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スウェーデンにおける印刷字を読むことに障害のある人々への図書館サービス-ディスレクシアとDAISYを中心に-

マッツ・ミィルベリィが語るディスレクシア研究

スウェーデンディスレクシア協会(FMLS)発行
新聞『読み書き』2007年5月号, p.5

ディスレクシア研究における最も重要な躍進はなんだったのでしょう?

1950年のベッティル・ハルグレンの論文『特異なディスレクシア』」は躍進の1つでした。しかし当然受けるべき注目を受けていません。彼の研究結果は、後世の研究において何度も用いられています。この結果は、ディスレクシアが1種の言語的な障害であることを示しています。この研究は残念ながら世に忘れ去られています。しかし尚、現在のディスレクシアに関する見解に、痕跡を残しています。70年代初頭、アメリカの夫婦の研究者リーベルマンによる子どもの音韻的意識に関する研究によって、本格的な躍進が起きました。

この研究において何かタブーはありますか?

はい。ディスレクシアは眼と関係があるというものです。30年代に眼科医のサミュエル・オルソンが、ディスレクシアとは大脳半球間の相互作用が欠落していることによる、視覚の問題であるという学説を発表しました。彼の治療方法はかなりの成功を収めましたが、彼が示したものは、大きな間違いでした。

しかしこの題材は微妙なので、視覚とディスレクシアに関してはわずかに研究されているだけなのです。視覚の問題によって読み書きに困難を持つ多くの子どもが、必要としている支援を受けていないのです。私の知る限りではカロリンスカインスティテュートの眼科医、レーナ・ヤコブソンがその関係性について研究しています。

あなた方研究者はどのように知識を求めるのですか?

私にはある大事な役割があります。私は教育学部で働いており、数多くの学生に会います。良い教師になるには幾つかの授業と数冊の本では充分ではありません。実体験を持たなければならないのです。特殊教育学会は、いつでも自分の知識を分け合うことができる、何百人も経験豊かな教師達と繋がりを持っています。しかしそれには各地方自治体が、(教師達の)能力を最大限に活用しようとすることが必要です。しかし全ての自治体がそれを望むわけではなく、研究者として声を上げる以上のことは、私にはできません。ここで利益団体の役割がより大きくなるわけです。

この研究を目の前にした時の、最大の課題は何ですか?

実現するということですね。つまり科学が機能すると証明した方法を、教師達や各学校が行うようにすることです。しかし多くの自治体がその知識に目をつぶっています。まるで私達研究者を信用しないかのように。いくつかの自治体はなんの科学的根拠もない方法に時間やお金をかけています。それは不条理としかいいようがありません。

新聞『読み書き』, スウェーデンディスレクシア協会(FMLS)発行, 2007年5月号, p.5より翻訳