。そこで生徒達は何が自分の助けとなるのか見つけるために、スクリーンリーダー、スペルチェックプログラム、クィックショナリー(ペン型電子辞書)等を試すことができます。このコースを受講すると、生徒達は期待通り受講証明書をもらうこともできます。」

今日は6年生以上の450人の生徒達の中から、約50人が順番にオアシスを訪れた。そのうちの多くが読み書き困難を持っている。しかし中には学習の速度が遅い等、その他の特殊事情のために来ている生徒もいる。

「時折、教師達がここにきて彼らの生徒達がどんな風に学習をしているのか見ていることもあります。この協力関係はうまくいっています。今年はシフトに従って全ての教師達がここにきて、私達が何をしているのかを見学し、共同で担当する生徒達の様々な必要性について話し合うことになっています。私は全ての教師を対象とした一日研修の許可が下りることを望んでいます。」 オーサは述べた。

「今日のオアシスは大盛況でした。」フレドリックが付け加えた。「ここにある物が必要ではない、多くの友達が僕についてきて、色々なプログラムを試したのです。僕はもう、要求はきちんと出さなければいけないのだと知っています。高校でしてきたように。今日は僕がこのコースに参加する2回目の日です。2時間後にぼくはオーサと会って、僕には今何が必要なのか、どんな補助具をもらえるのか話合います。適切な手当てを受けることにより、勉強は面白いと思えるのです。」

写真の説明
デイジーフォーマットで録音された教科書がまだ多くはないために、フレドリックは本をスキャナーでPCに取り込み、文章を読み上げてくれるスクリーンリーダーで聞いている。写真:トールビョーン・ルンドグレン

経費について
フレドリックは後一年通うことになっている。損失を考えなければ、彼個人の為に自治体が支払った経費の方が、最近彼に許可された補助具の金額よりも高額だった。

フレドリックは特に以下の補助具を用いている:

  • PC
  • アルファスマート:メモリー付きのキーボード
  • スキャナー
  • ViTal(ヴィータール):スクリーンリーダー
  • マインドマップ:コンピューターのプログラム
  • スウェーデン語辞書:コンピュータープログラム
  • 正しくつづりましょう:コンピュータープログラム

新聞『聴いて!』, 新聞『読み書き』付録, スウェーデンディスレクシア協会(FMLS)発行, p.5より