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スウェーデンにおける印刷字を読むことに障害のある人々への図書館サービス-ディスレクシアとDAISYを中心に-

さわる絵本

スウェーデン国立録音点字図書館(TPB)

さわる絵本とは何でしょう?

さわる(taktil)絵本は指で読むために作られています。本の挿し絵は様々な材料で作られており、盛り上がった形です。この言葉、"taktil"は、触ることによって情報を伝達する方法を表すために使います。

さわる絵本は多くの場合、すでに出版されている絵本の変形版です。けれども挿し絵は判りやすいように、簡略化されています。つまり原本にある詳細部分は省かれ、絵の重要な部分だけが残っているのです。

さわる絵本の挿し絵は様々な材質で、変更可能な構造と豊かな色彩コントラストを用いて作ります。絵本の文は印刷された拡大文字と点字の両方で書いています。

本の挿し絵は様々な材料で作られており、盛り上がった形です

さわる絵本は誰のために作るのでしょう?

絵本は、すべての子どもの発育において重要な意味を持っています

以前、さわる絵本は視覚障害の子どもの為だけのものでした。現在はその他の機能障害を持つ子供達もこの本を借りることができます。

絵本は、すべての子どもの発育において重要な意味を持っています。幼い晴眼の子供達は自分の周りにいつも絵や文章があるのを発見します。文章や標識はどこにでもあります。子ども達は早いうちから様々なアルファベットや標識、それにその意味を見分けることを覚えます。

この見分けこそが、読むことを覚えるような発達の第一段階なのです。視覚障害を持つ子ども達は、就学年齢になっても晴眼の子ども達ほどアルファベットや単語に慣れていません。それは子ども達のまわりにはあまり多くの点字が存在せず、せいぜいエレベーターのボタンのみだからでしょう。だからこそ点字付きの絵本やタクタイル絵本は、視覚障害を持つ子ども達の発達において、彼らが自分で読むようになる前から、大変大きな役割を果たすのです。

さわる絵本がその他の機能障害を持つ子ども達にとって、どのような役に立つのか現在のところ、まだそれほど判っていません。この分野の研究はあまり進んでいないのです。しかし知的障害を持つ子どもの親達は、タクタイル絵本は自分の子どもにとって内容が理解しやすいことに気がついていました。

さわる絵本はどのように読むのでしょう?

さわる絵本を子どもに読んであげる時には、時間にゆとりがあり、周りがゆったりした穏やかな環境であることが重要です。子ども達はたくさんの質問をするものです。それゆえにそのための時間の余裕が必要なのです。読み始める前に少しこの本にはなにが書いてあるのか話してあげるといいでしょう。絵本の文章にでてくるような事柄を体験したことがあるかと子どもに聞いてみるのも良いでしょう。また、絵本の挿し絵にでてくるような品々を集めて、子ども達が絵本と実際のものとを比べられるようにしてあげるのも、一つのアイデアです。

さわる絵本の中には、様々な難易度、様々な対象年齢の本があります。どの年齢がさわる絵本を読み始めるのに適しているかは、正確なことはいえません。それぞれの子どもによって違うからです。おそらく指でさしながら見ていく絵本から始めるのがよいでしょう。そして簡単な音を繰り返す、内容も易しい本が次の段階といえます。その後に文章が長く、少し難しい絵が出てくる絵本へと移っていけるのです。

TPBには、視覚障害を持つ子どもにどのようにタクタイル絵本を読んであげるか、よく詳しく載っている、『さわる絵本を読むということ』という説明書があります。この文書は無料でTPBに申し込むことができます。

さわる絵本はどのように作るのでしょう?

毎年TPBは、さわる絵本を作るのに良さそうな絵本を3~4冊選びだします。特殊技能を持つデザイナーが絵を指で読むことができるように描き直しします。またデザイナーはどの色や材料を使って絵を作るか選びます。絵本のページは、点字や絵の中のいくつかの詳細部と共にスクリーン印刷します。様々な材料はレーザーで切り、それらを組み合わせます。

絵の中の様々な仕組みも含めてすべてスクリーン印刷で作成するさわる絵本もあります。

さわる絵本はどのようにして、借りたり買ったりできるのでしょう。

これらの絵本は個人の視覚障害を持つ人々や、図書館やその他の機関がTPBから借りることができます。

さわる絵本はすべて、TPBのカタログで探すことができます。このカタログを見つける最も簡単な方法は、TPBのウェブサイト、www.tpb.seにいくことです。 そのサイトにはさわる絵本に関する一般的な情報も載っています。(掲載者注:サイトの英語抄訳はwww.tpb.se/einglishで見ることができます。)

いくつかの図書、特に新刊は点字利用者や図書館向けに販売されています。視覚障害以外の機能障害を持つ子ども達は近隣の図書館でさわる絵本を借りることができます。多くの図書館がりんごの棚にさわる絵本を置いています。

奥付

tpb:スウェーデン国立録音点字図書館 www.tpb.se
個々の点字図書利用者向け電話番号:020-48 17 31
図書館及び各機関向け電話番号:08-39 93 55 または 08-39 93 56
貸出用E-mail address:lib@tpb.se

© 2007 talboks- och punktskriftsbiblioteket(スウェーデン国立録音点字図書館)

TPBのさわる絵本の写真

TPBのさわる絵本

『やあ、これを見てごらん!(Hej, titta här!)』
作:アイロン・ウィクランド(Ilon Wikland)
触る絵本製作:アニカ・ノーバーグ(Annica Norberg)
TPB 2003年

ものの名前を説明している絵本です。

blooma(花)の墨字と点字、さわってわかる花の絵

『くまちゃん』
作:グレーテ・ヤヌス(Grete Janus), モーゲンス・ヘルツ(Mogens Hertz)
さわる絵本製作:カリーナ・セー‐クヌードソン(Carina Se-Kønudsen)
TPB 2003年

服を着て、いすに座って、飲んで、食べて、寝て・・・。くまちゃんの1日です。

いすに座って青いマグカップを持っているくまちゃん

『いつもはたらけ、はたらけ』
作:マーガレット・マヨ(Margaret Mayo)
スウェーデン語訳:レナート・ヘルシング(Lennart Hellsing)
さわる絵本製作:エヴァ・P・エリクソン(Eva P. Eriksson)
TPB 2003年

働く自動車の絵本です。

ショベルカー

『さわる絵本』, スウェーデン国立録音点字図書館(TPB)発行, 2007年より翻訳

原本の英語版"Tactile picture books in Sweden"のPDF:
http://www.tpb.se/filer/trycksaker/pdf/tactile_broschure.pdf